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救いのないこの異世界で 〜異世界転移した俺は、英雄ではなく奴隷だった〜  作者: 鏡月胡桃
第五章 アラムクラック編

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第三十九話 『一区切り』

 ゴゴゴという音と共に、ビルディングがいいや、地面も、空までもに亀裂が走り、世界が崩壊していく。

 悠斗はそれを逃げもせず、ただ見守って、自分までもが崩壊するのを待った。

 全てが崩れ落ち、落下する。

 何も無い、黒に染まったどこか、ずっと下に、落下する。


 これは、この世界を創造していた琴音が死亡した影響だ。

 そして、悠斗が、悠斗たちが勝利した証拠にもなっていた。


 「ありがとう。徹。

  この戦いは、お前がいなければ、お前が教えてくれなければ、勝てなかった。

  お前が世界を教えてくれたから。俺は少しでも世界を語れた。

  お前が俺を助けたように、俺はお前を助けるから。

  だから、もう一度。ありがとう、徹」


 身体にヒビが入り、崩壊していく中で、悠斗はそう言っていた。

 それは、言葉に出さずに、心で留める言葉の予定だった。

 だが、悠斗は自然に、それを口に出していた。

 悠斗は、それに、その言葉に、感謝と敬意を自然に込めていた。



 ――――



 気がつくと、悠斗は精神世界の元の場所。

 雲の上のような空間に戻ってきていた。

 悠斗だけではなく、青砥、アンリス、琴音の三人も同様に戻ってきていた。


 「終わったようだな。

  で、結果は見ていたが、琴音、私のもとに着くということでいいんだな?」


 アミキシファが琴音へと歩いていき、そう言った。

 その言葉には、少なからず威圧があった。


 「もちろん!

  最高に楽しませてもらったからね!

  特に悠ちゃん!

  最高におもしれー男だったよ!!」


 「あ、ありがとうございます?」


 そんな威圧をへっちゃら顔で返す琴音。


 「じゃあ、お偉いさん。

  元の世界に戻して」


 「ああ」


 アミキシファはそれぞれの額に人差し指で触れた。

 それがトリガーとなり、四人は精神世界から元の世界へと戻った。



 ――――



 アミキシファに礼を言い、部屋を出て、四人は宿へと戻った。

 まだ、風雅と里香は戻っておらず、四人は休憩を始めた。


 「グレネード、と言いましたか、あの武器。

  あれを使えれば、シファー軍の大きな戦力になりそうです」


 「アンリスさん。おそらくですが無理です。

  あれを作る技術が、この世界にはない。

  技術以前に、作る物資があるかの話ですが……」


 そんな話をするアンリスと悠斗。

 椅子に座り夕陽を眺める悠斗と、いびきをかいて寝る琴音。

 四人は完全に疲れていた。


 「ただいまー。

  おっ、帰ってるねー」


 そんな中、風雅と里香が帰ってきた。


 「そして、あの人が、神級の魔法使い」


 「ん〜?」


 目を覚ました琴音は、目を擦って風雅の元へいく。


 「はじめましてー。山口風雅です。こっちは岸田里香。

  どうやら、日本人のようですね」


 「やっぱわかる〜?

  そう!日本人の日比野琴音ちゃんで〜す!!

  風ちゃん里香ちゃんよろしく!!」


 先程眠っていたとは考えられない声量で琴音は自己紹介をした。


 「ここに琴音さんがいるということはー……。

  悠斗、仲間の引き入れに成功したんだねー。

  その様子だと、なにかアクシデントがあったみたいだけど」


 「アクシデントと言うか……まあ、ゲームを」


 風雅はそれに、「ふーん」とだけ返し椅子に腰をかけた。


 「とりあえず、話をしようかー。

  俺含め、上澄みのシファー軍の何人かが、今日でかなりの人を救助した。

  残りは三百五十二人。

  とりあえず、そこまではいけた」


 「風雅、徹は?」


 「一旦その話は待ちねー。

  で、ここまですぐに救助ができたのは、ダンジョンが大体初級、中級だったからなんだよねー。もちろん、上級もあったよー。

  まあ、残っているダンジョンも残りわずかなんだー。けど、残ってるダンジョンは高難易度なものばかり。

  難易度は上級及び、神級」


 神級のダンジョン。

 神級の恐ろしさはアンリスはおろか、日本から来た悠斗たちも知っていた。


 「そこで、俺たち第一部隊は神級ダンジョン、ランドラに派遣される。

  それを、みんなには承諾して欲しいんだー。

  俺だけだと、何かがあった時に対処ができない。

  神級は恐ろしい、それは身を持って知ってるからねー

  で、大丈夫かな?」


 皆頷く。

 彼らは、もう既に、世界に狂わされていた。


 「ま、そんなこと聞く必要ないかー」


 風雅は軽く笑う。

 笑うというよりも、それは覚悟を持った悠斗達への微笑みのようだった。


 「じゃあ、明日には出発するから、皆早く寝なねー。

  自分の部屋には名札貼ってあるから、ちゃんとそこに戻ってー。一応、この部屋は俺と里香の部屋だからねー」


 こんな広い部屋が風雅と里香の部屋だということに、悠斗は驚きつつも、神級の魔法使いだから当たり前だと納得をする。


 「あ、悠斗とアンリスさんはここに残ってー」


 「え?」


 部屋を出ようとする二人を引き止める。


 青砥と琴音が部屋を出てから、風雅は話し始めた。


 「この剣。見覚えは?」


 そう言って、風雅は一本の剣を取り出した。

 アンリスはその剣を一目見て理解する。

 悠斗もだんだんと気づいた。


 「まさか、レニアさんの……」


 「やっぱりねー。二人には本当に申し訳ないよー。

  助けられなかった」


 風雅は拳を握りしめる。彼も悔しいのだろう。


 「アミキシファさんからも彼女のことは聞いていてねー。

  本当に惜しい人をなくしたよ。

  俺がダンジョンに着いた時には戦死してた。

  ダンジョンの主を倒してね」


 「レニアさんらしいですね」


 アンリスさんはそう言った。

 目に涙を浮かべ。

 それでも、泣くのを我慢し。


 「この剣は、アンリスさん。あなたに託します。

  とりあえず、明日はよろしくお願いします」


 そして話が終わり、二人はそれぞれの部屋に戻った。


 悠斗は部屋に戻る前に、琴音に会った。


 「悠ちゃん。なにかあったの?」


 声の大きさ控えめに、琴音は悠斗に聞く。


 「ああ、えっと。前の部隊で一緒だった人がね」


 「それって、悠ちゃんが探してる人?」


 「いや、そいつはまだ見つかってないよ。

  今はアンリスさんの方がキツイと思う」


 「そっか、じゃあ、見つけないとだね」


 その言葉に悠斗は疑問を覚える。


 「見つけるって、誰を?」


 「悠ちゃんが探している人だよ。

  アンちゃんは、今、とっても辛いと思う。

  でも、それと同じことをまた経験したくもないし、誰にも経験して欲しくないとも思っていると思う。

  だから、あたし達は、その人を見つけなければならない」


 アンリスにとって、徹は部隊で一緒だった戦友だ。

 レニア程の長い付き合いがあった訳ではないが、その事実は揺るがない。

 徹が死んでいたら、アンリスは更に心に傷を負う。

 そして、悠斗とも同様に傷を負う。

 これは決して、アンリスが望んでいないことだ。


 それを、悠斗はしっかりと理解した。


 「そうだな、頑張んないとだな!」


 「うん!」


 少なからず降り注いでいた不安が少しはマシになった。

 悠斗は少し、解放された。



 ――――



 「さあ、ここだよー。

  神級ダンジョン、ランドラ」


 翌日、誰一人と怯えずに、その入口に立っていた。

 彼らには、確かに闘志があった。

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