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救いのないこの異世界で 〜異世界転移した俺は、英雄ではなく奴隷だった〜  作者: 鏡月胡桃
第五章 アラムクラック編

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第三十六話 『再戦』

 正直なところ、これは俺の魔法、【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】とそこそこ相性がいいはずだ。

 ぶっちゃけ、コピー魔法はサポートよりな気もするけど、これは物をコピーする魔法。

 武器をコピーし、それを動かすことで、かなりの戦力が期待できる。


 悠斗の心には、期待の念が募る。


 「あれ〜悠ちゃん。

  奇遇だね」


 「琴音さん」


 まじか、さっきプレイヤー死亡のアナウンスがあったばかりだっていうのに、もう俺のところまで来たのかよ。

 いや、それ以上に気づかなかった。

 音でもなんでもすれば琴音さんが来たことに気がつけたはずなのに。

 話しかけられるまで、気がつかなかった。


 魔法への期待とは別に、悠斗は少しばかり緊張する。

 悠斗が魔法を獲得したように、琴音は戦闘を積み、成長している。

 ここはゲームであり、戦場。

 何が起きてもおかしくない場所。

 悠斗はそれを再確認した。


 「さっきのゲームアナウンス、悠ちゃんのかな?

  魔法の獲得?青ちゃん復活してないみたいだし」


 「さあ、どうでしょうね」


 悠斗はすぐさま収納から剣を取り出し、詠唱する。


 「【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】!」


 琴音との初の戦闘。

 その時と同様に三本。悠斗は剣を動かした。


 「あのさ〜。悠ちゃんちょっとは学習しないとじゃない?

  さっきのでわかってるでしょ。もうその攻撃通用しないから」


 琴音はそう言いながら、収納から剣を取り出した。

 彼女にとって、剣は一度使用したら終わりの消耗品。

 強化された腕の一振に、剣は耐えきれない。

 相手の攻撃を潰すが、自分の剣をも潰す。

 その攻撃を琴音は理解している。


 鞘はないが、琴音は剣を腰にあて、構える。

 今じゃない、今じゃないとカウントをしながら、向かってくる三本の剣が射程に入るのを待った。


 そして。


 「はっ!」


 勢いよく、薙ぎ払う。

 バリッ。という不自然な金属音とともに、悠斗と琴音の剣は崩壊を始めた。

 剣は消費されたのだ。


 「はい終わり」


 「【巧妙な偽物(アレスト・ダウト)】、【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】!」


 剣は消費され、崩壊を始めていた。

 だが、完全に崩壊仕切っていない。

 消費され、消えるというシステムよりも前に悠斗は剣を【巧妙な偽物(アレスト・ダウト)】で生成した。

 そのまま、琴音の腹へと動かした。


 「うっ!」


 驚くほど簡単に、その剣は琴音の腹を貫いた。

 今までの戦いが、嘘のように。


 「倒し……た?」


 琴音の出血と、これ以上攻撃してこないような姿を見て、悠斗は自然にそう口にしていた。


 「いいや……まだだね……。

  【完全な再生(パーレス・キューマ)】」


 琴音はその剣を抜きながら、そう詠唱した。

 何事もなかったかのように、その腹は元に戻っていた。


 「回復魔法!」


 「そうだよ〜。

  これがあたしの最強ポイント。

  死にさえしなければ、完全に回復できる。

  さっきの攻撃でHPは相当削られた。でも、死んじゃいない。

  それなら、あたしは何度でも元通りだ」


 琴音は抜いた剣を悠斗に向ける。


 「複製魔法ってとこかな?

  剣が消える前に、消費されたというシステムで消失する前に、それを複製して、あたしの腹を貫いた。

  いいじゃん!

  結構強い!」


 「そりゃどうもですよ!」


 さあどうすんだよ、この状況!!


 悠斗は流石に焦りを感じていた。

 武器である剣は三本とも消費、攻撃が可能なアイテムはグレネードだけになっていた。

 だが、それ以上に。

 MPである。

 【巧妙な偽物(アレスト・ダウト)】は物を複製する魔法。

 物を魔力で一から作る。

 要は、【巧妙な偽物(アレスト・ダウト)】によって複製された物は魔力の塊なのである。

 そんな物を作った悠斗のMPは三分の一を切っていた。


 「【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】!」


 「あっ!ずるい!!

  逃げる気!?」


 「戦略的撤退と言ってください!」


 悠斗は【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】で身体を動かし、空中を浮遊しながら、ビルディングが立ち並ぶ都市部へと移動した。

 その最中、MP回復アイテムを使い、MPを三分の二まで回復させた。


 「くっそ!マズいマズい!!

  琴音さんを倒すためには、詠唱させずに一撃で仕留める必要がある!

  なのにあの身体強化魔法!どうすりゃいいんだ!!」


 悪態をつきながら、悠斗は建物内の物資を回収した。

 MP全回復。

 MP回復アイテムと剣もそれぞれ一個入手することができた。


 『プレイヤーがギフトを獲得しました』


 「ギフト......流石にアンリスさんだよな?

  じゃなきゃ琴音さんの討伐が不可能と化してしまう。

  それに、一回もアンリスさんを見ていないし......」


 独り言をつぶやく悠斗。

 そんなところに、彼女は来る。


 「待った?」


 「......!

  早すぎるくらいですよ」


 ビルディングの五階。

 だというのに、琴音は窓ガラスを割って入ってきた。


 琴音の身体強化魔法は物理を超越しだしたことを悠斗は感じた。


 「さあ!始めようか!」


 「もちろんです!」


 悠斗は剣を構えた。

 【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】で剣を動かすのではなく、身体を動かすのだ。

 剣を動かしても、琴音がそれを無効化してくるとこは悠斗も理解していた。

 だからこそ、悠斗自身が攻撃を行い、ダメージを与えられるようにしたのだ。


 「おらっ!」


 悠斗のスピードは、琴音に負けず劣らずだった。

 悠斗の剣を琴音が回避する。

 その連続。

 だが、両者に余裕は見られなかった。


 「戦略的撤退!!」


 悠斗の大振りの隙をつき、琴音は四階へと下った。


 「何をするつもりなんだ......」


 悠斗はそれについていく。

 いつでも攻撃ができるように、悠斗は剣をしっかりと構え、身体を動かした。


 「どこに......」


 四階に下っても、琴音の姿は見当たらなかった。

 が、悠斗はすぐに見つけた。

 というよりも、相手が自ら見つかりにいった。


 五階に入って来たときと同じように、窓ガラスを割り、外に向かって思いっきりジャンプをしていた。

 普通に考えれば自殺行為。

 だが、彼女の身体強化魔法がそれを意味ある行為としていた。


 悠斗は琴音に向かって動かすスピードを上げた。

 今すぐに、彼女の心臓を貫けば。

 その思いで一気に......


 「ばいば~い」


 琴音は悠斗に向かって手を振った。

 それになんの意味があったのか。

 悠斗は思い知らされることになる。


 ドゴン。

 何回もその音が鳴り響く。

 グレネード。

 琴音はそれを四階にいくつも設置していた。


 ビルが倒壊するほどの高威力。

 悠斗はそれを直でくらった。

 爆発の影響で、悠斗は外に放り出される。


 「クッソ!!」


 悠斗は死にはしなかった。

 S。

 それが悠斗を守った。

 三枚あったSは一気に割れ、HPもかなり減少したが、かろうじて生きていた。


 「えっ!悠ちゃん生きてんの!?」


 ともに落下する琴音は悠斗にのんきに話しかける。


 「じゃあ、殺さないとだ!!」


 そんな琴音は剣を構え、悠斗に攻撃をしようとする。

 対して悠斗は詠唱はしようとする。

 【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】を再度使うための詠唱。

 それさえ詠唱することができれば、悠斗は回避ができる。


 間に合わない!!


 だが、琴音はその時間を悠斗に与えようとはしていなかった。


 終わる!!


 悠斗は負けを確信した。


 が、攻撃が来なかった。

 いや、攻撃が届かなかった。

 この空間に対し、外的な何かの影響で、琴音の剣の軌道がそれた。


 「まさか......!」


 悠斗は地面の方を見る。


 「待たせましたね!悠斗くん!」


 そこには、弓と矢を持つアンリスの姿があった。

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