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救いのないこの異世界で 〜異世界転移した俺は、英雄ではなく奴隷だった〜  作者: 鏡月胡桃
第五章 アラムクラック編

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第二十八話 『形勢』

 「風雅!なんでここに!」


 「グラデュウスの教会への襲撃は速攻で終わったからねー。すぐに動けた。

  レギぺギドってやつが大技かましたんでしょー。

  俺たち大忙しだよー」


 余裕気に語る風雅を見て、悠斗は一安心しつつも、今この状況が変わっていないことに気づいた。


 「風雅、いけるか」


 「余裕ー。てゆうか、そうじゃなきゃここ来てないよー。

  相手は魔獣だし。手加減なしで殺しもOK。

  コイツを使えば大丈夫だよー」


 風雅は右手に持ったソレを、悠斗に見せながらそう言った。


 「なんだそれ、大鎌?

  死神が持ってそうだな」


 「ただの大鎌じゃない。魔道具、暗業の三日月(アグリラス)ってやつでねー。

  アミキシファさんにもらったんだー。

  これで切った個所を麻痺させる効力があるんだよ」


 そういって、風雅はぴょんぴょんと準備運動の代わりに跳ね。

 詠唱を行った。


 「【絶対な等式(パル・ドレア)代入アッド】」


 それだけ言い、すぐさまゴブリンに切りかかる。


 「なんつー速さだ」


 明らかに現実離れしたスピードで移動をする風雅をみて、悠斗は思わずつぶやく。

 ゴブリンたちは標的を風雅に向け、攻撃を行った。

 だが、風雅はそれを軽々とかわした。


 悠斗は風雅とレギぺギドを重ねた。

 徹の氷柱を軽々とかわしたレギぺギドとゴブリンの攻撃を軽々とかわした風雅。

 人は全く違うのに、重ねてしまう。

 悠斗は思った、これが強者なのだと。


 体の一パーツとして大鎌を扱う風雅は次々とゴブリンを切り、倒していく。

 悠斗はそれを、ゴブリンを倒すという一連の動きを、風雅を見て判断したのではない。

 ゴブリンたちがその大鎌でしびれ、倒れていく様を見て判断したのだ。

 それほどまでに、風雅のスピードが速かったのだ。


 「風雅!よけろ!」


 それでも、他のものに視点を向けることは可能だった。

 ゴブリンと戦う中、コウモリが攻撃を仕掛けていた。

 超音波。

 射線上にいなかった悠斗が圧を感じるほどに、高威力なものだった。


 悠斗のそんな言葉がまるで聞こえていないのかのようにゴブリンを狩り続ける風雅に、それは直撃した。


 「風雅......」


 風雅はもう一度絶望の淵に立たされた。

 一度は風雅が来て助かったと思ったものの、あの威力の攻撃をもろに食らえば致命傷になりかねない。

 そう思いながら、風雅を見る。


 「無傷......?」


 嘘だろ、なんで?

 そんな考えが悠斗の頭の中でぐるぐると回る。


 そんな頭の処理が追い付いていない次の瞬間には風雅はコウモリの真後ろに立ち、大鎌で首を断ち切っていた。


 「終わったよー。悠斗。戻ろっかー」


 本来であれば命がけである戦闘を、まるで宿題を終わらせた小学生のような口調でそう言った風雅は、悠斗の手を引きながら、ダンジョンの出口へと歩み始めた。



 ――――



 ダンジョンを脱出した悠斗と風雅は、ダンジョンの入り口にいた里香と合流をし、宿へと戻った。

 宿にいた青砥とあいさつを交わし、テーブルで仕切り、四人は会話を始めた。


 「風雅。ありがとう。お前が助けに来てくれなかったら、俺死んでた」


 「お礼なんていいよー。助けるために行ったわけだしね。

  とりあえず、悠斗には現状と今後について説明しなきゃいけない」


 真剣な話ではあるが、いつもと変わらずの口調で風雅は話始めた。


 「まず現状、シファ―軍の三千九百五十六人が行方不明になっている。

  知ってる、ていうか経験してるはずだから簡単に言うけど、レギぺギドの魔法でねー。

  一つのダンジョンに一人が召喚されてる感じ。

  俺も結構助けたんだよー」


 風雅本人にとっては苦労話なのだろうか、とも思いつつ、悠斗はそれに反応をした。


 「ああ、わかってる。

  風雅、お前がそう言うってことは。

  俺もダンジョンに召喚された人を助けに行くってことであってるのか?」


 「うーん。残念。それが違うんだよねー」


 両手の人差し指をクロスさせ、バツ印を作り、それを悠斗に見せながら風雅は言った。


 「まだ現状の話が終わってないんだよねー。

  レギぺギドの一件で俺たちシファ―軍の株と戦力が相当落ちたんだ。

  もともと戦力がドレド軍に比べて圧倒的に少ないシファ―軍は相当痛手でねー。

  だから、戦力を確保してもらう」


 「戦力?だからそれは、ダンジョンの人を救助することで解決するんじゃないのか」


 「まー、それもあるんだけど。正直なところ、新しい戦力を期待した方がいいんだよねー。

  ダンジョンから救出したところで、そこまでの戦力にならなかったり、戦いをしたくないと拒んだり、既に死んでいたり......俺も助けたところそのケースがかなり多い。

  だから、質のいい新たな戦力が必要になってるんだー」


 なるほど、と一つ一つシファ―軍の現状について知っていく悠斗に、風雅は話を続ける。


 「神級魔法を扱える人間。

  その人を味方にすることができれば、それはとてつもない戦力になると同時に、軍としての知名度諸々を向上させることにもつながる。

  そんだけ、神級魔法を扱える人ってのはすごいんだよねー。

  今生きている人で数えれば、確か五人って言ってたかなー?

  一応、俺とアミキシファさんはそのうちに入るんだけどねー」


 「まじかよ!風雅、そんなにすごいのかよ!」


 「ありがとありがとー」


 驚きが隠せない悠斗の言葉に適当に返す風雅。


 「じゃあ、とりあえず、俺はその神級魔法を扱う人のところに行って、シファ―軍の仲間に入れに行けばいいんだな」


 「いいねー。流石は委員長さんなわけだ」


 「まあ、そんな役職は意味を成していないけどな」


 一区切り。

 目標が設定した悠斗。

 だが、それでも聞きたいこと。

 彼にとっては、聞かなければならないことがあった。


 「徹。アイツは、生きているのか?」

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