表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救いのないこの異世界で 〜異世界転移した俺は、英雄ではなく奴隷だった〜  作者: 鏡月胡桃
第四章 教会襲撃編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/42

第二十七話 『天理』

 「いってえええええ!!」


 何本もの氷柱が手に足に、体中に突き刺さる。

 村雨は終わった。

 ラグリエ・スパイダーという大きなものに対しての再現のおかげで、俺という小さなものに対する攻撃がかなりからぶった。

 周囲に俺に刺さらなかった氷柱が床に突き刺さっている。


 まだ、意識はある。

 まだ、死んでない。


 体。、動かせるか......?


 俺は立ち上がろうとする。


 「徹!やめろ!出血死するぞ!!」


 悠斗の言葉に耳を貸さず、俺は立ち上がろうとする。

 体に力を入れて立ち上がる。

 そのせいで、氷柱がさらに深く突き刺さる。

 だが、仕方がない。


 俺は今お荷物状態だ。


 少しでもここから離れて、悠斗が動きやすいようにしないと。

 悠斗には剣がある。

 鍛錬の期間が短かったとはいえ、悠斗は要領がいい。

 俺よりも剣をうまく使えるはずだ。


 早く、離れないと......。


 おぼつかない足を一歩、また一歩と動かす。

 そのたびに、氷柱が深く突き刺さる。


 突き刺さる?

 まてよ、なんかおかしい。


 俺は足を止めて、氷柱を見る。

 動いている?

 さらに深くに、突き刺さろうとしている。


 「まさか」


 まだ終わりじゃない。

 俺には、俺たちにはまだある。

 ラグリエ・スパイダーに放った攻撃がまだ残っている。

 【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)集中点コーレ】。


 新たな魔法陣が生成されている。


 「まじかよ......」


 次の瞬間には、俺は地面に寝ていた。

 足がもげたから。


 四肢すべてが氷柱によって切断されたのだ。

 ここまでくると、明確な痛みを感じない。


 アンリスさんなら治せるのか?

 ここまでの傷だと、無理か?

 これヤバいわ、多分死んだわ。


 四肢から流れる血が暖かく感じる。

 いや、熱いのか?

 もう、それすらもわからない。


 その時だった。

 ゴーン、ゴーンと鐘が鳴った。


 何だ、こんなときにうるさいぞ。


 「お、もうこんな時間か」


 レギぺギドが口を開いた。


 「お前らは本当の本当に頭が悪い。

  この教会の周りに咲いている花が、花園が。

  魔法陣を形どっていると知らない」


 魔法陣を、形どっている?

 上から見ると、花園が魔法陣みたくなっているってことか?


 「レギぺギド。あんた、何する気だ?」


 悠斗は剣を構え、レギぺギドに問う。


 「知っているだろう?私の魔法は召喚魔法。

  対象を私のもとに召喚する魔法だ」


 「ここに、魔獣を召喚するつもりか?

  上級、いや神級レベルのを」


 悠斗の発言に対して即座に「いいや違う」と返すレギぺギド。


 「むしろ逆さ。お前たちを魔獣のもとに送る」


 「送る?お前の魔法じゃそんなことはできないだろ。

  ハッタリだな」


 「いいや、できるんだよ。

  魔力を物質に対して封じ、その効力を発現することができる魔道具。

  それを使えばね」


 レギぺギドは「馬鹿でもわかるように説明してあげよう」と話し始める。

 悠斗は剣を構えたままで、レギぺギドに近づこうとはしなかった。

 それはおそらく、警戒からなのだろう。


 「私が生み出した魔道具、天埋の札。

  私が私のもとに召喚するように、魔法を詠唱さえすれば、それが貼ってある場所に召喚できる」


 「待て、お前。それをどこに貼ったんだ!」


 「国中。まだ攻略がされていない高難易度ダンジョンにさ。

  冒険者に高値で交渉すればすぐに貼ってきてくれる」


 レギぺギドは高笑う。


 「お前たちは、私に二度も敗北したわけだ。

  じゃあ、生きていたら、また会おうじゃないか。

  その時もまた、勝たせてもらうがね」


 レギぺギドはそう言って詠唱を始めた。


 「八千五十六人か。一ダンジョンに一人といった感じかな。

  まあいい。


  【超常な変域(キャルナ・ワープ)天埋の札(テンリノフダ)】」


 そう言った次の瞬間。

 まるで持ち上げられたかのような浮遊感を感じた。



 ――――



 気が付いたとき、俺は洞窟の中にいた。


 周りには誰もいない。

 俺だけしかいない。


 四肢もないし何をできない。

 このまま死を待つだけか。


 「くそがあっ!」


 このまま死ぬのかよ!!

 ふざけんじゃねえ!!


 俺はまだ成せてないんだよ!

 空とザルサ、あいつらの思いを。

 奴隷解放の実現。ミリもできちゃいない。

 無能もいいところだ。


 「ゲコ」


 なんだ。なんの音、鳴き声だ。


 俺は上を見上げる。


 そこには大きなカエルがいた。


 魔獣。

 魔力も残っちゃいない。

 ここで死ぬか......。


 俺はカエルの舌で持ち上げられ。

 その口へと、運ばれて。

 食べられた。



 ――――



視点:天ヶ瀬悠斗


 「クッソ!」


 一人だけ、魔力もろくに残ってない。

 ていうか、残っていたとしても意味がない。


 ここは洞窟だ。

 ダンジョンの中だ。

 もちろん魔獣がいる。

 ゴブリン。

 緑色の体で人と同じくらいの大きさの魔獣。


 普通のゲームとかじゃ序盤に出てくる雑魚キャラ。

 なのに。

 なのになんでこんなに強いんだ!

 剣で切ろうとしたら折れたぞ!?

 おかしいだろ。


 脳内で悪態をつきつつも、俺は走る。

 ゴブリンに追われながら。

 もちろん、ただ走っているのではない。

 ダンジョンには必ず出口が存在している、はずだ。

 ダンジョンなんて初めてだから、何もわかんないが、走るしかない。


 「おいおい、まじかよ」


 他の魔獣。

 コウモリだ。

 俺くらいの大きさ。

 何ていうデカさだ。


 「逃げないと......」


 攻撃手段がない俺に残されたのは逃げの一手のみ。

 逃げなければ......


 「囲まれた」


 ゴブリンが追い付いた。

 コウモリとゴブリン。

 数か質か。

 逃げられもしない。


 抵抗するか?十七歳、拳で。

 多分効果ないし、返り討ちだ。

 詰み。


 俺、この世界に来てから大した活躍もしてやいないのに。

 ここで死ぬのか?


 徹には感謝しっぱなしだし。

 俺が、あいつを助けられたら。

 なんて、この状況からどうするよ。


 覚醒イベントとかないのか。


 それか。


 「強者参戦イベントとか......」


 「おっ。いたいたー。

  大丈夫かなー」


 俺がそう呟いたときには、既に彼は隣にいた。


 「お待たせー」


 山口風雅。

 シファ―軍の第一部隊となった彼がいたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ