第二十四話 『襲撃当日』
とうとうこの日がやってきた。
俺を、俺たちをここまで陥れた。
奴隷に陥れた、この世界に召喚した元凶。
レギぺギドに再会、そして復讐を行う日がやってきたのだ。
外から見るとかなりの規模だ。
俺たちが戦った花園が広範囲にわたって広がっている。
俺たちが戦った場所はほんの一部に過ぎなかったのだ。
「皆の者聞け!!
我々はこれより、レギぺギド氏が所有する教会への襲撃を実行する!!
覚悟はよいかっ!!」
「「「はっ!!!」」」
流石はレニアさんだ。
まとめ役に適している。
「行くぞ!!」
軍が前進した。
総勢何千、いいやもしかしたら万人いるかもしれないその大所帯が一気にその花園へと足を踏み入れた。
「なんだ!」
「おいおいどうなっていやがる!」
「これは、まさか!!」
花園から魔獣たちがこちらを歓迎した。
あのグラッシュ・ルーズをはじめとし、ありとあらゆる魔獣が何百匹と。
花園にそぐわない戦場がそこには確かに存在していた。
おそらく、既に想定されていた。
で、なければ、これほどまでの魔獣を配置することは不可能だろう。
「すでに配置済みかよ!」
「トオル、ユウト!二人は前へ!」
レニアさんとアンリスさんは花園で指揮をとりつつ、戦闘を。
俺たち二人は、レギぺギド討伐にあたる。
それは決められていた。
俺たちは教会へ入り、その赤いじゅうたんが敷かれている道に立っている男を確認した。
「レギぺギド......」
「おや、よく突破しましたね。上級魔獣を五十体ほど放ったはずですが......。
どうやら、あなたたちは。戦闘を避けてここまでやってきた、と」
上級魔獣を五十体。
いくらシファ―軍がこれだけ来たとしても、厳しい戦いになりそうだ。
まあ、それよりも。
それよりもと言ってはよくないのだが、それよりもずっと気になっていたことがある。
「なあ、レギぺギド。
俺たちのこと。覚えてるか?」
「はて、どこかでお会いしましたかな?
......ああ、もしかして、以前奴隷として出荷した者かな?
ははっ。生きていたようでなにより」
「そんなことちっとも思ってないくせによく言うぜ」
よかった。
レギぺギドは悪人だ。
殺せる。空やザルサのように、背負わずに。
ヴィオレンと同じように、悪人として、殺せる。
「行くぞ、悠斗!」
「ああ!」
ともに剣を構える。
レギぺギドを殺すために。
「まあ、初めからラスボス戦というのもつまらないだろう?
ラスボスの前に、中ボスと何回か戦ってもらわないと、ラスボス戦への切符はもらえない。
だから、コイツと戦わせてやろう。
【超常な変域:牢獄空間;九十四】!」
その詠唱に呼びかけるように、地面に魔法陣が描かれる。
その魔法陣から、召喚された。
「蜘蛛?」
蜘蛛。それも超巨大な。
B級映画に出てきそうな見た目の巨大蜘蛛がその魔法陣から召喚された。
どっちかというとタランチュラと呼ぶ方が正しいかもしれないその見た目。
関節の節々に細かな毛のようなものが生えている。
「上級魔獣。ラグリエ・スパイダー。
お前らのような弱者が到底戦えるとは思えないが......」
「クシャア!!」
ラグリエ・スパイダー、ね。
どれだけ強いか、どんな力を持ってるかわかないけど。
既に俺は、地獄を経験しているんだよ。
いくらコイツが強かろうと、多分俺の記憶のメモリーには到底入らないだろう。
「【氷結槍】!」
まずは様子見だ。
三本。それを同時発射する。
「クシャッ!」
なんだ、避けずに普通に当たったぞ?
それどころか、自ら当たりに言ったように見えたが......。
「徹、あれを見ろ」
悠斗が指さすところ。それは俺の発射した氷柱が命中したところだった。
「なんだあれ、気持ち悪い......」
傷跡がうにょうにょと動き、再生した。
自己再生持ち、ということか?
それだけで上級魔獣?
「クシャア!!」
ラグリエ・スパイダーの咆哮。
その時だった。
俺の氷柱が的中したあの場所、再生したあの場所から、三本の氷柱がこちらに発射されたのだ。
「まじかよ!」
「【飛翔な運動】!」
悠斗は魔法で長机と長椅子とを俺たちとラグリエ・スパイダーの間に動かし、俺たちを氷柱の攻撃から守った。
「ナイス、悠斗」
「ああ、いいってことさ。
それよりもあの攻撃......コピーか?」
「コピーって言うよりかは、カウンター攻撃なんじゃないか?
当たった攻撃をそのまま返す。受けた攻撃は再生。
一方的に攻撃を返すようなとんでもない攻撃っぽいぞ」
「なるほどな」
攻撃をしても攻撃箇所は再生される。
しかもその攻撃が俺たちに返ってくるというとんでもない力をお持ちなようだ。
とすれば、どの攻撃が有効か。
一気に攻撃?それとも一撃で猛烈な攻撃をお見舞いするか?
否、その両方だ。
上級魔獣には上級魔法を。
その両方を同時に満たすような魔法を、妄想大好きな俺が、考えてないはずがない。
「大技かますぜ、悠斗。
サポートしてくれるか、悠斗」
「当たり前だろ、徹。
犬のようにこき使ってくれ」
グラッシュ・ルーズと共に戦った俺たち。
場所と、人は変わっていない。
だが、確かに、変わっているものが俺たちにはある。




