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救いのないこの異世界で 〜異世界転移した俺は、英雄ではなく奴隷だった〜  作者: 鏡月胡桃
第三章 奴隷コロシアム編

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第二十話 『決意』

 正々堂々、殺し合う。

 それこそが、敬意なのであれば。


 「受けて立つ!」


 「それでこそ、戦い、です!」


 相手の魔法は俺と同じ氷魔法。

 それに、【氷結槍(ルピナス・グラキエス)】を五本も生成していたことから、魔法はあいつの方が強い。


 魔法勝負は分が悪い。

 であれば、剣で戦う。


 「「【氷結槍(ルピナス・グラキエス)】!」」


 同時に詠唱。

 俺は三本、彼は五本。


 三本は打ち消し合った。

 残り二本は剣で!


 「はっ!」


 近距離勝負ならどうだ!


 俺は剣を振る。


 「危ないですねっ!」


 俺の剣を避ける。

 ただ、その避け方は、わかりやすい。


 おそらく、普通に、殺せる。


 だが、最後にすべきことがある。

 彼の言葉と空のことから。

 しなければいけないことがある。


 「最後に聞きたいことがある」


 「なんですっ。私はよけるので精一杯なんですがっ!」


 「名前と、夢はある?」


 「ザルサですっ。夢はありません。

  あるとしたら、奴隷ではなく、平和に過ごしたかったですねっ!」


 大きく距離を取り、ザルサは【氷結槍(ルピナス・グラキエス)】を詠唱する。


 近距離だ。

 だが、見極めやすい!


 「ザルサ。お前を、背負おう」


 「そうですか」


 ザルサは、目を細める。


 「それなら、安心です」


 次の瞬間。

 俺は、一歩踏み込み――


 ――首を、断ち切った。


 血が舞い、体が崩れ落ちる。


 歓声が上がった。

 昨日と、同じ歓声。


 「勝者!ナンバー十二!!」


 うるさい。

 だが――耳を塞ぎたくはなかった。


 背負うと、決めたから。


 空と、ザルサ。

 二人分の重さが、確かに胸に残っている。


 消えてはいない。

 ただ、目を逸らさなくなっただけだ。



 ――――



 俺は控室に戻った。


 レニアさんとアンリスさんが俺を待っていた。


 「トオル。大丈夫なのか?

  まあ、目を見ればわかるんだがな。

  乗り越えたんだな」


 「はい。俺は、殺した人の思いを背負って、生きていきます」


 「いいことだ。だが、気を付けろ」


 「何をですか?」


 「悪人を殺すときに、決して思いを継ぐなよ」


 「......わかりました」


 悪人。

 真っ先に思うのはレギぺギド。

 あいつのような人間を殺すときは、ただ、殺す。

 そして、決して思いを背負わず、後悔しない。

 それが、最も適切なのだろう。


 「一つ、聞きたいんですが」


 「なんだ?」


 「シファ―軍は奴隷反対派なんですよね」


 「ああ、そうだが」


 「であれば、アミキシファ......さんに会わせてください」


 レニアさんは驚いたような顔をしたが言った。


 「なるほどな、わかった。

  コロシアムが終わったら、会いに行こう」


 レニアさんは少しうれしそうだった。


 アンリスさんは耳元で「目標ができたんですね」と言って、レニアさんと同様にうれしそうな顔をした。


 そう目標。

 空とザルサとの思いを背負うときにできたものだ。


 空は、奴隷から解放され、恋人を救おうとしていた。

 ザルサは、奴隷から解放されることを望んでいた。

 この二つの思いを達成すること。

 それこそが思いを背負うということ。


 であれば、奴隷という制度を廃止することこそが一番であると考えたのだ。

 幸い、所属しているシファ―軍は奴隷反対派。


 俺はアミキシファに会い、奴隷解放を実現する。

 それこそが、俺がすべきものであると考えたのだ。


 「レニア主人」


 「なんでしょう」


 「次の対戦相手が棄権しました。

  繰り上がりで、決勝戦の出場となりましたが、よろしいでしょうか?」


 「ああ!ありがたい」


 「では、ご了承を」


 対戦相手が棄権した。

 本来であれば、次は準決勝。

 それが持ち上がって、決勝戦になった。


 「よかったな」


 「はい!」



 ――――



 決勝戦。

 俺は鉄格子の前にいた。


 「お待たせいたしました!

  とうとう奴隷コロシアム決勝戦でございます!」


 先にアナウンスが入った。


 「紹介に移ります!」


 目の前の鉄格子が上がり、戦闘場に入る。


 「氷魔法と剣を操る奴隷!

  ナンバー十二!!」


 会場が沸いた。


 まるで会場に通着したスポーツ選手のような感覚だ。


 「次はこの男!」


 正面にある鉄格子が上がった。


 でてきたのは大男だった。


 身長はわからないけど二百はあるんじゃないか?

 全身ムキムキで筋肉がえげつない。

 武器はこん棒?のようなものみたいだった。

 そのこん棒も相当大きく、その大男でないと扱えないような品物だった。


 「すべてを力で圧倒する奴隷!

  ナンバー九十二!!」


 コイツが、俺の対戦相手。


 つーか、体格的に圧倒的に不利じゃないか?


 「お前さあ、喋れる?」


 「え?あ、ああ。

  喋れるけど」


 「よかったぜえ。命乞いが聞こえそうだあ」


 「は?」


 今、なんて言った?

 命乞い?


 「この戦いの勝者にはこの人間を贈呈します!!」


 観客席に大きな檻が設置され、悠斗が中には入っていた。


 「悠斗!!」


 「それでは、決勝戦。開始!!!」


 戦闘開始だ。


 「負け、認めるわけはねえよな」


 「当たり前だろうがあ、お前、いつもそれえ確認してるよなあ」


 流石に無理だ。

 殺し合いをしなければ、勝者は決まらない。


 それに、命乞いがどうとか言ってるやつが、敗北を認めるわけがない。

 そして、俺の読みだと、コイツは。

 コイツは、悪人だ。


 「【氷結槍(ルピナス・グラキエス)】!」


 様子見で二本だ。

 コイツはどう出る!


 「ふんっ」


 こん棒を一振り。

 【氷結槍(ルピナス・グラキエス)】に対してコイツがしたのはそれだけだった。


 こん棒に対して、二本の氷柱は砕けた。

 いいや、()()した。


 「なっ!どういうことだ」


 普通、剣やこん棒みたいなので氷柱を砕いたり、落としたりする。

 だけど、そのこん棒は、氷柱を消滅させたのだ。


 「魔法が使えないヤツの特権だあ。

  無魔の棒。このこん棒の名前だあ。

  魔法が使えなくなる代わりに、ある程度の魔法を無効化するう。

  魔道具ってやつは便利だなあ」


 魔法の無効化。

 俺は、この戦いで、魔法を封じられたのだ。

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