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序章
はじめての投稿となります、よろしくお願いいたします。
鴨の水掻きという言葉がある。
のんびりと見える鴨も、水面下では足で水を搔き続けている…転じて、それは誰だって人知れない苦労があるという例え。
そう、誰だって見えないところで苦労や努力をしているものだ。それは意味深な言葉を投げかける神出鬼没の魔法使い、闇深い過去を抱えている騎士、顔を見せない女王も、時季外れやってきた不思議な転校生だって。
様々な物語…人生に登場する所謂『ミステリアス』な人々も、その謎めかしい雰囲気や状況を作るのに苦労しているのだ。
決して語られずとも…いや、寧ろ悟られてはいけないのだ。
だって、人は謎に惹かれるものだから。
だって、影の立役者は目立ってはいけないのだから。
だって、普通にそういう雰囲気を作るために奮闘してるのが少し恥ずかしいから。
こうして、彼らは今日もそれぞれ案外俗っぽい悩みを胸に、人知れず努力をするのだったーー
物語に出てくるミステリアスなキャラたちが、自分のキャラを守るために奮闘するお話です。