初戦、時間停止使い
ゲン:
「……ただ戦場に転送されて、相手を殺すだけか? それだけ?」
マグバル:
「その通り! いつでもいいぞ」
少し考えた後、ゲンは言った。
「今でいい」
次の瞬間、ゲンは巨大なビルが立ち並ぶ無人都市に一人きりだった。空を見上げると、天を覆い尽くす巨大な瞳がこちらを見下ろしていた
ゲン:
(あれが……神の目か? 観戦してるのはデウスだけじゃないだろうな……他の神々も当然見てるはずだ)
突然、逆さに落下してきた同年代の男。黒い髪に緑色の瞳の学生服姿。ウサギは拳銃の構えで指を向ける。
「『K』」
テニスボール大の光球が指先から放たれた。
ゲン:
「説明は……無しか!」
不壊のナイフで間一髪、光球を切り裂く。
ゲン:
「こんな能力、聞いてないぞ」
上着を脱ぎ捨てるウサギ。
「やあゲン・ゴット……俺はウサギ……だよな?」
ゲン:
「そうらしい」
二人は距離を置き、睨み合う。
ウサギ:
「で……えっと……殺すぞ!」
ゲンの唇が歪む。
「感情ゼロだな」
ウサギ:
「まあいい……お前が無能力者のゲン・ゴットだろ? どうやって殺すつもりだ?」
ゲン:
「『K』? 誰も教えてくれなかった……時間停止できることしか」
ウサギ:
「知るかよ。能力なんて教えねえ。勝手に頑張れ。お前は無能力者だろ?どうやって俺を殺すつもりだ?」
ゲン:
「作戦はある」
ウサギ:
「俺には不要だ」
ゲンが歩み寄る。
ウサギ:
「近づいてくる? 俺の能力も知らないくせに!」
ゲン:
「知ってる……使うんだろう」
ウサギ:
「『極大能力』――『静寂空間』!」
ゲン:
(性急なやつだ……)
黒い球体が二人を包み、全ての動きが封じられる。
ウサギ:
「これが俺の『極大能力』……お前に解説する義理はないが、一つだけ教えてやる。『5秒』は『動き』がカウントされる。今みたいに喋るだけなら時間は進まない……お前は意識があるが、動けない」
ゲン:
(「お前のような奴に」? マグバルは『K』のことを……)
ウサギ:
「なぜ近づいた? 何を企んでるゲン・ゴット!? ……まあいい。運がなかったな」
逆手の拳銃ポーズ。
「『反転K』」
螺旋状の光球が空中で静止。
ウサギ:
「解除」
同時に結界が崩れ、光球がゲンの胸へ――『静寂空間』中は物体も静止する。『K』も『反転K』も、5秒経過か解除が必要だ。
轟音と共にゲンは遠くへ吹き飛ばされ、一本の通りを飛び越えてビルに叩きつけられる。
なんとか立ち上がりながら思考。
ゲン:
(……理解した。『反転K』は反発する力か。吹き飛ばされただけで、実際に切り刻まれたわけじゃない……なら『K』は逆で……引き寄せるなら最初に襲われるはずだ。そうじゃない。たぶん斬撃系の攻撃だろう?)
再び歩き出すゲン。
ウサギ:
「ああ? 死んだかと……さすがゲン・ゴット」
ゲン:
(こいつ……俺を知ってる? 意味がわからん……)
気に入ってくれたらブックマークしてくださいね