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英雄譚  作者: 鈴木 雫
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第八十五話


(プロローグ―操り人形)

・レイ視点


 誰かいないの?

 この瓦礫の下で誰かいないの?

 死を待つ時間は意外にも長い。

 楽に死ねるとは思っていない。

 自分は国を守れなかったのだから。

 多くを守れなかった。その報いを受けるには当然の死に方だ。

 瓦礫が落ちてきて、それを避けることができなかった。

 雷が降り、森を荒野へと変貌させた。

 誰も生きては帰れない。


「やぁ。こんなところでどうしたの?」

「あ、あなたは?」

「場所を変えようか。」


 真っ暗になった。

 そこには椅子が4つ並んでいるだけ。

 誰も座っていない椅子が。


「レイ。ゆっくり話そうか。」

「ど、どうしてわたくしの名を?」

「知っているとも。もちろんね。」


 声だけのこの存在はなんだろうか。

 神?


「君の国は滅んでしまったね。どうするの?」

「それは……」

「力を貸そう。君に。」

「ほ、本当ですか!?」

「うん。君の国興しに協力するよ。『創造』君にぴったりだ。」

「『魔法』…?」

「ふふふ。違うよ。『権限』だ。そうだなぁ、でも素材が無いね。あ!そうだ。素材ならいっぱいあるじゃないか。【アルドリア】の本国には人が残っている。それを使おうか。」

「は、はぁ。」

「でも、それじゃ足りないね。君は、『創造』で国を作り直すだけの素材をあつめなさい。」

「わ、分かりました。」

「その方法として、奴隷制の展開と〈魔王〉の存在をでっち上げるの。分かったかい?」

「ですが、どうやって…」

「簡単だよ。『創造』で兵隊を作るんだ。それによって、国の政治に干渉すればいい。分かったかい?」

「は、はい!」

「じゃあ、行っておいで。僕も応援しているから。」


 目の前が瓦礫の下へと戻る。

 感覚で『権限』の使い方が分かった。


『創造』


 目の前に木を作り出し、瓦礫をどける。

 先ほどまで重症だったのも、治すことができた。

 【アルドリア】なら、人間でないと目立つ。


『創造』


 自分の体を作り直す。

 完全な人間となり、この世に足を付ける。


「兵隊ね…。そうだ。」


 自分が一番信頼し、最期まで私の命令に従ってくれた彼らを頼ろう。


『創造』


 8人の兵士を作り出す。

 彼らは神兵。私の側近だった人物達だ。

 素材には限界がある。

 【アルドリア】の本国に残っている素材を使ってもできる範囲は限られる。

 彼らに力を持たせ、奴隷制と〈魔王〉を浸透させるだけでなくなるだろう。


「あなたたちの数字を一度剥奪し、新たに数字を与えます。

アハト。あなたには『分身』を与えるわ。

 ズィーペン。あなたには『浮遊』を与えるわ。

 ゼクス。あなたには『ルール』を与えるわ。

 フュンフ。あなたには『泉』を与えるわ。

 フィーア。あなたには『物体移動』を与えるわ。

 ドライ。あなたには『浅識』を与えるわ。

 ツヴァイ。あなたには『身体強化』を与えるわ。

 アインス。あなたには『全肯定』を与えるわ。」


 ひれ伏している彼らに訴えかける。


「あなたたちは最後の【共和国】人として、任務を与えます。『権限』の素材集めを行い、国を復活させるのです。種族はそのままに、自分たちの力を存分に振るいなさい。」


 そうだ。私には王としての責任がある。

 国を守らなくてはいけない。

 【アルドリア】の侵略を許してしまったけど、今度こそは負けない。

 絶対に。

 ここで反撃の旗を掲げよう。


「行きましょうか。私たちの国へ。」


ここまでお付き合いしていただき誠にありがとうございました。

これにて『英雄譚』の方を完結とさせていただきます。

誤字脱字等、多々お見受けされたと思います。読みづらい中でも最終話までご愛読いただいた皆様には深く感謝申し上げます。

是非今後ともよろしくお願い申し上げます。


『異世界からのやり直し』の過去編は完結を宣言させていただきました。

次は『異世界からのやり直し』の未来のお話を描かせていただきます。

『世界を渡って辿りつく』と題させていただきました。見ていただけると幸いです。


次回以降も自分のペースで投稿させていただきますので、暖かい目で見守っていただきたいです。

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