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英雄譚  作者: 鈴木 雫
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第六十二話


 教会のある都市。

 【ルミナール】。明るい雰囲気の胡散臭いと感じる場所。


「レイヴァン。お願いしてもいい?」

「……」

「ありがとう。」


 レイヴァンは声を出していないはずなのに会話が成立しているように見える。


「じゃあ。行こうか。」


 作戦としては、レイヴァンとガルフォードが最初にアクションを起こす。

 ある程度時間が経ったら俺とイザルナとオルメンドとルガンが行く。

 俺たちは最低限しか戦わない。先行する二人は戦闘をメインに行動するが、殺しはしない方向で行く。


 レイヴァンとガルフォードが歩いていく。


「頑張って。」

「ああ。レンジも姫様達を頼むぞ。」

「任せてよ。」

「ああ。行ってくる。」


 二人の背中を見送る。

 自信に満ちたその背中を見習いたい。


「大丈夫だよ。」

「そうかな。」

「二人がこの中で一番強いからね。」

「そうだね。」


 イザルナが横で話す。


「こっちも準備始めようか。」

「分かった。」


 四人で地図を見る。

 しっかりとした地図じゃない。イザルナが書いた大体の地図だ。


「書庫まではこのルートが一番早いけど、こっちのルートの方が安全だからこっちで行こうか。」

「そうですね。私たちは戦えませんから。」

「そうだな。俺も戦闘面は期待しないで欲しい。」

「分かっているよ。二人には、私と一緒に本を探すことをメインに動いてもらう。レンジが護衛として常に動いてくれるから。」

「分かりました。」

「分かった。」

「レンジは本を探すよりも、周囲の安全の確保をお願いね。」

「うん。分かってるよ。」

「書庫の通路は4つ。3つは完全に塞いで、通路を一つにしておく。そこが唯一の出入り口だから通路に人が見えた瞬間によろしくね。」

「殺さずに鎮圧だよね?」

「そうしてくれるとありがたいね。」

「分かった。頑張るよ。」

「3人で秘密部屋を探すから、本棚には触らなくていいよ。違和感がある空間を探して欲しい。」

「でも、この大きさの部屋に違和感を覚えることができるのか?俺は、こんな大部屋を見たことが無いから分からんぞ。」

「そこは問題ないと思うよ。多分、『魔法』で構築された部屋のはずだからね。普通にはない違和感があると思う。推測だけどね。3人でなるべく早く見つけなくては。教会に軍が到着してからでは脱出できなくなるからね。ガルフォードとレイヴァンが持ち堪えれるのはそんなに長くないと考えた方が良い。」

「分かった。」

「分かりました。」

「本回収後は、私とオルメンド、ルガンは先に馬車に『移動』する。レンジは2人を回収しつつ帰って来てほしい。」

「分かった。」

「まだ、時間があるね。少し、ゆっくりしようか。気は休まらないと思うけどね。」


 そう言って、解散する。

 俺とルガンはそのまま残って気を紛らわす。

 イザルナとオルメンドは馬車に戻っていった。


「緊張してるのか?ルガン。」

「あ、ああ。少しな。今まで居残り組だったから、言ってしまえば最初の戦場だからな。緊張で吐きそうだ。」

「それは、何よりだ。」

「は?」

「ガルフォードに言われたんだ。弱気な者は生き残れるって。」

「励ましの言葉か?」

「いや、経験談だよ。」


 【アッシュホルム】で魔法陣に殺されかけた場面を思い出す。

 あの時に、後退していなかったら死んでいただろう。

 今思えば、びびって武器を捨てて逃げ出して正解だったのかもしれない。

 みんなは勇敢だった。勇敢で、魔法陣に気づいていながら前進した。

 武器を持って。前を向いて。足を止めなかった。

 だから、俺は生き残った。元ルームメイトのためにも、勇敢でなければいけない。

 俺の初陣は終わったのだから。


「流石に場数を踏んでいるだけあるな。」

「そう?」

「落ち着きが違う。」

「俺だって最初は震えて剣を持てなかったさ。」

「今は違うもんな。」

「うん。変われたって信じてるよ。」

「そうだな。俺も変われたかな。」

「変わったじゃないか。」

「何かに怒って、縋るだけの犬じゃなくなった。感謝してる。」

「良かった。恨まれてたら大変だ。」

「当たり前だ。俺は狼だからな。そこらへんで野垂れ死んだら笑われる。」

「頑張ろうね。」

「おう。」


 ハイタッチをする。


「じゃあ、そろそろ行こうか。」


 馬車から二人が出てきた。


「うん。」


 ここでの大仕事。

 これが最後になることを祈っている。神にではなく、自分たちに。


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