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英雄譚  作者: 鈴木 雫
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第四十三話


・ガルフォード視点


 王宮の門まで到着した。

 周囲の反応を伺っている場合じゃない。

 元職場で暴れさせてもらう。


「貴様。ガルフォードか。」

「ああ。どいてくれ。」

「それはできない。」

「そうか。悪いな。カイル。」


 門番には元同僚も居た。

 彼には申し訳ないが、ここをどういてもらう。

 お互いに知り尽くしている間合い。

 長くともにしてきたため、お互いの短所と長所を知っている。

 一瞬でも遠慮したほうの負け。

 剣を抜き、息がかかるほど接近する。

 一撃で勝負は決まった。

 カイルが振り切った腕を切り落とし、蹴りで首の骨をへし折る。

 苦しまないようにとどめも刺す。


「ギルとジルは裏から回れ。どこに幽閉しているか分からない今、片っ端から探すしかない。俺はこっち方面を探す。」

「「分かった。ガルフォードも気を付けろよ。」」

「ああ。」


 普段なら単独行動はしないが、今は違う。

 昔世話になった人たちを殺して回ることになるだろう。

 その時に誰かの顔がちらつくと集中できない。

 だから、今は一人になりたい。


「行くか。」


 気合を入れなおし、前進する。

 姫様が居る場所の候補が多すぎる。

 普通に部屋に居るだろうか。

 違うだろう。あれだけ騒ぎを起こした姫様が普通な場所に幽閉されているはずがない。

 ならば処刑場か?

 これも違うと思う。わざわざ殺すために連れ戻したのはおかしい。生首だけ持ってくれば解決するし、大々的に王家が身内の恥を晒すわけがない。

 地下牢はどうだろう。

 表向きには存在しない場所。王家に歯向かった謀反人を隔離しておくその場所は、隠しておきたい身内にピッタリではないか。

 いや、待てよ。自分の手で殺したいという願望があるかもしれない。

 それだったら処刑場に居てもおかしくない。

 どっちだ。この二択を外すわけにはいかない。

 フィリスとレンジがどこに居るかを知りたいところではある。

 クソ…!優柔不断な自分が憎い。

 近い処刑場の方から回ってみるか。

 そろそろ着くころだし。

 人が居ない道筋を知っているから誰とも会わずにここまで来れた。

 処刑場の扉を触る。

 鍵が開いていることに気が付く。

 ここが当たりか!

 強く扉を開けて中を確認する。


「ガルフォードか!久しいな!!」


 血まみれの元同僚。

 ダリオス。それが彼の名前だ。

 そんなことはどうでもいい。

 今は地面に注目したい。

 血まみれで生きているのか分からない今の仲間。

 名前はフィリス。


「帰って来る気になったのか!!お前は強かったもんな!!歓迎するぜ!!」


 全然話が入ってこない。

 フィリスが死んだ…?こいつに殺されたのか…?


「ダリオス。」

「なんだ!!ガルフォード!!」

「フィリスに何をした…」

「フィリス…?こいつの名か!?」


 ダリオスは転がっているフィリスをつま先で小突く。

 ぐったりしたフィリスに頭が真っ白になる。


「ああ!問題ない!!侵入者を殺すのが俺の仕事だからな!!」

「フィリスが死んだ…?」

「なんだ!!お前らしくもない!!昔のお前なら誰が死んでも笑っていただろうに!!」


 そうだった。昔は命令に忠実なただの兵隊だったな。

 でも、変わったんだ。変わりたかったんだ。

 だから、姫様について行った。


「彼女を返してもらう。」

「返す?お前変なことを言うようになったな!!この肉塊を持って帰ってどうするんだ?」


 剣を抜いて、接近する。


「お前…やる気か?」

「ああ。昔のよしみでも手加減できそうもない。」

「良いじゃねぇか。面白れぇ。見せてくれよ歴代最強の親兵の実力をよぉ!!」


 これにまた世話になるとはな。

 封印していたわけじゃない。

 ただ、昔の自分を思い出したくなかった。戻りたくなかった。変わった自分で居たかった。

 でも、手加減して倒せる相手じゃない。


「『剣豪』」

「『虚実』」


 こいつが使う『魔法』のタネは分かってる。

 『虚実』。口から出たでまかせを本当にしてしまう。デメリットは存在する。真実は嘘になってしまう点と真実になる可能性がある事柄には干渉できない点だ。

 よくもこんな複雑な『魔法』を使えるな。

 それに対して俺の『剣豪』は、自分のポテンシャルを引き出すだけでなく相手が剣士ならばその剣士の間合いや動きを完全に再現できる。故に相手の動きを先読みできる。

 今は『共有』がないため、長時間『魔法』を使用することはできないだろう。


「本気のお前とやれるなんて光栄だ!!どこからでもかかってくると良い!!」


 剣を全力で振りぬく。剣と剣がぶつかるが、こちらの方が優勢だ。

 ダリオスは態勢をわずかに崩すが、すぐに二撃目を繰り出してくる。

 それを簡単にかわし、首元に剣を向ける。


「そんなんで俺が死ぬわけねぇだろ!!」


 剣が首にぶつかる前に、相手の腹を蹴って距離を取る。

 首に剣が当たっていたら折れていただろう。


「流石に手札が割れていたら戦いにくいなぁ!!お互いそうか!!もう息が上がっているぞ!!」

「はぁ、はぁ、ここからだ。」

「そうだよなぁ!!ここからじゃないとおもしろくないよなぁ!!」


 いちいちでかい声出しやがって。

 しかし、キツいな。

 久しぶりにこの『魔法』を使う。

 『共有』がない今、長い間戦うのは不可能だ。自分の魔力が足りない。

 すぐにでも、こいつを殺さなくては。


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