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英雄譚  作者: 鈴木 雫
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第十三話

「そんなに警戒しなくても結構ですよ。」

「俺…私に何か用ですか?」

「無理に敬語を使わないでください。普通に会話していただいて結構です。」

「わ、分かりました。何か話でも?」

「そうですね。まず、座ってください。」

「はい」


 先ほどまでイザルナが座っていた椅子に座る。

 今まで座ったどの椅子よりも座りやすい。王様が使っているようなものはどれも高級品と言うわけだ。

 緊張で話が入ってきそうもない。


「そんなに怯えないでください。」

「そう言われても…」

「そうでしょうね。あなたから見て、彼女らはどう見えますか?」

「どうって言われても…戦争終結のために頑張っているように見えます。【アルドリア】では捕まっている人々を解放していましたし、いろいろな人に感謝されていました。だから、俺は彼女たちを信じて同じ道筋を辿ってみたいです。」

「そうですか。彼女は高い評価を貰っているのですね。しかし、私はあなたの話が聞きたいです。」

「俺の?」

「そうです。もっとお話がしたいから、体を流して私の部屋に来てくれないかしら?」

「それって…」


 使用人に部屋を追い出されるように外に出る。

 風呂の場所に案内されて、体を洗う。

 どうしたんだ。なんで、風呂に入る必要があるんだ。疑問点が多すぎるが、理由を聞く前に王の部屋に案内される。

 大きな部屋だ。一人では使いきれないであろう部屋に寂しく座っている美女が居た。


「来たのね。」

「はい。なんの話をするんです?」

「良い話よ。そこに座って。」

「え?でも…」

「良いから。」


 座るように促されたのはベッドだった。

 体を押されるようにベッドに押し付けられる。


「これはまずいですよ。」

「何がですか?生物として繁殖行為のどこがまずいのですか?」

「い、いや、だって、俺は平民ですし、その、王様なら、も、もっと、ふ、ふさわしい人物が居るでしょう…」

「王にだって、性欲はあるのですよ。」

「ちょっ…」


 強引に服を脱がされ、半裸になる。

 全然頭が回らない。なんでこんな平民に欲情してんだこの王様は。


「そう…」

「?」

「この石。どこで手に入れたの?」


 首にぶら下がっている石を触りながら質問される。


「地元で貰いました…」


 質問の意図が分からず、正直に答える。


「結構。もう服を着て。」

「え、は、はい。」


 なんなんだ、この身勝手な王様は。

 ちょっと期待したやん。

 しぶしぶ服を着る。


「少し、待っていてね。」

「分かりました…」


・レイ・セレシア視点


 最悪の気分。幸運と言い換えても良いかもしれない。だって、探していた人物が目の前に現れたのだから。

 目の前の青年は自分の本当の名前も知らないような世間知らずだが、これを王反対派に知られる訳にもいかない。

 国の繁栄を望んだ王家を没落させることができるほどの影響力を彼に秘められている。


「神兵を呼びなさい。」

「かしこまりました。」


 少し頭を抱える。なんで、自分が王の時にこんな一大事を抱えなくてはならないのか。

 先代のやらかしの責任がなぜ私なのか。

 静かな廊下で私だけがうるさかった。


「お呼びですか?」

「ええ。モノ。部屋の中に居る人物を生首にして頂戴。」

「かしこまりました。」


 王直属の近衛兵、神兵は王のわがままを聞くのが仕事だ。

彼らには数字が与えられる。ニックネームのようなものだ。元の名前を消して王への忠誠を誓う。すべてを捨て、王に仕える者が神兵と呼ばれる8人の騎士だ。

 モノは部屋の中に入っていく。


「王。大変です。誰もいません。」

「なんですって!?」

「窓が開いています。逃げたのでは?」

「すぐに探して。」

「かしこまりました。特徴はどのようなものですか?」

「王家の石を持ってるわ。」

「かしこまりました。」


・レンジ視点


 生命の危機を感じたため、窓から逃げた。

 かなりの高さがある。少しずつ下っていく。着実に。落ちないように。

 下を見るたびに震えが強くなっていく。

 かなりの時間をかけて、地面に足を付けることができた。


「居たぞ!!!」

「やべ」


 地面に着いた瞬間から、追いかけっこが始まる。

 捕まったら死にそうだ。足の震えを抑え、走る。

 喉が痛くても、肺が悲鳴をあげようとも。ただ走る。


「どこに行った!?」

「こっちを探してくる!!」


 数人がかりで俺を探している。

 なんでこんな…。イザルナたちに合流しようにも、今向かったらイザルナの邪魔をしてしまうかもしれない。


「お兄さん。何してるのかな?」


 背筋に緊張が走り、振り向く。

 汗が吹き出し、最期を覚悟する。


「レンジ。大丈夫かい?」

「先生…!」


 フィリスがそこには立っていた。


「なんでここが?」

「私は魔法師だよ。人探しなんて簡単。さぁ、こっち来て。」

「分かった。」


 フィリスに連れられて、家に移動する。


「おかえり。レンジ。」


 深刻そうな顔でイザルナが出迎えてくれる。


「助かった…」

「早速で悪いけど、服脱いで。」

「え?」

「早く。」

「いや、何言ってんの?」

「レンジ。姫の命令だ早くしろ。」

「ガルフォード脱がせて。」

「かしこまりました。」


 ガルフォードに無理やり、衣服を脱がせられ全裸になる。


「何するの!?」

「姫の命令だ。安心しろ。男女の関係に無粋なことはしない。」

「い、いや、まずいでしょ!」

「レンジ」

「姫を」

「「頼んだぞ」」

「二人まで…」


 茶化しているのか真剣なのか分からない。

 イザルナだけが真剣な目つきだ。


「そういうことね。もういいわ。服着て。」

「なんなんだよ…」

「説明してあげる。服を着たら。」


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