6.クリスマス
Merry Christmas!
「メリークリスマス!!」
「テンションたっか……」
「ねみぃ…」
「……(zzz)」
なんか既に一人寝てるんだけど!?
「リリアナ、せめてもう少し起きてなよ」
「今昼だけどな」
「睡眠不足が五人」
そのうち一人寝かけてる……というか、既に寝始めてるけども。
「一人寝不足じゃなくて貧血だよ」
「………ほんとに容赦ない」
「迷わず採血してたな」
「してた本人熟睡してるけど」
「「叩き起こせ」」
酷い従者と再従兄がいる。
ベシッ、とリリアナの頭を叩くと、まだ目は覚めてないのか寝ぼけてる。
「……」
「そんなに睨まれてもね?」
「………」
「おいこら。また寝ようとすんな」
リリアナ、学習しようよ。
「プレゼント交換のときだけ起きてれば良いでしょう?」
「ほんとに寝入ったら起きないの知ってるのに寝かす訳ないだろ」
「五分……」
「フォールトはともかく、リリーは自分が悪いから却下」
「…ユイ、ヘルプ」
「今いねぇよ」
リリアナ、言葉崩れてるよ。ほんとに隠さなくなったな。
「リリーちゃんのこういうの、新鮮だねぇ」
「バレてるなら隠す意味」
「公爵いるときはちゃんとしろよ」
「中と外じゃちゃんと分けてるからへーき」
「オンとオフが分かりすぎ」
「ティアナたちはゼロのときで会ってるんだから慣れてるでしょ」
片手で数えられる回数しか会ってないけど。
「数回会って慣れるのはリリアナだけだよ」
「悪魔は慣れてると思いますよ?」
「前も名前じゃなかったけど悪化してない? 元悪魔だから。それに、その呼び方だと聖女もどきもそうだよ」
「私今神族だけど? この国の建国神だから。あんたより上だからね?」
んー、そこは昔何があったの?
「クリスマスどこいった」
「ある意味いつも通り」
話が逸れるのは確かにそう。
「リリー、ケーキ」
「ユイが持ってきますよ」
「薬入れてないよね?」
「私たちも一緒に作ったから大丈夫」
クリスマスケーキね。どうせなら作ろうって女子陣で作った。最初、リリアナに作ってもらう予定だったんだけどね? 王太子殿下たちからリリアナが作った薬が入ってる料理のこと聞いたから心配になってね。
「ナイジェルはこれ大丈夫なの?」
「すごい帰りたいけど、この二人置いて帰ったら何するか分かんないし」
ナイジェルさん、ラテさんと王太子殿下の保護者にされてない?
「……とりあえず、ケーキ持ってきましたよ」
「ケーキを魔法で切り分けるっていう……」
リリアナ、それ加減間違えたらケーキ壊れるやつでしょ。
「中にチョコ入ってる」
「ショートケーキ派とチョコケーキ派がいたのでチョコ中に入れました」
「チーズケーキ派いなかった?」
「おばあ様がくれたので今度食べます」
クリスマスは普通ショートかチョコでしょ。
「ミルクレープでも良かったな」
「第一様に頼まれて作ったのがありますよ」
リリアナ、料理上手いのに変なの混ぜるから、それさえなければね。それさえ。
「再従妹殿。毎回俺へのプレゼントで変な味するのわざとだろ」
「お再従兄様への作ってると毎回誰かさんが何かいれてくんですよ。面倒だからそのまま使うけど」
作り直しなさいよ。材料いっぱいあるんだから。
「……気にしないようにしてたけど、あのツリー何」
部屋の端っこにある、微妙に大きい袋が下がってるクリスマスツリー。絶対何か入ってるよね?
「お父様が帰ってきたら渡そうかなと」
「吊るしてあるのは」
「机に置いとくと紛失するので」
それ、リリアナが掃除しないからじゃ……。
「中身は?」
「クッキーとマカロン」
プレゼントもそれっぽいな?
食事も程々に、プレゼントをどう交換しようかと言う話に。
「簡単なの。イカサマが介入しないやつ」
「ブラックジャック」
「この人数キツくない?」
「じゃあダイス振って小さい数の人からで」
そうして決まった順番に取っていくと、
「……ピアスホール開けろと?」
「時計。……この中じゃ当たりか」
「人形とお菓子」
「誰、模型銃プレゼントにしたの」
「キーホルダーたくさん」
「えっと、ミサンガ?」
「プレゼントに本いれたの誰」
と、おかしなのが出たりも。
エルヴィス、それ婚約者のプレゼントだから、着けてあげな。殿下は見事にリリアナのを当てたようで。
「このメンバーでカチューシャプレゼントにするのはどうなんだ?」
「サジュエル、婚約者はそれ着けるのを希望するみたいよ」
先輩、男子が多いのになんでカチューシャプレゼントにしてるんですか。見たいけども!
「薬にしようとしたらゼクトに没収されたんですよね」
「当たり前だろ」
「害はないですよ」
害はってところがリリアナらしいよ。ほんとに。
プレゼントで一番ヤバかったのはフォールトの魔道具です。リリアナに渡ってゼクトが没収するのに苦労したのは言うまでもない……。
さて、次は年末と元旦………どうするか。