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エピローグ

 エピローグ





『皆さん!!この王都を襲ったスタンピードから、私たちを守り抜いた英雄に大きな拍手をよろしくお願いいたします!!』


 わーーー!!!!



 王城から眼下に広がる民衆に向けて、スフィが大きな声でそう言うと皆からは歓声と拍手が巻き起こった。


 スタンピードから王都を守り抜いたその日の午後。

 冒険者ギルドで話をしていたところ、早速俺たちは王城へと呼び出され、そのままこの場へと案内された。




「今の話をまとめると。俺のところだけじゃなかったんだな。魔族の『素体』が襲撃してきたのは」


 冒険者ギルドの会議室。

 サリンとの死闘を終えた俺たちは、その一部始終を皆に話していた。


「そうですね。俺のところにもルシアと名乗る魔族の素体が転移の魔法陣を使ってやってきました。かなり強力な魔族でしたがリーファさんのお陰で撃退することが出来ました」

「私のところでは鬼神と名乗る魔族でしたね。オーガの変異種かと思いましたが、死体が作られた物のようでした。きっと素体という物で間違い無いかと思います」

「私たちのところには来ませんでした!!ゴブリンキングとオークロードがいきなり目の前に現れた時は流石に驚きましたが、何とかなりました!!」


 ハーピーの羽根のミカさんの報告を聞いたリーファが、目を細めて彼女に言葉をかける。


「ゴブリンキングとオークロードを二体同時に相手にするのは大変だったでしょ?良くやったわね」

「ありがとうございます!!ですが、皆さんに比べたら楽な部類かと思います……ま、魔族なんてやって来てたら……」

「もしかしたらそのゴブリンキングやオークロードも、魔族が転移魔法で送り込んできたのかもしれないな」


 俺がそう言うと、その場にいた全員が首を縦に振った。


「その可能性は高いわね。それと今回はこれで済んだけど、まだまだ終わりじゃない可能性が高いわね」

「そうですね。鬼神も再びやって来るという話をしてましたからね」

「ルシアと名乗る魔族も同じです」

「それは俺の方も同じでしたね」


 俺がそう言うと、ミソラが軽く笑いながら言ってきた。


「まぁベルの場合はハーレムに加わる可能性もあるからね」

「ちょっとベル!!どういう事よ!!??」

「ベルフォードはサリンという魔族も口説いてましたからね。相手も満更ではなさそうでしたよ」

「……そんなことは無いから安心してくれよ」



 そんな話をした後に、俺たちはこうして王城へとやって来て民衆の前で喝采を浴びているわけだ。


 てか疲れてるから本当なら早く帰って眠りたい……


 なんて思っていると、スフィが俺を見てふわりと笑みを浮かべた。

 そして民衆に向けて大きな声で言葉を放つ。


『私は昨日、皆さんの前で言いました。このスタンピードを乗り越えた暁には、冒険者を引退したベルフォード・ラドクリフ氏に『勲章』を授けることにします。と!!』


 あー……そう言えばそんなことを言ってたな。


 俺がそう考えていると、スフィは俺を手招きをして呼び出した。

 なるほど。用意してたものがあるんだな。


 俺は特に疑うことも無く、彼女の元へと歩みを進める。


「……ベルフォードさん。覚悟してくださいね?」

「……え?」


 俺にだけ聴こえるようにスフィはそう言うと、そのまま民衆の方へと振り向いて彼女は言葉を放つ。


『このスタンピードから王都を救ってくれたベルフォード・ラドクリフ氏には私と『結婚する』と言う勲章を与えます!!』

「はぁ!!!???」


 ちょっと待ってくれ!!そんな話は聞いてないぞ!!


 だが、そんな俺の叫びは民衆の歓声でかき消されてしまっている。

 向こうの方ではリーファとツキが何かを叫んでいた。


『このガルムでは一夫多妻制が採用されてます!!ベルフォード氏には何人『側室』が居ても構いませんからね』

「ちょっと……ちょっと待ってくれ!!」


 そして、混乱する俺の顔を掴み、スフィはニンマリと笑う。


「ベルフォードさんの『正妻』は私ですから」

「す、スフィ……っ!!??」


 ガルムの民衆全てが見守る中、俺とスフィはキスをした。


 絶叫のような歓声が国を揺るがした。




 ……あぁ、なんでこんなことになったのかなぁ。

 冒険者を引退して、故郷でのんびりとスローライフがしたかっただけなのに。


 そんなことを考えながら、俺は視界の端でこちらに向かって走ってくるリーファとツキを見つける。そして、この後の惨劇を想像して頭が痛くなった。




 Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~



 ~完~



 第2章へつづく


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