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その名はハリウッド

 萩原豪志。


 非常にたくましいお名前をお持ちだった彼は現在、異世界で今にも哀れに泣き崩れそうな金髪美少女になっていらした。


 ここで『豪ちゃん、可愛くなっちゃって』と言ってみたらどうなるだろう。


 いやでももしかしたら天使のような美少年だったかもしれない、豪ちゃん。


 どうやったら記憶があるかを確認できるだろう。

 タイムリミットはすぐそこだ、考えろ! わたし!



 焦るわたしを尻目に彼女はホットミルクを飲み終えた。

 気のせいかほんの少し頬が上気している。

 それもうっすらチークを乗せたような美しさ。

 本気か豪ちゃん。


 どうしよう、これでうちのフォグも真っ青なムキムキマッチョなプロレス好きとかだったら。

 刃牙だったら誰が好き? とか聞いてみようかな。

 待て、それはムキムキさんだった場合だ、落ち着けわたし。ウィーン少年合唱団だった場合は通用しない。



 わたしがかつてこんなにも1人の人間について考えた事があっただろうか。

 いやない。


 どうしよう、ロゼリアは席を立って兄に礼を言い、今にもドアから出て行こうとしている。


 どうする、どうするわたし、急げ! 


 だがどうしていいか分からず、わたしは思わず叫んだ。



「カ……カムバック!」



 はあ? という顔で振り向く軽蔑したような表情の兄。

 きょとん、とした様子のアイラ。

 あまり感情を面に出さない使用人たち。


 そしてその中に混ざって、何か言いそうになったのか口元を手で押さえたロゼリアがいた。


 ええい、勢いだ、行け!


「シェーン!」


 ロゼリアの目が大きく開かれる。そしてその美しいほっそりとした白い手が下ろされた。

 そして応える。


「カムバック!」


 わたしは嬉しさのあまり彼女に駆け寄る。


「グッバイ!」


 彼女もわたしの元へと駆け寄ってきて大きく腕を広げた。


「シェーン!」


 わたし達は涙をにじませ、笑いあいながらガシイッと抱き合った。


「「シェーン、カムバック!!!」」


 言葉にならない。

 だがそれでいい。

 わたし達は言葉ではない共通の言語で語り合えるのだ。


 そう、ハリウッドという!




 映像文化、ばんざーーーい!!










今回短いです。

でもどうしてもこの勢いで行きたかったのです。すみません。


『ビルマの竪琴』でも良かったのですが、主人公の年齢的に知らないだろうな〜、と……。

「水島、一緒に日本へ帰ろう!」

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