敵の数は少ないほうがいい
その後しばらくわたしはゾンビゲームにハマっていたが、ここで問題が発生した。
「これ、クリアってどういう条件?」
よく考えるとエンディングらしいエンディングがない。
「うーーん、ゾンビ1万体倒したら、とかは?」
「ムリ! そんなたくさん出ないし!」
「うーーん、でも1日50体としたら、200日で達成だよ?」
「いや50体……んーー? うーーん、そんな出るかなー? 無理な気がするけど……一応やってみるよ」
ムリそうなら変えてもらえばいいや、と軽く考えたわたしは、その後しばらくこのゲームを封印する事となったのだった。
わたしは悟った。
敵の数は少ないほうがいい。
そして倒さなきゃならん敵の数も少ないほうがいいのだ。
ゲームで平和は学べる。なんて素晴らしい。
そんなこんなで14年と少し経った。
ぴったり14年で一区切りではなく、少しオーバーしているらしい。
いよいよ今日は1周目最後の日である。
え?
あっという間?
時がたつのが早い?
そんな事ないよ。
みんな見てないところでドラゴンとも戦ったし、星々を渡り歩いたりもした。
何度も世界を救ったし、なんならいろいろ落ちてくるゲームもやったりした。
あ、コロニーじゃないよ? もっと可愛いやつ。
でもそんな他人がちまちまゲームやってクリアしてるのなんて面白くもなんともないし興味だってないでしょー?
そりゃすごい技とか繰り出されたりしたら見てるだけでも楽しいんだろうけど、こっちは素人だからね?
なので割愛。
じゃあパパッと100年飛ばしてくれよ、と思ったそこのあなた。
違うんだよ。
今日になってやつがこう言ったんだ。
「今日で1周目終了だねー、おつかれー。そろそろ一回くらいリアルに戻っとく?」
正直ビビった。
え、戻っていいの? って思った。
だってこっちは100年の孤独に耐えて勝利を掴む覚悟でいたわけだからさ。
「マジ? 戻っていいなら戻りたいけど問題ないの?」
「大丈夫だよ? 向こうで状況確認したらまた中に入ってくれればいいし。あ、100年入りっぱなしって思っちゃった? ごめんねー、いやいやごめんごめん。もしかしてなんかすっごい覚悟とかしてくれちゃってた? 100年頑張んなきゃ、みたいな。ぷぷっ」
ニヤニヤしながら言いやがった。
ほんと絶対わざとだよな!?
手元にあったのは今読んでるマンガ本だけだったので、投げつけるのはやめにした。
愛する本に傷がついてはいけない。
「ヒロインのフィリアからすれば、今キミがリアルに戻ったら、夢の匣から出て現実を過ごし始めたすぐの時期だ。様子を確認するのもアリなんじゃない?」
「それもそうね」
聞くところによると、フィリアは箱の中で上がったレベルをリアルに反映していないらしい。
そもそも最低限のレベルアップしかしていないらしいが。
わたしにとっての神のようなアドバイザーが存在しなかった事が1番の痛手のようだ。
なにしろ裏技も何も使えない。
だがリアルでのレベルアップ自体は可能なので、彼女がその手段を取ろうとするならば最大限邪魔はせねばなるまい。
許せ、ヒロイン。これも世界の正しい平和のためなのだ。
というか君、この世界からしたら悪の手先だからね、世の中を混乱に陥れる。
乙女ゲームの主人公のつもりでいるかもしれんけど。
そういうわけでわたしは1度、本体の実家へ戻ってみる事にしたのだった。
ていうかヒロインの名前フィリアだったね、そういえば。
すっかり忘れてたよ、いろいろ。
怒りとか薄まってる感じがするから、次からは戻る前には1回くらいやっとかなきゃね、あのゲーム。
☆名前☆ ミリアム・アスターク
☆職業☆ アスターク公爵家令嬢
☆年齢☆ 5歳
☆レベル☆ 1
☆スキル☆ ふしぎなセクシーダンス 追跡 言語 ステルス ステルスキル 鑑定 弓 ヘッドショット テイム 邪眼・石化(封印中) 保母 錬金 召喚・赤兎馬 召喚・TADAKATU 召喚・化け猫 召喚・天才パティシエ 召喚・杜氏 召喚・幻想的大型乗用鳥 キャラクタークリエイト(カラー変更のみ) 消防ヘリコプター 軍用戦闘機 ぷ◯◯よクッション
☆才能☆ 魔法の才