説明しよう
説明しよう。
エルリシアは、一時期大量に出回った乙女ゲームの中の一作「帝都に咲く薔薇」の登場人物だ。
登場人物と言っても、ゲームスタート時には死んでいるので出てくるのは肖像画なわけだが。
そして彼女がお腹の子と一緒に死んでしまったおかげで、我がアスターク家は分家に乗っ取られ、わたしはルートによって色々ろくな目に合わずに死んでいくという羽目になる。
まあ彼女のせいではないのでこんな言い方は申し訳ないのだが、ストーリー的にはそこから不幸が始まっていく感じなのだ。
なんちゅうこっちゃ……。
前世で大流行りだった異世界転生乙女ゲーム系。
そりゃあ確かに乙女ゲームに憧れた事がなかったといったら嘘になる。
でもそれは若いうちだけね。
そろそろ三十にもなろうかという独り身の会社員が趣味でも無い乙女ゲームとかやらないからね。
わたしの趣味はゲームよりもマンガや小説だったのだよ。
愛読してる中にはテンプレの乙女ゲー転生もあった。
でもそれは読み物として楽しんでただけでどうせ転生するならチート貰って俺tueeeのほうがいい。
社畜の闇舐めんなよ。
世の中の暗部とか山賊とか悪党どもぶっ殺す話の方がスカッとするだろうが!!
なんで婚約破棄やざまぁが流行ると思ってんだ! アホや腐った馬鹿がぶった斬られるのが楽しいからだろうが!
いやそれはね、確かに恋愛ものもいいよ? 読んでたよ? 楽しいよ?
けど自分がその中にいたいんじゃなくて向こう岸の映画みたいに楽しんでいたいわけさ。
まちがってもどろどろぐちゃぐちゃの当事者にはなりたくない、それが本音。
なのに……。
乙女ゲーのドアマット悪役令嬢とかマジ勘弁……。
さてこの「帝都に咲く薔薇」、もちろん舞台はナーロッパ。大陸一の帝国の公爵家、アスターク家の邸宅で次期公爵の選定が行われる。
乙女ゲームには逆ハーが欠かせない。そしてこのゲームもご多分に漏れず逆ハーものだった。
わたしは逆ハーが嫌いだ。ハーレムも嫌い。恋愛系ifルートとか小説でやられたら、『それゲームシナリオだろが!!』とジャンル警察並の激ギレ方をする、そんなタイプのオタクだった。
でもこのゲームの逆ハーは許せた。それはなぜか。R18がついてたからだ。
欲望のままにクソな内面晒してんだったらまあ許せるんだよ。人間なんて所詮ケダモノだからね。中身ゴミで醜悪な生き物だからね。
それを踏まえた上で社会を築いて理想を求める、そんな生き物。それが人間なのだと思うのです。
だから逆ハーでもまあいっかって思いながらやってたんだよね。
……なんてうそ。
ごめん今めっちゃ嘘ついた。
むしろ素晴らしいね!って思いながらやってた。
もっとガンガン行けよ!
そんな普通にエロくて主人公ゲットできると思ってんのか!?
諭吉使ってんだから満足のいくエロ見せたらんかい!
とか思ってた。
エロは社会の宝です。
子どもが増えて少子高齢化社会が解決するのもエロのおかげ。
仕事や世の中のストレスでぶっ壊れそうな社畜がギリギリ正気保ってるのもエロのおかげ。
おなじ科学が進歩するなら戦争よりもエロがいい。
エロは世界を救うのです。
というわけで、閑話休題(というか反省)。
その頃ちょうど乙女ゲームに転生系の小説読んで、GWで時間があったんだよね。
ほら、あれあれ、はた迷惑なウィルスのおかげで外出がなかなかできなかった頃だよ。
旅行なんかできなかったんだよね、色んな意味で。
休み期間はずっと家にいる事になりそうなので、久しぶりにゲームでもやってみようかなって思ったら、たまたま発売されたばかりのすっごいキレイなゲームが目に入った。それが「帝都に咲く薔薇」だったわけです。
どんなゲームだったか。
うん、遅くなったがそれをこれから説明していこう。