センチメンタルなジャーニーは国内限定、今のところ
朝からずっとゲーム、ゲーム、ゲーム。
めっちゃ楽しい。
今までは楽しくなかったのかと言われれば、それは楽しかったけどね、それなりにね。
でもレベル上げ優先で短時間でのクリアを目指して、作業ゲーっぽい部分が大きかったんである。
でも今は、本体のレベル……じゃなかったステータスもそれなりに上がったので、一本のゲームをじっくりやっている。
映像がものすごくキレイなゲームなのでどっぷり世界に入り込み、気分は世界旅行だ。
ああ、文明崩壊後の世界というものは、なぜこんなにも人の心を震わせるのだろうか……。
荒野や森の中に眠る鉄クズとなった車。
崩れて形を残すだけのビル。
明らかにハイウェイがそこにあった様々なものの残骸。
緑に覆われて、静かに大地へ還っていく人の思い出。
それらは壮大な自然の一部となって人間の手を離れていくのだ。
う〜〜んノスタルジィ。
なんてやってたら海外旅行がしたくなった。
現在この匣の中の世界は日本のデータのみがインストールされている。
今度、世界中の国に行けるようバージョンアップしてもらえるか頼んでみよう。
でもきっとまたレベル上げろとか言われるんだろうなあ。
1ヵ国につき1レベルとか言われたらほんとキレそう。
「そんなケチ臭いことは言いません」
心外です、と言わんばかりに渋い顔で神はのたまった。
今までケチ臭くなかったんかい、とツッコミそうになるのを我慢してわたしは神のコップに日本酒を注いだ。あ、瓶、空になった。
しかしこの神、よほど暇なのか毎晩のようにうちにやってきては酒を飲んでいる。
だが1度も料理をしろと言われた事がない。
できないわけじゃないけれど料理が趣味でものすごく大好き、というわけでもないので正直ありがたいが、不思議に思って訊いたところ、『別にキミの手料理が食べたいとかないしね。ていうかそんな恋人みたいなハナシ気持ち悪い』と仰せになった。
怒ってもいいとこだと思うのだ、この言いぐさ。
だがものすごく納得できたので、今日の晩御飯はお寿司である。スーパーの。
「じゃあどのくらいレベル上げればいいの?」
「レベルなんていらないよ」
なに!? どうした神!! 世界が滅亡でもすんのか! もしそうならゲームで培ったわたしの腕を見せてやるぞ!!
「この14年終わって次に入ったら大陸1つ加えてあげる」
「次かよ!!」
しかも微妙にケチ臭い。
キレるわたしに神は、『まあまあ』と新しい日本酒を開けて注いでくれた。
「最初から全部解放されてたら飽きちゃうでしょ。それに後でいいやとかって旅行先に行っちゃうだろうし」
そうだね、今すでにそんな感じあるしね。
なんでも最初からできちゃうのは良くないんである。
実際、最初の1年はゲームするより外出してた時間のほうが長い気がしないでもない。
そしてこれからの1年も多分そうなるだろう。
海外旅行は次の周回の楽しみに取って置くとして、今はゲームで風景を楽しむことにしよう。
そうして気合を入れた結果、わたしはそのゲームを徹底的に遊び倒した。
収集アイテムも全て揃え、クエストも探して攻略、クリアしてスタッフロールを見ているときには目じりに涙が浮かんだ。
この結果には神もご満足いただけたようで(何が満足なんだか謎だが)、続編と追加コンテンツのクリアも含めて3レベルが上がり、さらに追跡スキルまでゲットした。
3レベルは惜しみなくネットにつぎ込んだ。
見たいサイトはまだまだあるのだ。
なのに接続時間が2時間ぽっきりとか鬼すぎる。
とりあえず、次のゲームに行く前に北海道へ旅行に出かけようと思う。
ウニにイクラにホタテにシャケ、ラベンダー畑に地平線、食べるべきものも見るべきものも、世の中にはたくさん存在しているのである!!