ごめんなさい許してくださいもうしませんごめんなさい
次の日、わたしはトイレにたてこもっていた。
便器にしがみついて。
「ごめんなさいもうしません神様許してくださいごめんなさいもう飲みません……」
うつろな目と痛む頭、絶え間ない嘔吐感の合間に神に祈りを捧げる。ささやき、つぶやくように。
だが神はわたしのそばにはおいでにならなかった。
「神様ごめんなさい助けてくださいもう飲みません許してください神……うぅっぷ」
涙が浮かんですっぱい何かが込み上げる。
「おええええええっっ」
我が神、あなたは今どこにいらっしゃるのか。
姿を、姿をどうか一目だけでも、そしてどうかこの卑しき迷い子に救いの手……、
「うえっぷ、げろっ、えれえれえれえれっ」
神はいない。
そんな言葉が頭に浮かんだ。
夕方。
スッキリして回復したわたしはテレビの前でゲームを始めていた。
やっぱあれだ。なんもかんも神頼みとか、いかんねそういうのは。
苦しむわたしを救ったのは現代の奇跡、◯◯◯ックである。
前に買ったヤツが冷蔵庫に1本だけ残ってた。
だが正直に言おう。アレはスゴイ味だ……。
飲む前にウコン飲んどきゃ良かったよ。
まあ実際に効くわけだから◯◯◯ック様様なんだが。
さてわたしは今、一昨日のゲームの続きをしております。
有名な大作RPGだけあって、一般人のわたしでも頑張ればなんとかクリアはできる。
ゲームやってる雰囲気が好きなだけ、と友人には揶揄された腕前だが、そんなわたしだってやってやれない事はないのだ。
だがしかしわたしの腕でクリアできるゲームがそんなにたくさんあるだろうか。
同じゲームを何度クリアしてもいい、クリア内容によっては色をつけてやってもいいという一見親切設計だが、わたしは騙されない。
何年も社畜をやってると分かるのだ。
この状況には絶対罠がある。
そう、飽きて何周もできないというあからさまな罠が。
もうめっちゃバレバレやん。
何度も言うけどわたしそんなガチのゲーマーじゃないからねー。
マンガと小説が趣味のごく平凡なオタクだからねー。
だがまあなんとかなるさ、と問題を先送りにして、これからクリアしてもらえる1レベルの報酬は本屋の新刊に注ぎ込む予定。
ミリアムの仇は取る。絶対取る。
そして家族の平和も必ず守る!
でも今は目の前の新刊なのです。
なにしろ100年あるからね。イケるイケる、問題ないってー。
そう、わたしは夏休みの宿題を泣きながら最終日にやるタイプ。
日記も問題だけどさ、自由研究とか絵とかマジ無理だったなー。
でも100年もあればなんとかなるなる。
ああ、読みたかったあの本の続き、出てるといいなぁ。
わたしの心はまだ見ぬ本屋の新刊売り場へと飛び立つのだった。
多分こうなると思ってた人絶対いると思う。
テンプレでごめん……。