(2)
「私、もうすぐ死ぬでしょ。」
はじめての環境委員会の活動で突然彼女はそう言った。正直意味が分からなかった。死ぬ。彼女が。
そんなことを考えていることも分からないが、それを僕に対してきいてくることがさらに理解できなかった。「どうしたの、突然。」
「いや、なんとなくだよ最近なにかとツイてないし、よく黒猫見るし。」
「黒猫?」
「ほら、黒猫みるとなんか縁起悪いとか言うじゃん、最近毎日家の前にいるんだよね。というかうちの庭がお気に入りになっちゃったらしくてさ。」
「それは考えすぎだよ。かわいい猫が気に入ってくれたならむしろラッキーでしょ。」
彼女と知り合って2週間程が経って僕は少しずつ彼女という人間を知りつつあった。工藤楓はどこか変わり者でとてつもないほどの天然だ。
だが教室に入って話を切り出した時の彼女は明らかに何か違っていた。僕と彼女の関係ではまだ「何か」としか言えないが、何かに怯えているようにも感じられた。
「まぁそういうことにしとこう!」
これはいつもの彼女だ。
僕はあまり気にしていなかった。それよりもこれからたった2人の委員会で何が行われるのか、そればかりが頭の中を駆け巡っていた。