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第48話、信頼感ありすぎだからこそ、その人たらしっぷりに気をつけて



Girls SIDE



ハナとミィカ、そしていつものマーズとは180度違う美少女マニカの後をついて、授業が始まる前にと理事長室へと向かう道すがら。

リアータは改めて今ここにはいないマーズについて聞いてみる。



「精神……魔精霊体、ねぇ。そう言えばカムラルさん家って【カムラル】や【エクゼリオ】とかの魔精霊に変身できるって聞いたけど、マーズってば一体どこへ?」

「はい。ええと、私自身向かう機会はなかったのですが、恐らくはお母様のところだと思います」

「あれ? マーズのお母さまって、お父さまと一緒に異世界へ出張なさっているんじゃなかった?」

「ええ。詳細は省きますが、実はお母様は世界に偏在しているのです。それ故にきっと、魔精霊体などでなくては行けないところにいらっしゃるかと」



いずれまた兄様の計らいで顔を合わせる機会がある、とのことなので。

確かにマーズとマニカの母はこのユーライジアのどこかにいるのだろう。

詳しいところを濁しているのは、それだけ二人の母がこの世界にとって重要な場所に座していると言う証左でもあって。



「そんなこと言って精神体であるのをいいことに、女子更衣室にでも向かってるんじゃないですか。きゃつ……お兄さまならば十二分に考えられると愚考しますが」

「それはないって言いたいところですけど、同じことを思いつけば兄様のことですから可能性はゼロとは言えませんね」

「これも信頼感、なのかしらね。正直私にも否定はできないけど」

「いいなぁ。たのしそう。それならハナにも声をかけてくれればよかったのに」



ミィカに面白おかしく誘導されている部分もあるのだろうが。

どうやらハナは、サントスールのお姫様は、父親と言うよりも男、少年にありがちな『馬鹿』っぽい行動に憧れているらしい。

ミィカとしては、エクゼリオの一族としてカムラル家とも密接に関わっており、世界の中枢とも言える場所を守護する任をカムラル家と交代交代で負うこともあったため、その秘密にするべき内情もある程度は知っていて、誤魔化し逸らすための話題振りであったが。


あの昔懐かしき、曲がったことが大嫌いな不良のごときマーズに対しての評価? は。

適当に口にしたミィカがかえって罪悪感を覚えてしまうくらいには、確かにある意味で信頼されていて。


てっきりお兄ちゃん大好きな妹に反発されるのかと思ったのに、素直に同意されてしまって気まずくなってしまったミィカは、結局再び話題を変えることにする。




「そう言えば、久方ぶりに帰ってきて……いえ、挨拶に伺った時にも思ったのですが、理事長室には青の理事長様しかいらっしゃらないようでしたよ。何かあったんでしょうかね、理事長さまと言えば、【ウルガヴ】の双つ星として有名でしたが」

「え? そうなのですか? 私も今代のスクールの長は『フェアブリッズ』と呼ばれる上位の【ウルガヴ】の魔精霊、双子の姉妹だとは聞いていましたが」

「ふぇあぶりっず。レアな魔精霊さんだな。確か『神型』の魔精霊だったはず。うちにはいなかったから、会ったら契約してくれないものかなぁ」



ウルガヴ】の魔精霊の中でも、根源に次ぐと言われる神型の魔精霊の一子。

ハナ的には追い求めている、かわいい女の子になれるスライムさんな扱いだが。

昔からその数は極端に少なく、希少種とされ、多くの欲ある悪しきものに狙われ続けていたという歴史を持つ。



故あって(半分はハナのそばにいるのが楽しいからだが)ハナのもとへ身を寄せることとなったミィカが。

久方ぶりに魔王城と言う名の実家に帰った時も、逃げ出したくなるくらい猫可愛がりしてくる両親は健在だったのに。

ずっとミィカの母親の側付きとして……言うなればハナとミィカのような間柄だった双子の姉妹の姿がなく、実はけっこう気にはなっていたのだ。



ミィカの母は、そろそろうちを出てそれぞれが家庭をもってもいい頃合だから、なんて言いつつも。

ミィカにはまだ早いんですからね、人たらしのカムラルの一族にはあんまり近づかないよーに!

……などとウザ絡みされて辟易していたところだったのだが。



そんな母をスルーして、理事長室まで向かってみれば。

アオイ・フェアブリッズと呼ばれる、元気ハツラツで気兼ねのいらない、ミィカ的毒ありな言い方をすれば。

精神年齢がハナと大差なさそうで、とてもスクールの長を任せられるようには見えない(それでも姉らしい)スライム擬人化娘しかいなくて。

何だかんだ言いつつも、気になっていたのだ。



それをまさか、本人にそのまま言えるわけもなく。

日頃『夜を駆けるもの』として飛び回っているナイト改めマニカならば、何か知っているのかと思いきや。

どうやら彼女にも初耳であったらしい。



そうなってくると。

単純に同じ【ウルガヴ】に愛されし少女として何かしら知り得ていることはないものかと。

必然的に、結果的に、リアータへとみんなの視線が集まることとなって……。




   (第49話につづく)









次回は、9月28日更新予定です。

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