第199話、エピローグ:泣かない?赤オニは、過保護な親と苦笑する
エピローグ
―――ユーライジアスクール裏山。
その一角にある、『風』の教会。
『廃』などといった冠つくも、公然の秘密としてその地下奥深くにこの世界を支える礎眠る場所。
そんな、12色に彩られし氷山のふもとに。
どこにでもいそうでどこにもいない、親子の姿があった。
「さて。改めてこれから歩むべき道、選択肢が出揃ったところで、マーズ。きみが選ぶ答えを聞こうか」
「……はっ。ここは誰、オレはどこ? じゃなかった。まーるで何もなかったみたいにするじゃんよ。まぁ、こっちとしてはその方が助かるけどさ」
今までのことは夢だったのか。
あるいは、選ぶべき道に進むその前まで戻されてしまったのか。
そうは言うも、何もなかった、というわけでもないらしい。
マーズが思わずぼやくと、いつも笑みを絶やさなかったマーズ父が苦笑を浮かべ誤魔化すように咳払いなんぞしていて。
「ほとんど目の前で口にするのもあれだけど、今までのことは僕ときみの秘密でね」
「大丈夫なのか? オレとしては母さんにつめられるの勘弁して欲しいところなんだけど」
「ふふふ。たまにはたっぷり嫉妬のひとつもしてもらおうじゃないか。そんな母さんも可愛いからね」
「はいはい。ごちそうさま。……そんで? 答えを出せって?」
「うん。僕もなんの指針もなしにこれから進むべき道を選べなんて言えなかったからね」
普通はそんな道をいくつか示すことも。
どんな道であるのか予め知ることもまずありえないことなのだろう。
まったくもって、過保護にすぎるぜ。
そうぼやきつつも、マーズは今の今まで示されてきた道を思い返していって。
「どの道も通らない。お話の終わらない、どっちつかずで答えを出さないウハウハハーレムルートを選ぶぜ! ……ってのはダメ?」
「ダメです。……なんて身も蓋もなく僕が言えるわけないけども」
「えっ? まじで!? 二度目だけどほんとに大丈夫なのかそれって。母さん聴いてるぞ?」
「……大丈夫もなにも、きみがそのような修羅の道を選ぶというのならば僕は止めないってだけさ」
うまくいっているかはともかくとして、誤魔化したなとは口にはせず。
そうかぁ、修羅の道かぁ。
そう言えばオヤジってば何度かあの世を見ている、痛い目見てたっけ、なんてことを思い出して。
「それじゃぁええと。オレは……」
この場所が寒いわけでもないのに、冷や汗をかいていつぞやのようにぐるぐる回っているオヤジを見てみないふりしつつ。
マーズが選び出した答え。
これから邁進するであろう人生の道行きは。
またいつかどこかで
語られることになるのだろう……。
(つづく……?)
大野はやとです~。
このたび『過保護な親たちに頼まれたからって陰ながら護っているわけじゃないんだからな! ……だなんて。泣かない赤オニは今日もやさしくツッコミをいれる』、完結いたしましたー。
何とか今日までにと思い、200話には到達できませんでしたが、例のごとくスピンオフな感じに限らず、続いていく可能性はありますのであしからず。
とはいえ、このお話自体大元の話のスピンオフというか未来の話のわけですが。
次作の投稿は、年明け早いうちに行っていっきたいと思います。
また、その時はお付き合いのほど、よろしくお願いいたしますー。
それでは、良いお年をー。