アイラ
「はぁ~、とりあえず今はこの体になれるしか無いのか」
「そうですねぇ~」
「それより、これからどうするのじゃ?」
そんな事をヤツが聞いてきた。
「それよりで済まされることじゃないんだけどな」
「そうかも知らんが今はどうしようもないじゃろ?」
「残念なことにそうなんだよね」
「ひとまずは地上に戻って冒険者でもしてお金を貯め、生活を安定させるのがいいでしょうね」
「そうだね」
「リシアと我も冒険者をやるのか?」
「そうした方がいいかもしれませんね」
「普通は一人で竜討伐とか無理だからね」
「む、そうじゃな」
そんな風に考えているとリシアが
「ジュンさんは城の人にばれるとめんどくさいことになりそうなので変装などした方がいいかもしれません」
「髪をのばしとけば大丈夫じゃないかな?」
「では魔法でのばしますか」
「よろしく」
リシアに髪をのばしてもらった僕は
「長いと邪魔だね」
「仕方ないですよ」
「まあね」
「似合っておるぞ」
「似合いたくないんだけとね」
「とりあえず地上に行きましょう。この魔方陣に乗ってください」
リシアがそういうと同時に足元に魔方陣が出てきた。
「転移魔法か、どこ行き?」
「隣国であるバーバイン国の死の森近くの街ですね」
「あー、たしかエルフの友達がいたとこか」
「ひとまず彼女に会いに行くのも得策ですね」
「じゃあそうしようか」
そんなノリで僕たちは転移魔法で転移していくのだった。
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「お、着いたかな?」
「着きましたね」
「右に見えるのが死の森じゃな」
「じゃあとりあえずエルフの里に行ってみるか」
そうしてどんな人間でも一度入ると出ることが出来ないという死の森に入っていく一人と二頭だった。
・・・
「たしかここら辺ですね」
「懐かしいな」
そんな事を言いながら襲ってくるレベル1000を越すような魔物を一瞬で蹴散らす。
「考えて見たら僕の次にレベルが高かった人って確かレベル900ぐらいだっけ?」
「確かそうですね」
「そう考えると自分がいかに規格外か改めて実感させられるな」
「今さらですか?」
「酷いな~、まったく」
「む、誰か来たようじゃぞ」
僕がリシアと話していたら前を進んでいたヤツが声をかけてきた。
そして別の声も聞こえた。
「なんだ?違う世界に転生したはずのジュンの気配がしたと思ったら。お前がジュンなのか?」
茂みの中からそんな事を聞きながら耳が長くてとんがっている人、、エルフが聞いてきた。
「そうだよ、久しぶりだね、エルフの皆は元気にしてる?」
僕がそう答えると、
「久しぶりだな、皆元気にしてるぞ、にしても転生後はそんな可愛い女に生まれ変わったのか?」
そう言われた。
僕は死んだような目で答えた。
「最初は男だったんだけどね」
その様子を見てなにか察したのかそのエルフは、
「まあ、その、なんだ?とりあえず俺たちのどこで少し休めよ」
「ありがと・・・
それにしてもよく分かったね」
「姿が変わってもあんたを忘れるわけないだろ?エルフの里にこれるたった一人の人間だぞ?この近くにこれた時点でわかるだろ。それに雰囲気が同じだしな」
「さすがだね」
「俺の観察眼をなめるなよ」
「それって目関係なくない」
そう僕が突っ込むと
「さあエルフの里だぞ」
ちょうどエルフの里についたのである。
「相変わらず木の上に作ってるんだね」
「当たり前だろ?」
「人間は地面に建てるからね」
里に入ってまず目に入るのは木の上にログハウスのようにできているエルフの家々である。なかなか幻想的だ。
「さあ、里長に会いに行くぞ、ここに来たってことはやりたいことがあるんだろ?」
「まあね、友達のライアに会いに来たんだよ」
「里長の娘のライアか?」
「そうだけど」
「あいつなら人間のところに行くってんで里を出ていったぞ」
「え!そうなの?」
ここで早くも予定が狂ってしまった僕たちである。
「とりあえず里長に挨拶だな」
そういってエルフの男性は大きな建物のドアを開けた。
「里長ー。ジュンさんが来たぞー」
さすがエルフである。彼らには100年ちょいがそこまで長くないということがわかる瞬間だ。
その声を聞いたのか奥の方から。
「なに!!ジュンが来ただと?転生したんじゃなかったのか?」
そういいながら見慣れた里長が置くの部屋から出てきた。
そして僕を見て
「おお!転生して大分見た目が変わったようだが相変わらず雰囲気は変わらないな、そういえば転生は違う世界にしたのではなかったのか?」
「したんですけどこの世界に異界召喚で召喚されてね、ステータス偽造して何もかも問題が起きないように抜け出して来たよ」
「そんなことが起きることもあるんだな、それはそうと今日は何のようだ?」
「そういえばライアが里を出たんだっけ?どこにいるか知らない?」
僕は弱くてライアの居場所を聞いてみることにした。そうすると予想外なことが帰って来た。
「ライアか、ライアなら最近の手紙でこの森に近いサーダスの街の冒険者ギルドのギルドマスターをやっていると聞いたぞ?」
「え!?僕たちもサーダスにこれからいこうと思ってたし、それにギルドマスターならしっかり話をしたらギルドマスターの推薦ってことで高ランクからできるかもしれない!」
そうすると今まで話していなかったリシアが
「これは運がいいなんてもんじゃないですよ!」
「ライアには俺から手紙を出しておこう」
「ありがとう、その分魔物関係で困った事があったら僕が何とかするよ」
お礼として僕がそういうと
「おお!最近たまに倒すのが難しい魔物が出るようになったんだ、今は大丈夫だがそれがどんどん強くなっていてな、助かるよ」
エルフの里にも問題があるようである。
「お互い様だよ。じゃあ僕たち早速はサーダスに行こうかな」
「分かった。手紙はすぐに村一番のやつに届かせる。またいつか来てくれよ」
「多分沢山くるよ、何せ今じゃ僕は不老になったからねぇ~」
「そうなのか、なら里のことは頼むぞ」
「里長もまどまだ数百年は生きるでしょ」
「いや、いつ魔物に殺されるかわからないからな」
「里長がやられるって竜王レベルじゃないか」
エルフは強さで里長を決める。なので里長はエルフのなかで一番強く、竜とも一対一で勝てるのだ。
「まあ次に来るまでまたな」
「じゃあね」
「お邪魔しました」
「お邪魔したのじゃ」
そうして僕らはサーダスに向かった。
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「サーダス、久しぶりだな」
サーダスは僕が前世でよく来た場所であった。
「もう昼過ぎですがギルドに行きますか?」
「そうだね、未だにお腹がすかない自分の体にどうすればあいかわからないけどとりあえず行こうか、僕たちを途中でエルフが通り越していったから手紙は届いているだろうしね」
「ではいきますか」
僕たちは冒険者ギルドに入りカウンターに向かった。
カウンターで僕が受付の人に
「ギルドマスターに手紙が届いたと思うんですけど」
と言うと、受付の人は、
「君がジュン・アレスティアかな?」
そう聞いてきた。
「そうです」
「わかりました別室にご案内するのでついてきて下さい」
僕達がついていった先は、ひとつの部屋の前だった。
そうすると案内してくれた受付の人は、
「ギルドマスターが込み入った話をしたいらしいので私はここで失礼します」
と言って戻っていった。
僕は部屋の扉を開けた。
「あ、ライア、久しぶりだね」
部屋におかれたソファにライアは座っていた。
「それにしても大きくなったね、あのときはまだ全然背が高く無かったのにね」
「・・・」
僕はライアが返事しないのでどうしたのかと近づいたら。
「ん、久しぶり。。。」
そんな声と共に抱きつかれた。
「大分、変わった?」
そう聞かれた僕は
「まあね、転生したときは男だったんだけどね色んな理由で女になっちゃったし、不老にもなったし、まあ、これでライアより先に死ななくて良くなったからそう考えればいいことかな?」
「あえてよかった」
ライアの顔をみてみると泣いているようだった。
「そういうライアの亡きめしなところは変わらないね」
「うるさい」
ライアは、僕がエルフの里に来たときは子供で、滞在したときはよく遊んであげたりしたのである。
なのでライアも僕に会いたかったのだろう。
「冒険者ギルドの推薦の方は任せて」
僕から離れたライアはそう言った。
「よろしくね」
「ん、推薦者だけの特別試験がある、そこで無理矢理Aランクチームを連れてきて全員一瞬でボコせば後は誰か監督者と一緒に竜でも倒せばAは確実だと思う」
大分力業な気がするが、確かに大丈夫だろう。
「ギルドマスターに友達がいるっていいね」
「その代わりまたどこかつれてってね」
「何処がいいかな?」
「終焉なる森の最奥にある神殿がいい」
「ん?何かあったっけ?」
終焉の森とは死の森よりも強力な魔物が沢山出てくるところである。
神殿に何かあったか心当たりがない僕はライアに聞いた。
「ん、何万年前にエルフが作ったというエルフ専用の魔法の腕輪があるらしい」
「へぇ~、そんなものがあるのか、じゃあ僕のこっちでの生活が安定したら行こう」
「大丈夫なの?いくらジュンでも私をまもりながらは、、」
「大丈夫だよ、僕の両隣にいるの僕が勝てなかった最強の竜と、人間の文明を何度も滅ぼしたとされるヒュドラだよ?余裕だよ」
それを聞いてライアは目を見開いた、まさかそうとは普通思わないだろう。
「それなら安心。国単位で襲ってきても楽勝」
「そんなことする気はないけどね」
「じゃあその時はよろしく」
「任せて」
「冒険者な試験は明日でいい?」
「いいよ」
「わかった、手配しとく」
「改めてありがとね」
「ん、また明日」
「うん、また明日」
そうして僕たちはギルドを出た。