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そして朝になった。峡夜は空羅よりも早く起きて、外の空気を吸っていた。よく晴れていて空気が澄んでいた。そこに、蕨も出てきて心配そうにこちらを見てきた。分かっている、人間界でやっていけるなんて思ってない。変わりない日々を過ごすだけだ。これからも、ずっと。
空羅を起こしに行こうと部屋に戻った。寝息を立てる空羅を見て、これ以上危険な目には晒せないという気持ちが大きくなる。俺が空羅と会ったのは百年前。それまでの間誰かに攫われていたのだ。詳しいことは聞かされていないが、記憶が曖昧なアイツを守ってくれと雲神さんに言われている。孤独だったかもしれないし、暴力を受けていたかもしれない、殺しをさせられていたかもしれない。そう思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。百年前に会った時に、俺達は一緒にいるべきだと思った。そう本能で感じたのだ。
「ん…峡夜?」
寝ぼけて起きた空羅の髪の毛には寝癖がついていた。
「おはよう、朝ご飯食べたら雲神さんの所に行くぞ。」
ふぁーいと気のない返事をする空羅を見つめながら、準備を始めた。こいつを守れるのは俺だけだ。俺達は一緒にいるべきなのだ。
ご飯を食べ終わった空羅が靴を履いた。こっちを向いてニコリと笑っている。
「行こうか」
「うん」
蕨が不安げにこちらをみつめていたが、外に出るとノコノコとついてきた。




