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「お前は毎日楽しそうでなによりだ。でも俺はやっぱり人間界に行きたいかな。」
「………峡夜って人間界に行きたいの?」
「そうだな、仕事やら学校やらで大変そうに動いている人間に興味がある…かな…」
「じゃあ…行く?」
峡夜は一瞬固まったがすぐに、
「いやいやいや、お前を置いては行けないよ。」と笑った。
「ううん!峡夜だけじゃなくて一緒に!」
「はぁ…お前を連れていったら家や街を破壊したり、人様に迷惑かけるだろ?場合によっては殺し…いや、それよりも!俺はお前が暴走しないように見張る役目もあるんだよ。危険には晒せない。」そう宣言した。
空羅は生まれつき力が強く、力を制御するために左手の中指に黒い指輪をつけている。
「俺頑張るから!峡夜のしたいこと…やろう?」
そういう空羅は生まれつき多くの事を制限されたり、その力が狙われ、長い期間攫われたりと不自由な生活を送ってきたのだ。ここでの我儘くらい聞いてやりたい…そう思う気持ちと、これ以上危険に晒せないという気持ちの間で揺らいでいた。
「ね!おねがい…!おねがいおねがいおねがい!」
はぁ…こんなにお願いされたら断れない…峡夜はつくづく空羅に甘いのだ。
「はぁ…仕方ないな…雲神さんに相談してみるよ………」
蕨も峡夜が空羅に甘いことを分かっているようで、わふっ…と溜息をついていた。
当の空羅は「やったーーー!!!」と言って走り去ってしまった。その後を蕨が追いかけて行く。
「おいちょっと待てよ…!」
空羅の全速力に追い付けるはずもなく、どんどん姿が見えなくなって行った。峡夜は途中で追いかけるのを諦めて、雲神さんに相談に行くか…と呟いた。




