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空羅が指輪を外した瞬間に土から大きな根のようなものが生えてきて、空羅を拘束した。雲神が手を伸ばして何かを創造したようだ。
「お前が出て来てはいけない…!!峡夜!早く指輪をアイツに嵌めろ!!」
締め付けられた空羅は少し俯いていたが、次の瞬間。根を一瞬にして吹き飛ばした。その爆風はそこにいた獣姿の門番までも吹き飛ばす勢いだった。
「くっ……!」
雲神と峡夜は防御するので精一杯だった。空羅の方を見ると、赤い瞳がギラギラと輝いていた。今まで見てきた空羅とは全くの別物のように感じられた。そしてゆっくりと口を開いて不気味な笑みを浮かべている。こんな空羅を今までに見たことは無かった。
「誰かと思ったら雲神か。俺をずっと閉じ込めておくとか言ってたくせに指輪を外すなんてとんだアホだな。」
「違う……指輪はお前自身が外したんだ。意地でも嵌めるしかない。」
「へぇ、俺自身が?空羅とか言う名前だったよな。所々この封印された人格でも覚えていることはあるぜ。なぁ、そこにいるのは白い龍の峡夜だろ?」
いきなり名前を呼ばれてビクッと肩を震わせた。それまでにも今までの空羅と違い過ぎたのだ。
「あぁ、空羅が自由を手にする為に人間界に行きたいって言い出してな…それで指輪を外したんだ。お前は誰なんだ…?」
空羅はニンマリと不気味な笑みを見せた後に、
「アイツがそんな事を言うなんて面白い事になってきたな。はっ、俺か?俺はヒュノスだ。死神ナンバー00のヒュノス。」
しにがみ…峡夜は固まって声が出なかった。死神とは死界で一番の勢力を誇る種族である。空羅が、まさか…という思いで一杯だった。ナンバーが上になるに連れ階級も上がると聞いた事がある。即ち、ナンバー00が一番偉いという事になる。
「ははは!固まって声も出ないか!お前にはなーんも知らされてなかったもんなぁ?」
ヒュノスは可笑しそうに笑っている。その姿を見て雲神はチッと舌打ちをすると、物凄い速さで距離を詰めて、ヒュノスの持っていた指輪を奪い取ろうとした。ヒュノスは綺麗に雲神を避けると、俺の体を掴んできた。
「は!?ちょっと、待って!ヒュノスさん!!何する気ですか!」
それに焦ったのは雲神だった。
「待て何をする気…」
「見て分かるだろ。人間界に行くんだよ。」
ヒュノスはまたニンマリと笑って、門番のいなくなった門を手を触れる事なく開けようとしている。
雲神は全ての力をかけてヒュノスを止めようとかかった。上からは稲妻が落ち、土が盛り上がり体を固めようと襲いかかる。ヒュノスはいとも簡単にそれを避け、門を開けるために力を込めた。門は鈍い音がしてゆっくりと開いてきている。
「させるか…!」
雲神の手にも力が籠る。それでもビクともしない空羅….いや、ヒュノスは本当に大きな力の持ち主なのだ。その上、峡夜を片手で持ち上げている。雲神の額には汗が滲んでいた。ヒュノスの状態のまま行かせてしまったら大変な事になると思っているのにヒュノスを止められない。
門はもうほぼ開いていた。
そして、数秒後。
「また会えるといいね。」
ヒュノスはニンマリと笑って開き切った門に身を投げた。




