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そんな峡夜と空羅が向かったのは人間界への入り口がある扉の前だった。重そうな扉が目の前に立ちはだかっている。右と左には門番がいるので容易には抜け出せない。
「あれ?峡夜さんと空羅さんじゃないですか!どうされましたか?人間界に行くのですか?」
不意に右の門番が話しかけてきた。峡夜と空羅は昔からいる存在なので多くの人に認知されているのだ。こちらが知らなくても話しかけてくるなんてのは慣れっこだった。
「そうです、人間界に行こうと思って。」
「おお、遂に行かれるのですね。雲神様にはご連絡されましたか?」
「いや、していない。が、開けてもらえると助かる。」
「うーん、こちらも通行証がないと通しては行けない決まりでしてね。」
「なら、力尽くで行かせてもらう。」
「ええ!?それなら相手が誰であろうと容赦しませんよ!」
「いや、通してくれ。」
「ダメですって!冗談キツイですよ峡夜さん。」
「冗談じゃないよ!行かせてほしいんだ!」
「空羅さんまで…全力はあまり出したくないんですけど。やるしかないですね!」
門番はそう言うと、四つ足の大きな獣へと姿を変えた。その姿は大きな扉より高く、その目がギラギラと光っていた。勿論口も大きく、爪だって長く、怪しげな空気がプンプンしていた。
「この姿を見てビビって帰ってくれないですかね?大抵の人はこれで帰るんですけど…流石二龍様ですね。怯まないとは。」
「それなら俺だって。」
峡夜は目を瞑り、意識を集中させた。そして、真っ白な鱗を見に纏った龍の姿になった。
「おぉ…」
「お前が怯んでどうするよ。」
「でもね、もうじき来る頃ですよ。」
「は…?」
後ろから走ってくる音が聞こえた。
「おーい、峡夜〜空羅〜」
「うえっ、雲神さん!」
そう、そこに立っていたのは雲神だったのだ。




