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その頃、空羅は峡夜に追いつこうとしていた。
「待ってー峡夜ー!」
ゆっくりと峡夜が後ろを振り向くと、空羅が物凄い勢いで走ってきていた。
「うわ!もっと減速しないとーぶつかるー!」
「えー?なにーー?」
峡夜が必死に叫ぶも、空羅には聞こえない。仕方なく峡夜は両手を広げて受け止める体勢を取った。空羅が突進してきて、思わず峡夜はよろけたがなんとか抱き締めた。
「どうしたんだよ。そんなに急いで…全く、危なっかしいなお前は。ところで蕨は?」
「ご、ごめん…。えっと…蕨は雲神さんの所。なんか話があるって言ってた…でもまた後でこっち来るって。」
「そうか。じゃあ先に家に帰るか。」
「あの…さっきのこと…」
「お前にも色々あったんだな、深追いはしないでおくよ。飯食って温かい風呂に入って、もう今日は寝よう。それで、楽しい思い出これから作ろう。な?」
空羅は目を潤ませながら、静かに頷いた。
それから、二人は手を繋いで家に向かって帰って行った。
どんなに辛い過去があってもそれを受け止めてやるのが俺の役目だ。峡夜は心の中で固く誓った。




