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チャロのふしぎな大冒険〜虹色蝶と不思議な少女〜

作者: ふくちゃろ

この物語はTwitterでふくちゃろともうひとりの

方がリレー形式で執筆したものをまとめたものです。

ボク、チャロ!

今日は家族みんなで街におかいものに出かけたんだ。

『チャロはアイスを3本も食べた〜』

ふくちゃろが言う。

『うるさいな〜食べたかったんだもん…』

そんなことを言ってると前を虹色の蝶々が…

『追っかけよう!』

空はどこまでも青くて、そこを飛ぶ蝶々は、まるで虹を掛けてるみたいだった。

それに気を取られているうちに、みんなは帰っちゃったらしい。


『あ、まって〜』

ボクは蝶々を見失わないように

がんばって追いかけた。

(それにしてもきれいな蝶々だなぁ)

蝶々はまるでボクと追いかけっこ

をたのしんでるみたいだ。

あっちにふらふらこっちにふらふら

やっと蝶々がとまった。


ボクの知らない公園みたいだ。

ブランコのうえで女の子が泣いてる…

髪をリボンでむすんだ女の子だ。

アイスでも落としちゃったのかな

って足元を見て、ボクはすぐに気がついた。

『こんにちわ〜靴を飛ばしちゃったの?』

女の子は片方しか靴をはいてなかったんだ。

たぶん、ブランコで遊んでるうちに

遠くに飛んでっちゃったんだろう。


『ううん…違うの…』

『虹の橋を渡ってこの世界に来るときに、

どっかに落としちゃったみたいなの…』

おめめをウルウルさせてボクにいったんだ。

『虹の橋?』

ボクがきくと女の子は

『その蝶々さんの群れが作った、

虹の橋を渡ってこの世界に来たんだけど、

建物とかに夢中で気づいたら靴が無くて…

あの靴は大事なものだから…』


『…靴ってどんな?』

『赤くて白くて丸くて四角いの…』


さっぱりわからない。

ボクにはいちごのショートケーキしか思い浮かばないぞ。


『…それがないとお家に帰れないの』


たいへんだ。

おうちに帰れないとごはんもおかしも食べられない。


『わかった!ボクにまかせて』


ボクは乗り物に乗って

女の子をおひざに乗せて走り出した!

(赤くて四角いもの…赤くて四角いもの…たしかこのへんに…)

『あ!あったよ!!』

郵便局の近くに赤くて四角いポストがあった!

『これかな?』

女の子にきくと…


『違うわ』

女の子の返事は少し食い気味だった。

『白くも丸くもないじゃない』

ボクのひざの上なのにそっけない。


白くて丸いもの・・・あれかな?

季節外れだけど向こうの公園に・・・。


ボクは乗り物をスピード全開にして別の公園に向かった。


『これでしょ?』

そこには雪だるまの置き物が…

『違うわ…』

さっきとおんなじせりふだ。

さっきよりもっと冷たくなっている

ような

『ぜんぶ入ってなきゃいけないの!』

なんか恐い…ごめん


うーん

そんなの

ほんとにショートケーキくらい…

『そうだ考えててもわかんないから

ショートケーキ食べよう!』

ボク達は近くのケーキ屋さんに向かった。


『これよ!』

女の子はショーケースを見るなり叫んだ。

そこにはいちごが乗ったホールケーキが…。

『……靴を探してるんだよね?』

『あら?あなたにはあれがケーキにでも見えるの?』

ケーキにしか見えないよ。

『困ったわ…こんな所に入ってたら履けないじゃない』

履くんだ?


『オジサンこれだしてちょうだい。』

女の子がオジサンに言う。

『お嬢ちゃん

買ってもらわないと出せないんだよ…』

『じゃあ買うわ!』

女の子ははっきり言ったけど

『ちょ⁈ちょっとボクそんなお金

持ってないよ』

ボクは困っちゃった…

『あら持ってないの⁈』

女の子は信じられないみたいだ…


『仕方ないわね…オジサン、これで足りるかしら』

女の子がポケットから取り出したのは、見たこともないピカピカの金貨だった。

『……お嬢ちゃん、店ごと買うのかい?』

えっ?

『そりゃ五千年前に滅んだとされる幻のアステリヤ王国で使われてた金貨じゃないか』

まぼ…なんだって?


『あらオジサン わたしのアステリヤを

知ってるのね!』

な…なんだ⁈

なにがなんだかわかんない…

『ね、ねえ?わたしのってどういうこと?』

『あら?言ってなかったかしら

わたしは、アステリヤの王女 ルルよ』

王女⁈こんな小さな子が⁈

やっぱりなにがなんだかわかんない…


『言うねえお嬢ちゃん、幻のアステリヤ聖王国だよ?ある日突然、国ごと地図から消えたって話は子供だって知ってるさ』

オジサンはよっぽど愉快だったのか豪快に笑い飛ばした。

ちなみにボクは子供だけどこれっぽっちも知らない。

『でもまあ、金貨は間違いなく本物だ。けど、お釣りが用意出来ないよ』


『あら、お釣りなんていらないわ

ただ、そのケースから出してくれればいいの。

金貨はアステリヤに帰れればたくさんあるもの。』

ルルちゃんは普通にいってるけど

ボクは(あれがあればいったいどれだけ

美味しいものが食べれるんだろう)と

思った。ぼーっとしてると

ルルちゃんが

『なにをボーっとしてるの?いくわよ』って言ったんだ。


いつでも好きなだけケーキ食べに来いよーって叫んでるオジサンを残して、ボクはルルちゃんをおひざに乗せて走り出した。

『どこか広い場所があるといいんだけど』

うん、ボクもちゃんとお話を聞いてみたい。

でないとちんぷんかんぷんなままだ。

『たしかこの辺に学校が……あった!』


『ここはなにをするところなの?』

ルルちゃんが聞くから

『ルルちゃんくらいの子どもたちが

たくさん集まって、遊んだりお勉強したりするところ。まぁボクも行ったことあんまりないけどね。』

『楽しそう!わたし生まれた時から

お城から出たことなかったから…』

ボクが驚くと…

『やさしいのね…』

ルルちゃんがつぶやく。

『やさしいだなんてそんな…』

『ここならちょうどいいかしら』


てれるボクを置いて

サッとグラウンドに降り立つルルちゃん。

まあいいんだけどさ。

『ところで、どうやってそれをはくの?』

ルルちゃんが持ったままのケーキの箱は、外からだとちっとも変わってない。

『これは履き物じゃないのよ』


『これはね。蝶々さんたちの大好物なの!これあれば蝶々さんたちが集まってきてくれて、虹の橋をかけてくれるのよ。だから靴って言ったの。』

そういうことか。これでルルちゃんも

おうちに帰れるぞ!


でも、ルルちゃんは不安そうだ…

『どうしたの?』

『でもそれはアステリヤの話

ここでも集まるかそれはわからない…』

『その…アステリヤってとこで集めたらいいんじゃないの?』

『バカねえ、アステリヤに帰るために必要なのよ』

バカって言われたー

バカって言う方がバカなんだぞ

『アステリヤ聖王国は時の彼方にあるのよ…あの蝶々、時渡り蝶っていうんだけど、あれが集まると一国をも時間跳躍させる事が出来るの』


?????

ボクにはさっぱりわからない…

『もう…つまり時渡り蝶が集まると

その国自体をタイムスリップさせるのよ。あなたにはちょっと難しかったかしら?』

そんなことないやい!ボクにだってわかったもん!

『それってつまり…にほんの5000年前の姿がアステリヤ聖王国だってこと?』


『ううん…違う…

時渡り蝶は時間だけじゃなくて空間も跳躍するから』

ちょっと寂しそうなルルちゃんの笑顔。

よくわかんないけど女の子にこんな顔させちゃダメだ!そう思った。

『きっと集まるよ!ボクに出来ることがあったらなんでも言って!』

ルルちゃんは目をぱちくりさせた

そしてにっこり笑って言ったんだ

『あなた……神獣ね』


ボクは前のことを思い出して言った。

『前にもそんなこと言われたことあるけど…ボクはそんなむずかしいのじゃないよ。

ふくちゃろのともだちのチャロ

ただのチャロだよ。』

慌てるボクにルルちゃんは

『いいえあなたならきっとできるわ!

あなたにはその力があるの!

自信を持ってチャロ!』

またわからなくなってきた…

ルルちゃんは真剣な顔で

『あなたは以前に時間という枷を外して成長した事があるわね』

ど、どうしてその事を?

ふくちゃろにもちゃんとお話してないのに。

『アステリヤの王族は時間の管理者でもあるの』

ボクが考えてる事まで……

ひょっとして神さ──

『違うわ、委託はされてるけど。その時の残滓があなたにはあるのよ』


『ざん…なんて?』

ルルちゃんが急にむずかしい言葉を言い出した…

『ざんしよ。ごめんなさい。

あなたにはむずかしすぎたわね。

簡単にいえば残り香みたいなものよ。』

なんかちょっとずつ傷つく気がする…

『時渡り蝶は時間の管理者の私たちの前にしか出てこないのに、あなたの前に現れ、私のもとに案内したということは…』


なんとなくボクにもできるかもとはわかったけど、

どうすればいいかわからないボクに

ルルちゃんは、『いいから集中してみて』と

言ったんだ。

集中ったってどうすれば…

オロオロするばかりのボクに

『……あのケーキ屋さん、いつでもケーキ食べ放題って言ってたわね』

(ケーキ!!)

ボクは何度も唾を飲み込みながらケーキのことを考えた!


微かな、まるで清流のような羽音が聞こえる

音はやがて滝のように押し寄せてきた。

ザーッ

蝶々がたくさん集まってきた!

七色に輝く蝶々が何匹も集まった

風景は、ほんとにふしぎできれいな光景だった…

(ボクは神さまの世界きたんじゃないかな…ふくちゃろにも見せてあげたいな!)

そんなことを考えていると蝶々はどんどんボク達から離れていく。

『チャロ!もっとケーキのことを考えて!』

ルルちゃんが叫ぶ。

(ケーキ!!)

ボクがケーキへの想いをもう一度強くすると、

蝶々はとうとう空に向かって橋をかけた!!


虹色の蝶々でできた虹の橋は天空に一直線にのびていた

そこにはうっすらとだけど、空一面を覆うような島があった

ふしぎなことに、島の底を見上げてるはずなのに大きな街や森や牧場までが見える。


『ありがとうチャロ』

(あの街や牧場には、どんな人や

動物がいるのかな…)

島に見とれてたボクに、

ルルちゃんの声はずいぶん高いところから

聞こえてきたんだ。

『ご褒美をあげる…』

ルルちゃんが言うとボクと乗り物は

ふわっと浮き上がる…


どんどん今いた場所が小さくなる。

(うわぁすごいや!

まほうの樹のてっぺんよりも高いかも)

そんなことを考えているうちに島の上だ!

目の前につくとルルちゃんが言った。

『目を閉じて…』

言われた通り目を閉じた。

『…チュッ』

ボクのおでこにキスした!

『☆$<:〒^〆×<♡♡』

『驚かないで。ただのマーキングよ』

ままマーキング??

『竜精チャロにアステリヤ聖王国王女ルルの加護を与えます』

カゴ……?

『汝が時に追われ為す術もなく立ち尽くしたときは空を見上げなさい。あなたが進むべき道を導きの星が指し示すことでしょう』

ムズカシイこと言ってる?

『さよならチャロ』


ルルちゃんがそう言うとボクはまた

浮き上がってゆっくりゆっくり島を

離れていく。

『ルルちゃん!さよーーならーー!!!』

ボクが叫ぶとルルちゃんも一生懸命

手を振ってくれている。

(ルルちゃんおうちに帰れてよかったね…

また会いたいな)

そう思ったらなんでか涙が溢れてきた…


そして気がつくと…

ボクは学校のグラウンドに戻っていた

下校時間ギリギリまで遊ぶつもりの子たちは、ボクの存在に気づくことなく走り回ってる

それどころか、さっきの蝶のたいぐんや空に浮かんでた島かげにも気がついてないみたいだった

『まさか……夢でも見てたのかな』

浮かない気分でおうちに帰ろうとしたボクに…

あの蝶々 時渡り蝶が飛んできた。

ボクの前をふらふら回ってる。

ボクが捕まえようとすると、おうちのほうに向かって飛びだした。

『まって〜〜』


やっと捕まえたと思った瞬間

蝶々はフッと消えちゃった…

『やっぱりあれはボクの夢だったんだ…』

しょんぼりおうちにつくと…

ふくちゃろが玄関で待ってた。

『遅かったじゃないか。どこに寄り道してたのさ』

どこって言われても……どうせ信じてもらえないし

『今日は晩ごはんの後に良いものがあるんだよ』

良いもの……?


もったいぶろうとしたふくちゃろだったけど、こらえきれずにタネ明かしをした

『たまに行くケーキ屋さんがね、今日の分だよって…』

ボクとふくちゃろのケーキ食べ放題チケットをくれたみたいだ。


『オジサンが今日のお礼だってくれたんだ!いつでも食べにおいでって!

なんのお礼か知らないけど』

ふくちゃろはケーキが食べれると思って

ヨダレをたらしてる…

まぁいつものことだけど。

『ふくちゃろ!明日行こう』

『うん!』

ボクは明日のケーキより、ルルちゃんとのできごとが夢じゃなかったことが何よりうれしかった。


またいつか

会えるといいな。


おしまい





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― 新着の感想 ―
[良い点] ほっこり感とわくわくする描写が素敵でした。
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