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よ(るので)ん(しゃ)

男は最後まで、名前を名乗らなかった。


その為、私の名前も知らないはずなのに、電車に乗り、制服のポケットに手を入れると、紙の感触があった。

取り出した電話番号を登録すると、とびお、と書かれたアカウントが友達登録するか聞かれ、登録して、メッセージを送る。


「芸能人が簡単にアカウント教えていいの?」


メッセージはすぐ既読になった。



『よくわからない男のことすぐ信じていいの?』


質問に質問で返すのはどうかと思うが、互いに信じていないことなど分かり切っているので、この話題は不毛だ。




『フルネームでアカウント登録なんて珍しいね』


とびお・・・と呼ぶことにしよう。彼は私のラインIDをさっそく弄ってきたが、これはレンにも言われていることだ。仕事の用件や関係者や同業者の連絡手段としても使うので、そうしている。前までは母のアカウントで全て連絡を取っていたが、災害ですスマホは粉々になってしまい、バックアップを見るにも、パスワードを知ることもできない。




「友達いないからこれでいいのよ」



私が冷たく返すと、とびおはこちらを煽るようなスタンプを返してきたが、自分の戦闘力に繋がる人脈は同年代にはいないので、無駄に深入りしないだけだ。人間強度云々の話ではないことは訂正しておく。



その後間があり、もう終わりかブロックかと思い、返ってきたカエルのお土産を受け取っていたら、一気に複数の写真が送られてきた。



そこに映るのは、三人の少女。


2人は目鼻立ちのはっきりして化粧や髪色が派手で。挟まれるように立つロングヘアーの少女は、2人に比べると地味で凡庸な顔つきだ。


凡庸な子は見たことある。確か同学年で、陸上長距離の大会で良い成績を残したとかで、朝礼で表彰されていたことがある、名前は確か・・・



そう思っていると、とびおからのメッセージが再開した。


『左が 風谷尚美、真ん中 香山桜子、右 桃井明日奈』



そうだ、香山さんだ。話したことはもちろんない。私が学校行ってないせいもあるけれど。



『彼女たちは強いが、変身しなければただの女子高生だ。君には彼女たちと友達になってもらって、団体行動させないようにして欲しい。』

『そうやって、確実に殺せるチャンスは、この子たちの王子様がいない学校内しかできないから』



確か彼女たちは、とびおの話が本当ならばPlutoメンバーと交際していることになる。


そんな話関係者情報でも聞いたことはない。そういえば、何人かのメンバーが性接待や枕、単純に性欲処理依頼などをぱったりしなくなってホモに目ざめたのかと揶揄するのは見たが、まさか。



電車はいつの間にか終着駅に着き、私はぼんやりと夜道を歩く。


迎えの車を出そうか聞かれたが、歩きたいからと断った。


人殺しの手伝いを、私にさせようとしているとびお。そこに従うことは明白で、私が断るなんて絶対に思っていないのだろう。


あの男は、確実に何かを私に隠している。


そんな確信めいた思いは、未知への期待なのか、単なる不安なのか。


私は、母のことが知りたい。それだけなのに。









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