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16(はにほへど)

「お帰りなさい東大寺さん。俺はちょっと出てきますね。」


一瞬ひるんだ楓だったが、何事もなかったかのように私の腕を掴み、急いで車に乗せようとする。


「だーかーらー。だめだよー。」


鳶緒は笑顔を崩さずに、しかしどこか威圧的な雰囲気で私の腕を引いた。


普段どこにそんな力が隠れていたのか、鳶緒に引かれた私は、彼の腕の中にすっぽりと納まった。

自分自身が小柄というわけではないので、鳶緒がこんなに大きかったのか、やっぱり性別の違いってこういうところに出るんだんなあと、どこか他人事に考えて現実逃避しないといけないほどに、目の前の状況は理解に苦しむ。




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王道だが最近の少女漫画では、当て馬が可哀そうとか、かといって親友とくっつけると負け犬同士とか、色々と読者の声がうるさいので、いっそのこと男同士でくっつけるなんて選択肢まで出てくる。



つまり何が言いたいかというと、二次元三次元関係なくありえない光景が今目の前で繰り広げられている。



ちょままちょまま。これって私がヒロインなのか、いやそんなわけないだろう。何が起きてるんだ。




私の混乱に2人は気づかず、ただ何も言わずに見つめあっているので、もう君たちでくっついてくれと、こっそり腕から抜け出そうとしたが、即座に鳶緒は腕の力を強めたので、結局逃げられない。



「だめだよーげんじつみなきゃー。」


私の意図に気づいたのか、微笑みながらそう言ってくる鳶緒に、抵抗するべく言葉を探す。


「私明日学校があるから。」


私のまともな理由に、



「あれれー、おかしーなー?君って普段そんなこと気にしない子だってきいてるよー。」


と煽ってくる鳶緒で、普段の不真面目な授業態度まで漏れているのかと、あの学校どうなってるんだと内心呪詛を吐きながら、


「いや、普段休みすぎてるから出席日数がやばいのよ。」


と、自分の中では最大限まともな言葉を紡ぐと、ようやく手の力を緩めてくれた。


「でも今から帰ったら寝れないよ?泊まれば?」


と、鳶緒も同じく未成年を寮に泊める提案をしてきて、この人たちどうなってるんだろうと、もう週刊誌に私から情報売ってやろうかとまで、考えたところで、突然腕を引かれて、強い力で車に押し込められた。



私が驚いているうちに、運転席に楓が乗り込み、発進準備をする。


助手席の窓があまりにも殴打されるために、開けると、そのまま顎を引かれて、キスされた。



「かれよりじょーずでしょ?おれ」



惚けているうちに、


車は急速発進して、鳶緒から遠ざかって行った。




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