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15(のひ)

廊下から聞こえる音が無くなったので、私は帰り支度をすることにした。


「泊まっていけばいいじゃん。」


とモニターから視線を外さず言う楓だが、現実問題として、明日も学校があるのだ。


コーヒーの礼を告げて、ドアを開けようとすると、


「送ってく。」


と楓も立ち上がったが、週刊誌の目が怖くないのか聞くと、


「そんなの、お前が消せるだろう。」


と意地の悪い微笑みを浮かべた。



一応取引相手の出版社以外に及ぶ権力は、まだ想定できないので、不完全な信頼は一応否定しておく。



「それで、私に、Plutoメンバーが家に女子高生連れ込んでることをもみ消せってこと?」



別にそういう目的で私を使いたかったのは理解できるので、怒るつもりもないが一応聞いてみる。




「お前を利用する目的で交際を申し込んだわけじゃないから。」

そんなに軽く・・・・見えるよな俺。




自分で言っておいて、落ち込む様子の楓がなんだか可哀そうになって、冗談だと話題を変えることにする。





部屋を出ると、広々とした建物には、人の気配を感じられなかった。



「多分病院行ったんだろ。」

最近いつもそうなんだから、直行するように言っておくべきだな。



私の鞄を持ちながら話す楓の言葉は、魔法少女にとって良くない状況であることを知ることができた。


「今までもこんなに危険な戦闘を行ってきたの?」


私の言葉に、楓は即座に否定する。



「いや、前までは分担してチームワークで倒せていたはずだんだが・・・()()()()()()()()()()()()とこんなにすぐ限界が来るものなんだな。」



楓の言葉から、攻撃担当が、産休?状態の香山桜子なのだろうことは察せた。

しかし、確か鳶緒から聞いた話では、魔法少女は害獣を倒した後に手に入る薬を飲まないと、自分が害獣と化すか、そのまま消滅してしまうはずだ。


それなら、彼女は今危ない状況なのではないか。もしかすると、鳶緒が彼女たちを始末したいと強行突破する理由もそこにあるのか。


考えるだけ、東大寺鳶緒のことが分からず、唸りながら玄関で靴を履く。


「・・・流石に俺といるのに、他の男のこと考えるのはマナー違反じゃないか?」


いつの間にか車のキーを手にした楓に、不服気な顔でそう言われるが、そもそもそんなに嫉妬することなのか、呆れるしかできない私だ。

これで少女漫画が描けて、親の力が大きいけど一応売れるのだから、世の中って不思議だなあと別のことを考えていると、いつの間にか手首を握られた。




「頭にきた。これ外して。」



彼が手に掬ったのは、鳶緒からはめられたブレスレット。彼なりの鎖だ。



確かに、貰ってからなんとなくはめつづけているが、そうする理由もないなと手に取ったその時だった。



「だめだよ。はずしちゃ。」



夜空に溶け込むような、でもしっかりとした低い声に、私も楓もそちらの方向を見る。



「君は、俺のなんだから。」



ビルの明かりが照らされる中、闇から出てきたような美しい悪魔。東大寺鳶緒が、悠然と微笑みながら私たちの前に立っていた。









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