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殲滅のエブリスタ  作者: 冷凍みかん
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プロローグ

 2027年

 季節はまだ寒さが僅かに残る初春の早朝。

 富士山のふもとにある道場で、少年は毎日に日課である父との摸擬戦を行っていた。

 黒髪に道着の姿は他人の目から見ると案外様になっていたりする。

 稽古が終わり道場の縁側に腰をかけて休憩していると、父が隣に座りめったな事がない限り開かない重い口を開いた。


「今日の剣、見事だった。魔法の腕も上達している。よくここまで腕を上げたな」

「サンキュー親父。しかし、この日課も今日で終わりとなるとなんだか寂しいな」

 

差し出されたタオルで顔を拭きながら、俺は親父に返事する。

 最後というのは、今日から俺不知火悠斗(はると)は、都心にあるエブリスタが集う高校、華耀学園に入学する為にこの道場を離れるからだ。


「お前は15歳ながら、我らが不知火炎清流の真髄、蒼覇にまでたどり着いている。実力で言うなら私をはるかに凌駕しているだろう。高校でも活躍することを期待している」

「言いすぎだって親父。まぁでも、親父の期待に応える程度にはがんばるよ」

「うむ」


 満足そうにうなずく父ともう2.3言交わした後、自室に戻って汗にまみれた服を着替えてから俺は、朝食をとる為にダイニングへと向かった。


 ダイニングに着くと兄の一斗(かずと)の姿があり、既に朝食は終えたのか呑気にスマホをいじっていた。

 因みに兄は24歳だが、詠唱(セスタ)は発現しなかった。魔法の才能がずば抜けていたのを国に買われて、今では精霊神殿安全対策委員会なんて大それた名前の組織の幹部にまで上り詰めたらしい……がめんどくさがりで家の道場でも一向にやる気が出ず、初めて一ヶ月でやめるような兄が何故そんな組織の幹部にまでなれたのか不思議でたまらない。

 以前、どうやってそこまで成り上がったのか聞いた事があったが、思いっきりはぐらかされて教えてくれなかった。

 しかし、家にいる間の兄は意地悪なところもあるが、基本は優しい俺の誇れる兄だ。

 そんなことを考えていると俺に気づいた兄が声をかけてきた。


「おはよう悠斗。お前の面が見れるのも今日が最後だと思うと悲しいな」

「物騒なこと言うなよ兄貴。たまに帰ってくるし今日が最後なわけないだろう?」


 苦笑しながら返事すると、


「あははー。そりゃそうか。すまんすまん」


 本当に反省しているのだろうかこの兄は。

 席について食事している間も兄との会話は続き、ふと兄が思い出したように俺に問いかけてきた。


「そういえば悠斗、今日のいつ頃出発するんだ?」

「お昼前には出発しようと思ってるけど、それがどうかしたのか?」

「なら送ってやるよ。ちょうど俺も都会のほうに用事があるからな」

「ありがとう。助かるよ」

 

たまにはこういうことをしてくれるので、俺は兄が好きだ。

 兄に礼を言ってから俺はダイニングを後にする。

 部屋に戻った俺はとくにやる事もないので生まれてずっと世話になった自室に別れを告げるのだった。


 正午も近くなりそろそろ出発するかと身支度を整えていると玄関のチャイムが鳴った。

 扉を開けるとそこには白銀の髪をなびかせながら笑顔で立っている少女がいた。


「おはようハル君!迎えに来たよー」

「ハル君言うな!ていうかもう昼だし。なんかあったのか?」

「あっハル君ってば忘れてるー。今日ボクと一緒に行くって約束してたのに」

「あー悪い完全に忘れてた。」

「むー」


 このほっぺを膨らませている少女は館宮花純。俺の幼馴染でありうちの門下生だ。とはいっても彼女の場合、剣術ではなく槍術なのだが……。

 花純を尻目にそんな事を考えていると、不意に背後から兄が姿を現した。


「悠斗ー。ん?なんかあったのか?」

「あー悪い兄貴。花純と一緒に行く約束してたの忘れてた」

「お久しぶりです!一斗さん」

「おっ花純ちゃん久しぶりー。なんだそんなことか。いいぜ。花純ちゃんも一緒に送ってやるよ」

「ありがとう。助かるよ兄貴」

「ありがとうございます」


 いやそれにしても忘れてたのは悪いことしたな。後で何か奢らないと大変な事になりそうだ。

 こうして俺達は、兄の走らせる車に乗って新しい学園生活へ向けて旅立った。


はじめまして冷凍みかんというものです。

初投稿なのでおかしなところが多々あるかと思いますが、温かい目で見守っていただければ幸いです。

投稿は不定期になると思いますが、出来るだけ頑張りますのでこれからよろしくお願いします。

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