第3話 不安と疑問そして奇襲
私は町に到着した。だが私は不安があった。それはここに来る途中での出来事である不安と疑問を抱いたからである。
そうあれは昨日の事、殆ど歩きずめで疲れた体を道中で見つけた川の隅で休んでいた時だった。この時の私は油断していた。川の周りは穏やかで静かだったが突然、草むらから自分よりも少し大きな影が飛び出してきた。
「グォゥ!!!」
私は半ば条件反射で地面を転がるようにして敵の攻撃を避けた。すぐに立ち上がり、草むらから何が飛び出してきたかを確認した。
「狼?」
そう、狼だ。今私の目の前にいるのは地球にもいる狼と似ていた、と言うかまんま狼だ。
「・・・」
私はこれからの事を考えつつ静かに腰のところに付けていたナイフを抜いた・・・
まず考えた事は逃げる事だかきっとそれは無理だろう。理由は地球にいる狼でさえ大型のものの場合
ヘリからの追跡を逃れる事ができる速度で走れるらしい。逃げればすぐに追いつかれ、喰い殺される。
なら戦うしかない。そう結論付けた私は戦いを始めた。
私は正面から狼に突っ込むような形で走った。
「おおお!!!」
声を張り上げ、狼に警戒させつつ隙を探した。
「グオゥ!!」
負けじと声を出した狼は私と同じよう正面から襲いかかってきた。
狼が走り出そうとした瞬間、私は思いきり地面を蹴った。
「ギャン!!?!!」
地面を蹴り思いきり砂ぼこりと土を狼に向けて蹴ると狼の顔に見事土が当たりどうやら目に土が入ったようで、私の存在忘れたように暴れていた。
その隙を逃すはずが無い。私は狼の背後に素早く回り込みナイフ背中に突き立てた。
何度も何度もナイフを刺し続けた。
狼が目を真っ赤に充血させた目で私に食らいつこうと抵抗していたが背後から襲う私にはその抵抗も無意味だった。
「クゥン・・・」
最後にひと鳴きした後狼は地面倒れこんだ。
事切れたようだった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
正直ギリギリだった、いくら背後を上手くとれてナイフを刺し続けたとはいえ、普通はこんなに上手くはいかない今回は運が良かったが普通はこちらが喰い殺されていてもおかしくなかった。こちらの消耗も激しく幸い傷はないが服は狼の返り血で汚れまくっていた。
私はその場で倒れこみ、服洗わないとなぁと考えていると、ふと少し不安になる疑問を浮かんだ。
「あれ?私ってもしかして身体能力向こうといた時何にも変わってない?」
そう今の戦いで私の基礎体力及び能力が地球にいた時何にも変わってない事に気付いた。
「いや・・・まさか・・・無い無いあるはずが無い・・・」
そしてもう一つの疑問があったそうそれは・・・
私に何かチート級のスキルが付与されているかである。今の戦いでも特に違和感がなかった否、いつも通りすぎたのである。何か特別な補正がかかっているわけでもなく敵を倒しても何も天の声のようなものも聞こえない。まるで私の体には何の変化も起きていない事に気付きかけていた。
「これは・・・すぐに確かめないとだな・・・」
きっとこれから行く町には冒険者ギルドというものがあるはず異世界者なら当然のテンプレだ。
そしてそこにはスキルやステータスを確かめる方法もあるはずだと。そう思い服を着替え、狼の死体はどうしようもなかったため放置した。
素早く荷物を纏め私は町を再び目指し始めた・・・