番外第1話 これまでのミアさん
ミアさんの前日譚及びサイドストーリー風に書いてみました、どうぞご贔屓に・・・
私の名はミア、どこにでもいる少女・・・では無い
私は勇者だ・・・だが私が勇者という事はほんの一握りの人間以外知らない・・・
そもそも私が何故勇者なのか?というのはまず私の
出生から離さなければならない、私は生まれた時
スキルを持っていなかった、しかしスキルの代わりなのか、私には強力な神の加護が生まれながら付与されていたのだ。
そんな私に目をつけた教会が両親から私を無理矢理
引き取り勇者としての教育を幼い頃から受けさせられた・・・私みたいなパターンは今では無かったらしく普通は強力な魔物、ドラゴン、魔王などの存在を
単独で討伐したものが勇者へとなれるらしいのだが
私には神の加護により、既に勇者の資格を経ていたのだ、そうして世間一般では私の事を知られていないのを利用して私は一介の冒険者として教会の傘下でもある冒険者ギルドに入り、勇者というのを隠して過ごしている。
何故勇者である私が隠して過ごしているかって?
理由は簡単である。勇者は目立つからである
勇者が一つの大国の国境を超えたとしよう、するとたったの半日で情報が大国や周りの国に伝わり、勇者は常にどこにいるか、何をしているのかが筒抜けになってしまうのだ。
普通の勇者の役目は魔王などの人間に仇なすものの
討伐などまあそれくらいの事なら勇者がどこにいようと知られといようと問題は無い。しかし、それはあくまで表の話・・・裏の話・・・いわゆる暗殺、スパイ
その類の極秘任務などでは強さでは申し分無いのだが
確実にバレる・・・事実できる限りの隠蔽をどこに施し極秘任務に向かった勇者たちは例外無く任務中、又は任務開始前に勇者だとバレてしまう始末・・・
協会はどうしても諦めきれなかった、勇者が裏の仕事でも力が振るえばそれだけで裏の世界を手中に収めることが出来るのだから・・・
そんな中、私という存在が見つかった、例外の中の例外、神の加護を受けこの世に生を受け、一般人であればスキルなしの役立たずにしか見えない勇者になるための使命を無慈悲にも言い渡されたこの私を・・・
○◆○
私が初めての仕事をしたのは15歳の時だった
内容は簡単だ、国に蔓延っている犯罪組織の壊滅だ
私は普通の冒険者100人で集まって1年程掛かるこの仕事を、1ヶ月で全てを駆逐した、私には神の加護のお陰か悪い心?を持った人間を感じることが出来る
だからその力を使い目に付くものは捕まえた、まあほとんど悪い人たちは原形を留めて無かったけど・・・
そんな仕事をしたりしつつ、私は各地を転々と周り時に名前を変え、性を男と偽り、冒険者達とはできる限り交流を持たず、そんな生活を3年程過ごした。
そんなある日、教会から使いの使者から変わった依頼を言い渡された。
「ランズという町に、身元不明の男が冒険者ギルドを訪れた、その男の身元を調べ教会に害を与えるものであれば・・・潰せ・・・」と、当然私は疑問に思い
確認も込めて教会からの使者に聞いた。
「私が何故その男を調べる必要がある?まさかその男は人間化けた魔王か?」
私に依頼する時点で事態は中々に切迫してると思った私は一番可能性の高い依頼の中身の予想言ってみたのだが・・・
「わからないんだ・・・」
使者顔を顰めなんとも言えない表情をしていた。
「わからない・・・とは?」
「ランズの冒険者ギルドでその男は水晶を使ったのだが・・・奴の身元どころか奴の出自すら表示されなかったんだ・・・」
「ふむ・・・確かに異常だな、それは・・・」
使者が言った水晶とは文字通り水晶玉のような人間の持つ名前、年齢、職業、能力、スキル、称号を調べる事が出来る・・・というのが世間一般の考えだが本当は違う、あれは古代遺物が一つ、鑑定石を解析し作られたそのものの個人情報を全てを調べ上げる鑑定水晶なのだが、なんでも鑑定石ではあった一部の能力が欠落していると聞いたことがあるが
まあ噂程度だし、特に気にとめるところでは無い、問題なのは・・・
「本当に表示されなかったのか?」
「あ、ああ、名前なりなんなりの普通の機能は正常に動作していのだが、それ以外の情報が全て表示されなかった、こんな事前例が無いため教会は今回この男を極秘に監視し、身元が割れ次第、取り込むか、処分するかを決めるらしい・・・」
まあ、確かにこれは由々しき事態だその男を放っておいたら何が起きるか、想像するだけでも恐ろしい
そう思った私はこの依頼を受ける事にした。
「了解した、この依頼を受けよう」
「わかった、なら今奴がいるのはランズの町を1日程進んだ道を歩いていたの5時間程前に目撃されている普通ならここから5日ほど掛かるところなのだろうが・・・・」
「私なら3時間でいける、では早速行ってこよう」
と、ミアが言うとその場にはミアが地面を蹴った時に舞ったと思われる砂埃だけが残されていた。
「幸運を・・・」
とミアを心配そうに俯きつつ使者は言うのでした。
○◆○
「・・・いた」
ミアは今、森の茂みの中で様子を伺っていた。
彼女が見ている先にいるのは、盗賊団らしき30人近くの男達、そして向かい合うように縛られて座らされている、ミアよりも年下に見える男・・・
ミコトである。
「・・・悪意は、感じないな・・・見た目は何処にでもいそうな奴だか・・・この状況奴の正体を見極めるいい機会かもしれんな・・・」
とりあえず、ミアはミコトがどう行動するか様子を見る事に決めそうです、ミアが観察していると盗賊団のボスらしき男がミコトを殺そうとするのが聞き取れたそしてミコトがその話の間に割り込み、ミアはミコトの発したある言葉に反応するのでした。
「いや待ってくれ、待ってくれ!!私は語り部なんだ。せめて死ぬ前に一つ物語を語らせて欲しい」
語り部・・・?語り部という事は物語を語るのか?
この状況で?中々にぶっ飛んだ思考をしているな・・
普通そこは命乞いをするもんだろう・・・
などと考えているミアはこんな状況で物語を語ろうとするミコトに任務以外で純粋に興味を持ちはじめ
ミコトが語る物語に耳を傾け向けていくのでした・・
○◆○
お・・・・面白かったぁぁぁぁぁぁぁ!!
いやこれは過剰表現のし過ぎか・・・だが事実ミアはミコトの語った物語に魅力と面白さを感じ、物語ならではの展開に興奮していたのですから・・・
「む!?まずい!!」
どうやら先程の物語を聞いた盗賊団のボスがキレたらしい、あんなに面白かったのに・・・
そう思いつつミアは勢い良く茂みから飛び出すのでした・・・
○◆○
「しまった・・・完全に見失ってしまった・・・」
ミアはとりあえずあの場から逃走するために盗賊団のボスの首を持ってミコトの前から姿を消し、首を放り出すわけにもいかず、ランズまで戻りギルドに提出してから、ダッシュで戻ってきたのだが・・・
「はあ・・・私とした事が・・・仕方ない・・・おそらく次の町に向かったのだろう・・・歩くか・・・」
と些かしょんぼりしたミアはまた走ろうかと思ったがまあ、目的地もはっきりしてるだし、たまにはゆっくりでもいいだろうと思い、ミコトが語った物語を反芻しながらゆっくりとスキップをするかのように歩いて行くのでした。
○◆○
「ふむ、今日はここに泊まろう」
ミアはとりあえず町に着いたのでミコト探しは明日にしようと思い、宿屋に入って行きました。
すると宿屋の入り口近くに二人人間がいました、片方には見覚えはなかったのですが、もう一人には見覚えがありました。
「あの男は・・・」
どうやらミコトがもう一人の人間におしおき?をしているようでした、本来ミアは彼に尾行及び彼の調査がバレてはいけないため此処で引き返すのが妥当でした
しかしミアは逆に彼らに近づいていきます。
この時のミアの心はというと・・・
もしかしたらまた物語が聞けるかもしれない・・・
話しかけたら聞けるかもしれない・・・あんな胸躍る楽しくて、聞いてきて新鮮味があって今まで経験した事がないような事が・・・たくさん!!
そう思い好奇心のせいか半ば任務の事を忘れてミアはミコトに声を掛けるのでした。
「あれ?貴方は確か?」と・・・