捨てられた者たちの出逢い
物語7
今回は2部編成です
まずは1部目から
ある所に一人の少女がいました。
容姿は9〜11歳ぐらいで背は低くも無く高くも無く
髪は肩にかかるぐらいのストレートで白髪でした
しかし・・・その少女の目には光が宿っていませんでした。
少女は歩いていました人っ子一人いない森をただひたすらに・・・
私は・・・歩くただ歩く・・・そう命令されたから。
最近滅多に雨が降らずカンカン照り続き作物が枯れ食料不足していました。そしてそれは少女のいた村も例外ではありませんでした。それを機にこの少女の主だった男は少女を村のはずれの森の入り口まで連れて行き、一つの命令をしました。
「歩け、ただひたすら力尽きるまで歩け!!」
「はい、ご命令のままに・・・」
少女は生まれてすぐ両親を亡くし親戚をたらい回しにされた挙句に半ば奴隷のような形で今の男のいる所にいました、ただそのため本当の奴隷ではないため、男の言う事は絶対遵守という訳でありませんでした。
しかし少女は命令に従います・・・何故ならこの少女は知らないからです。
少女は母の愛を知りません、少女は父の厳しさを優しさを知りません、笑顔を知りません、怒りを知りません、悲しみを知りません、人を疑うと言う事を知りません、恋を・・・知りません。
だからこそ、ただ食い扶持を減らすためだけの理不尽な命令にも表情を一切変えず、何も思わず歩き出すのでした、ただひたすらに・・・
○◆○
少女は既に半日近く歩き続けていました・・・
普通の人間なら半日歩き続ければ疲れはてて休憩をしたり、食事をしたりしますが少女はただ命令の事しか頭には無くただ力尽きるまで歩こうとしていました
すると・・・
「おい、そこの人間・・・」
「?」
少女は突然背後から声を掛けられましたが振り返ろうとせず、何もなかったかのように歩きつづてけています。
「おい!!聞こえているんだろう!!こっちををみろ!!」
仕方ないとばかりに少女は歩みを止め後ろを振り返りましたが、誰もいません。
「?」
「おい、そっちじゃない!!下だ、下をみろ!!」
言われるがまま、そのまま下を見下ろすと・・・
「ね・・・こ・・・?」
少女と同じ髪の色と同じ真っ白の一匹猫がいました。
「ふん、やっと気づいたか貴様こんな森の中で何をしている?貴様の目的はなんだ?」
随分と傲慢な口調で問いかけてくる猫・・・ここでは猫さんと呼ぼう、猫さんは少女に問いかけると少女は・・・
「・・・」
両手でヒシッと猫さんが抵抗できないように掴み
そのまま持ち上げてしまいました。
「き、貴様!?な、何をする!?!?」
突然掴み上げられ何も抵抗できない猫さんは困惑して少女に問いかけます、すると・・・
「せえの・・・」
と声は弱々しいのに力強く思い切り猫さんを持った両手を振りかぶりました、当然・・・
「ニャーーーーー!!!!!!!!!!」
猫さんは森の彼方までぶっ飛ばされていきました。
この少女は見た目に反し、昔からしてきた重労働の
お陰か普通の大人よりも力や体力があるのでした・・
そして猫さんはが飛んでゆくのを確認し終えた少女は
歩みを再開するのでした・・・
◆○◆
10分後・・・
「キサマーー!!まだ私は何も言ってないのに私をぶっ飛ばしやがったぁぁぁぁ!!」
とてもお怒りプンプン丸な猫さんが少女の前に立ちはだかっていました・・・
「・・・だって、貴方が私の・・・邪魔をするから」
「邪魔?何のことだ?私は貴様に話しかけただけだろう?」
猫さんは少女の言ってる事がよく分からず少女の言葉に疑問を覚えました。
「私は・・・ご主人様の命令でここにいるの・・・だから邪魔をしないで・・・」
何故だろう少女はまるで聞いてる分には悲しそうな表情を浮かべるはずなのに無表情のまま、声には感情が全く篭っていなかった、そうして疑問に思った猫さんは一つの質問をするのでした。
「ふむ・・・因みにお前のご主人とやらはどういう命令をしたんだ?」
答える義理は少女にはありませんがただ淡々と受け答えをしていきました。
「『歩ける、ただひたすらに力尽きるまで歩け!!』・・・です」
そうして少女から聞いた話により猫さんは理解し、少女に向け一つの事実を押し付けました。
「つまり、お前は捨てられたんだな」と・・・
「すて、られた?私が?ですか?」
少女は問う・・・猫さんの言っている事がよく分からずに困惑しているのだろう、だか現実は無慈悲だ。
「ああ、貴様は捨てられた・・・まあ、わかりやすく言えばもうお前はいらないと言われたようなもんだな」
「そう・・・だったのですか・・・」
少女は理解できない何故私は捨てられたのか、何故私はここにいるのか・・・全く少女にはわからなかった
だが・・・
「・・・?これは、なに?」
少女の頬には一粒の水・・・涙があったそしてその涙は少女の意思に関係なく、まるで大雨が降る前の前兆かのようにつぎつぎ流れていく。
「知らないのか?人間の癖に?それは人間が嬉しい時、悲しい時、辛い時、悔しい時、痛い時、苦しい時何かを失う時に流す涙・・・という奴だ、まあお前が流してる涙は私には検討もつかない・・・がな」
と、少女の涙を流してる意味をなんとなくわかる猫さんはただ少しぼかしながらも少女に問う。
「お前は何故泣いている?何故お前は悲しそうな顔をする?」
猫さんは実はあるスキルを一つ持っています、その名は心読心と言う相手の心中を読むスキルを、最初にこの少女を見た時即座にこのスキルを使った猫さんは驚いた。
それも仕方ない何故ならこの少女の心は空っぽだったからだ、はたから見ればまるで人形のようだとも感じた、だからこそ猫さんは気になった、かつての猫さんの主人だった人間とは全く違う少女が気になったのだ。
そして少女はただ必然かのように答える。
「わか、ら、ない・・・」と、弱々しく。
この時も少女の目から涙が溢れるが無表情のままであった、そんな少女を見た猫は一つの提案を持ちかける。
「お前・・・一応聞くが何処か行くあてはあるか?」
猫さんの問いに少女は首を僅かに横に振る。
「そうか・・・なら私と一緒にくるか?」
「・・・でしたらお願いします・・・」
普通の人間なら躊躇したり考え込んだりするだろう、だが少女は考えた所でどうしようもなかったの
だった、どうせ私は何処にいても同じだからと。
「なら5秒だけ目を瞑ってくれ。じゃまずは目を・・・」
とりあえず言われた通り目を瞑る、そしてカウントダウンが始まる、5・・4・・3・・2・・1・・
ピー・・・チクチク・・・
ブラックアウトしている視界から突然耳元から鳥のさえずり声が聞こてきた。
おかしい・・・私は確かまだ闇の深い夜の森を歩いてたはずなのになんで?
と言う疑問を浮かべていると・・・
「もう目を開けていいぞー」
猫さんがそう言うとゆっくりと目を開ける少女すると
目の前の光景を見た少女の瞳に色が宿っだような気が
した。
まず目に入るのは少し苔と蔦が蔓延る古い感じの小屋その周りの覆うのは太陽の明かりを受け爛々と照り返す樹木と葉によって支配されており、また近くには少し大きめの池があり時折立派な鯉が水面に映る
そして地面一面には色とりどりの花が咲き誇っていた。
「・・・え、ここは・・・どこ?」
と、当然の疑問を問いかける少女に猫さんは言う。
「ここの場所は失われた庭と言っていたかな?ここは夜だろがなんだろうが何故か一年中ポカポカ陽気の太陽が照らしていて夜だろうがなんだろうがいつも晴れなんだよ・・・と、どうした?」
説明を続け様と少女の顔を覗き込んだ矢先、少女はこの世界の景観に魅了されたのか1ミリも動く気配がかじられません、そして猫さんはわかります、少女は何をしたいのかだからこそ言うのです。
「こういう時は人間風に言うなら「綺麗」か「美しい」か「凄い」って言うらしい・・・そして・・」
「そして?」
猫さんとの会話に慣れだしたのか相槌をうつ少女 。
「笑顔で言うらしい・・・」
と自分が知る限りの人間の行動原理を淡々と説明していく猫さんだが最後の猫さんの言葉に反応してか
当然少女が変顔をし始めた。
「・・・・ぷ・・・」
そんな変顔を眺めていた猫さんだったのだか・・・
「わはははは!!!」
とうとう堪えきれず笑い出してしまう猫さんとりあえず要練習なと心の中で猫さんはこの後笑顔の練習をさせようと考えていました。
「・・・どうしたの?」
と猫さんが何故笑いだしたのか訳がわからない少女に猫さんは。
「いやいや気にすんなって・・・とそういえばお前の名前聞いてなかった?なんていうんだ?」
と今の今まで少女が名前を名乗らなかった理由をしってはいたのだか直接聞いた方がいいと判断し
少女に聞いた。
「・・・私には、名前はない、の。」
「そうか・・・なら私が名前をつけてやろうか?」
「いいの?」
「いいよ、その代わり私の名前を君が考えてくれ」
「貴方、名前はないの?」と疑問に思う少女するとすぐに答えを返してくれました。
「まあ、前の主人がつけてくれた名はあるがあの名は主人以外には呼ばれたくないからな、だからお前が私を呼ぶときの名前を考えて欲しいのだが・・・」
「いいよ・・・私でよければ・・・」
「よし、そうと決めれば名前を考えようではないか!!」
5分後
「決まったか?」
と時間がある程度たったので確認を取る猫さん。
「・・・うん、いいよ、じゃまず私から、ね・・・
貴方は全身が真っ白でまるで私が昔見た事がある雪の様・・・だから貴方の名前はユキ・・・どう?」
「ほう、なかなかいい名だ、なら私も言うとするか
お前は少々抜けているところがあるからなだからこそお前には凛々しくなってほしいという気持ちを込めて
リンと言う名前をつけようと思うのだか・・・どうだ?」
すると少女・・・リンは無言のまま泣き出しました。
ポロポロとゆっくりと流れていく涙、猫さんは・・・
ユキは困惑したり心配はしていません、何故ならわかるからこの涙は悲しみの涙じゃない事くらいわかるから・・・
「ありがとう・・・ユキ・・・」
そうして紡がれた言葉とともに少しぎこちない笑顔を浮かべるリンを見てユキは自分までも泣きたくなるでした・・・
誤字修正しました〜