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ピエタ古美術・古道具店  作者: 三塚章
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木製のバレッタ

 それはこの店の中では新しいものですね。ツバキが彫られたバレッタです。表面に少し傷がありますが、気になるほどではないでしょう。髪を留める金属部分は新しく付け直された物です。

 それは、ある女の子が形見として祖母から譲られた物です。女の子は、いつもそれを身につけ、とても大切にしていたそうです。

 何がきっかけだったのか、女の子はある日からいじめを受けるようになりました。いじめをしていた子は、そのバレッタが彼女の大切な物だと知り、彼女から奪い取り、目の前で踏みつけました。表面の傷はその時に付いたものです。金具も歪んでしまい、すぐに髪から外れるようになってしまいましたが、少女はそれでも祖母との思い出が残るバレッタを着け続けたのです。

 その日、遠足で皆と一緒に道を歩いていた時も、バレッタが髪からすべり落ちました。少女がそれを拾おうとした時、列に車が突っ込んだのです。もしそもの瞬間、彼女が足を止めてなかったら、彼女はかれていたでしょう。彼女の前を歩いていたいじめっ子は即死。少女は、祖母が自分を守り、いじめっ子に罰を与えたのだと信じたようです。

 それから少女は歳をとり、結婚することなく一人で息を引き取りました。そして遺された物を処分した者が、いくらかでも金にしようと売り払ったため、これはここにあるので

す。


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