#1
【作者より】
大幅改稿に伴い、書き忘れてしまったエピソードを2話分挿入させていただきました。(今回はそのうちの1ページ目です)
ブックマークのしおりがおかしくなっていると思いますので、ご了承ください。
十月上旬――。
この日は「なろうブックス」の新レーベルである「なろう文庫」の顔合わせの日。
真新しい編集部に若い編集者三十名くらいが緊張した面持ちで集っていた。
「おはようございます」
少し遅れて一人の男性がその編集部に姿を現す。
「「おはようございます!」」
編集者たちもそれにつられて彼に挨拶をした。
「みなさん、はじめましての人もお久しぶりの人、僕と同じ編集部からきたという人もいますね……「なろう文庫編集部」の編集長の益子と申します。以前は「なろうブックス編集部」の編集長を勤めていました。どうぞよろしく」
「「よろしくお願いします!」」
「では、左から順番に自己紹介をしてもらいましょう」
益子は一番左側に立っていた女性に声をかける。
彼女は周囲を見回し、ややがっくりしながら「はい」と返事をした。
「「なろうL文庫編集部」から参りました。新垣です。よろしくお願い致します」
新垣が勤めていた「なろうL文庫」は女性向けのレーベルである。
大人気作品は『悪役令嬢は地獄に落とされました』。
「女性向けレーベルからの異動ですね」
「はい!」
「では、次の人」
「益子編集長と同じく、「なろうブックス編集部」からきました早見っす。よろしくお願いします」
早見は益子と同様に「なろうブックス」からきた編集者。
大人気作品は『異世界に転生した俺はチート能力を手に入れてやる!』。
「早見さん、「なろうブックス」に引き続きよろしくお願いします」
「これからも引き続きよろしくお願いしまっす!」
「次の人――」
他の編集者の自己紹介が順調に進んでいく中、一番右側に立っていた女性は少し複雑そうな表情を浮かべていた。
なぜならば、彼女は「○○ブックス(文庫)」の編集者ではない。
女性向けのレーベルや男性向けのレーベルから異動してきた編集者たちに笑われるのではないかと不安に思っていたからだ。
「――――では、最後の人」
「はい。「電子書籍編集部」から参りました。栗林と申します」
栗林が勤めていた「電子書籍編集部」は「なろうブックス」などで発売した作品を電子書籍化する編集部。
書籍化されたあと、約一ヶ月後に発売している。
「電子書籍のところですね。栗林さんは新しい環境でのスタートですね」
「ええ。至らないところが多々ありますが、よろしくお願い致します!」
益子の思いがけない暖かい言葉に彼女は励まされた。
「みなさん、ありがとうございました。ここにいる全員が「なろうブックス」の新レーベルの「なろう文庫編集部」のメンバーです。これから忙しくなりますが、頑張っていきましょう!」
「「はい!」」
こうして、新たなレーベルとして立ち上がった「なろう文庫編集部」。
これからこの編集部の編集者たちはどのような作品を選び、出版されて行くのか楽しみだ。
2017/01/29 本投稿