プロローグ
プロローグ
――あぁっ!くそっ!理解したよ畜生!
男は拳を力強く握り締めた、ゲーム内ながらも痛覚を感じながら。
『それでは君達』
仮面を付けたジェントルマンを気取った姿をしていた男が演説を続けていた。
なぜこのゲームが急に莫大な投資を受けて発展したのか――
なぜこの大型アップデートと呼ばれる日に俺たちがゲームにインさせられることになったのか――
『せいぜい楽しませてくれたまえ』
その眼はこちらを見つめていた。確実にみつめていた。
男はキッとその眼を睨み返すと、今思っているありのままの感情をぶつける。
「はめやがったんだな!あんたは!俺達を切り捨てて!更には見せ物にしようと――」
そこにはもう既に影も形もなかった。
<<メモリアルファンタジー>>
"あなたに現実と同じほどの思い出を"と謡われたこのオンラインゲームは、日本中をブームに巻き込んだ。
プレイヤーはコントローラーを使わず、五感を支配し、実際にゲームの中にプレイヤー自身がいるように思わせるほどのゲームが発売されたのだ。
このシステムでも画期的で日本中のゲーマーがこのゲームの話題の渦中に巻き込まれている中、メモリアルファンタジーの創始者である芸羅通信カンパニーは新たなシステムの追加を数ヵ月後発表する。
通称"モニタライズシステム"と呼ばれたそれは、携帯型端末にアプリをダウンロードし、プレイヤーのIDを入力し、プレイヤーにモニター申請をする。次に、ゲームをプレイ中のプレイヤーがその申請を受け取り、許可をする。すると申請が許可された携帯型端末にプレイヤーがモニターに浮かびあがり、会話や景色の共有が可能となった。
このシステムがメモリアルファンタジーを日本中に知れ渡らせるきっかけとなった。ゲームに関心がない人々も簡単にゲーム外からプレイヤーを通して山頂からの絶景や、幻想的な風景が見れるようになったり。プレイヤーがダンジョン攻略を配信し、それを外から応援したりできるようになったのだ。この情報の共有性はまたたくまに国中に広がり、国民の娯楽の一つとして定着しつつあった。
しかし、このゲームがやがて一つの大事件となり、歴史に残されていくことになる。
ある人は言う"これはリアルファンタジーだ"と
ある人は言う"これはゲーム内外問わずに人間性を監視する実験だ"と
やがて、このゲームは国中の人々に恐怖を植え付けたシステムの名を取ってこう呼ばれるようになった。
<<モニタライズオンライン>>
閉じ込められたプレイヤー達を見続ける、監視のゲームだ、と。
初めまして、手布野 有夢です
初投稿で文法などいろいろ至らない点があるかと思いますがよろしくおねがいします。