リストカット
最初は本で読んで、ちょっとやってみようというだけだった。
浅く、小さく猫にひっかかれたような小さな傷。でも、この時の小さな痛みが何故かとても安心できた。
何か辛いことや嫌なことがあっても、それを顔に出せば親に殴られる。ならば、リストカットすればいい。
そうすれば苦しむのはあたしの腕だけ。
誰にも責められない。怒られない。
最初に切ったのは中学一年生の頃、そして二年生になる頃には一度切った痕が消えなくなるくらいの深さで、自分の手首を傷つけるようになっていた。
さすがにそれくらい切るようになると、周りにもバレてくる。
とうとう二年生の夏、父親にバレた。
すぐいつも殴られる時に入れられる部屋に連れて行かれて、話を聞くという名目で散々なじられた。
「次切ったらぶん殴るからな」
「そんなことするのはお前が弱いからだ」
死にたいのはあたしが弱いから。
いじめられるのも、両親に暴力を振るわれるのもあたしが悪いから。なら……
キエテシマエ
夜中、今までで一番深く切りました。
でも、血管には届きませんでした。
たくさん流れ出る血液。
だめ、こんなんじゃ死なない。
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
そして、壊れたあたしは
自傷行為依存性に陥った。