表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードが導く異世界道(仮)  作者: 猫あんどん
1/1

1話

どうも、猫あんどんです。どうぞよろしくお願いします。

どうも、烏木燈火(からすぎとうか)と申します。何の変哲も無いただのJKです。どうぞよしなに。


突然ですが、皆さんは異世界だとか、神様だとか、そういう迷信やオカルトを信じますか?web小説で良くあるようなあの謎の展開。死んで転生。召還されて勇者。何やら訳が分からないうちに異世界へ、とかいう展開もよく目にしますよね。理由は神様に気に入られたからとか偶然だったとかそういうのが多いでしょう。


謎です。一体何故こんなジャンルが人気になったのか、私にはいっちゃん分からんとです。


神様に気に入られたって、宇宙作ってうん億兆年生きてる神様が、それこそ沢山見てきた人間の中で一体どういった理由でその人を見初めたって言うんでしょう。偶然?んな偶然、くそったれですよね。偶然とかそういう言葉で表現する事すら躊躇われますよ。世界から他の世界へ飛ぶんですよ?偶然とかマジで有り得ませんよね。


そもそもどうして主人公達は異世界へ行っちゃうんでしょう。どうしてそこで頑張ったんでしょう。神様もそっとしておけば良いのに、どうして今更になって干渉してきたんでしょう。元の世界にもいい女の人なら沢山いる筈なのに、どうしてわざわざ異世界へ行くんですか?日常に飽きちゃったんですか子供ですか。立派な大人ならしゃんと現実受け止めて生きてけってんですよ。


ねえ?


ああ、つらつらと愚痴ばかり聞かせてしまって本当に申し訳ない。これはただの独り言なので気にしないで貰えると助かります。誰に謝ってんのかてんで自分でも分かりませんが、ここに謝罪します。ごめん。


まあ、ここまで来て、私が一体何を言いたいのかと言いますと。


「…見事に異世界ですね。本当にありがとうございました」


私、どうやら異世界に来てしまったようなんです。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




そもそも私、烏木燈火がどのような人間なのかを、まず最初に説明致しましょう。


烏木燈火。今年で16歳を迎え、順調に高校生活を謳歌中。身長145cmで華奢な骨格をしているものですからたまに小学生に間違えられる事がしばしばあります。眼鏡を掛けて、黒い髪の毛を二つ結びで結んでいます。容姿はあくまでも中の中あたり。勉強も運動も全て中の中。特に特筆すべき個性はありません。強いて言うなら地味な事が個性でしょうか。はは。あとコミュ症。


友達は、まあ変人ばっかりですがいるにはいました。腐女子の牧さん。メカオタクの神内さん。面食いの来栖さん。おデブの皆戸さん。皆さん確かに二癖も三癖もありますが、わりかし良い人達ですよ。特に牧さんとは同じクラスなのもあって良くお話をするくらいには仲が良いです。まあ牧さんのマシンガンのごときBLトークに私が「へー」「すごいねー」を繰り返すだけなんですけど、これも立派に友達ですよね?


まあ、そんな普通にきゃぴきゃぴなJKな私なのですが、一つだけ、皆さんに秘密にしていた趣味があるんです。


私、ソシャゲが大好きなんですよね。所謂ソーシャルゲームと呼ばれるジャンルなのですが。知ってます?


有名どころで言うと、パズルを消してドラゴンを育成するゲーム、『パズゴン』でしょうか。カードとかを手に入れて、強化して、それをパーティーに編成して、また強化して、ってな感じの片手まで出来るお手軽なゲーム。


ただ、私の場合はお手軽なんて言葉じゃ表現しえない程の重症でしたが。課金アイテムに1年間で3万円をつぎ込みましたが何か私に落ち度でも?1万円突っ込んでSレアが手に入るなら軽いもんよ。バイト出来る高校来といて本当に良かったです。


私がソシャゲに覚醒したのは、私がまだ小学4年生の頃でした。その頃は小学生でもスマートフォンなどの多機能携帯電話を持っているのが当たり前な時代で、私も例に漏れず親からぽいとタッチパネル式の携帯を買ってもらったんですね。その頃は私は図書室に入り浸る本の虫だったもので、機械音痴もここに極まれりな感じだったんですが、幼い頃から飲み込みの早さだけは評価されてきた私はたったの数ヶ月でスマフォを操れる様になったのです。私ってば天才。


携帯を買ったので、やっぱり同級生の人達何かからもそれを話題に話しかけられた事がしばしばありました。で、その時でした。


『ねえ、このゲームなんだけど…』


良くある、同級生に誘われてやって見る、ってな感じですね。無料だからやってみてと勧められた私は、何の疑問も無くソシャゲをインストール。タイトルは『地平線の彼方へ』。良くある魔法あり、剣あり、モンスターありのファンタジーを題材にしたソシャゲでした。元々ファンタジー系は大好きだった私は特に抵抗なく楽しめました。


楽しめて、それに熱が入ってきて、目が悪くなって眼鏡を掛けて、進めてくれた友達すら気後れして話しかけてきてくれなくなってしまった頃には既に手遅れでした。私は立派なソシャゲオタクとして、その頭角を世間へ(悪い意味で)現したのです。


それから早数年。高校生になった今でも、私はまだまだ立派な『地平線の彼方へ』の課金ユーザーです。私は元来の性格の暗さと、さらに携帯につぎ込みすぎた経験値の所為でクラスからかなり浮いていました。コミュニケーションレベル1です。ただしソシャゲレベルはカンスト中。


そんな私に話しかけてくれたのが牧さんです。同じ様にBL好きのオタで、クラスからちょっと浮いていた牧さんとはすぐに仲良くなれました。牧さんが話し専、私が聞き専という、見事なフィット具合だったのも一因でしょう。


まあそこら辺の話は置いておいて、そんな訳で今日の今日までソシャゲに心血を注ぎまくってきた私だったのですが。


「なぜ…こんな事に…」


私は、大自然を目の前に、呆然としながらそう呟きました。


森です。それも大森林と形容しても良い程の、深そうな森。鬱蒼と茂る蔓系の植物、毒々しげな妖しい花々。その周りをひらひら飛んでいる、これまた毒々しい色をした蝶々。


私の360度全てに、森が広がっていたのです。


対する私は制服に眼鏡一つ。一体どんな因果でこんな事になっちまったんでしょう。


「確か…部屋の中でゲームをしていて…それから、それから寝落ち?して…」


そして、森の中で目を覚まして。


「可笑しすぎるでしょこんにゃろう。どうして森の中にいるんですか私」


寝落ちしての私の身に、一体何が起こったというのでしょう。誘拐でしょうか。いや、私はそこまで危険な橋渡ってまで手に入れたいような能力も容姿も持っていません。親も普通のサラリーマンと専業主婦ですので、身代金も余り期待出来ませんし。それに、誘拐で森の中に不法投棄するもんですかいな。森に捨てるよりもどこかの部屋で鎖に繋がれてたり縛られてたりして転がされてるのが妥当でしょう?捨てるくらいなら誘拐する必要性は皆無何ですし。


誘拐の線は薄い様ですが、それなら一体どういう経緯でこの世界に来たというのでしょう。


夢遊病で奥深い森に来てしまった、とか?有り得ないでしょう。そもそも住んでいた街は平地で、山なんて一つもなかったはずだし、日本にはジャングルの様な鬱蒼とした森は無いと思います。仮にあっても、私の家の近くにはありません。これも却下。


じゃあじゃあ、私へのドッキリでしょうか?


なんて、これも却下に決まってます。誕生日は当分先ですし、エイプリルフーフもまだまだ遠い。それに、私の親や友達はこんな面倒くさそうな事は絶対にしない。全員が全員インドア派で揃ってるので、パーティーとかそういう浮ついた雰囲気は皆無です。ええ、絶対に有り得ません。そもそも私の周りには私の誕生日を覚えて居る人がいるかどうかも怪しい。


では、いよいよもってこの状況は一体何だというのでしょうか?


うーん、わっかんないなあ。全く分かりません。謎です、謎。どれくらい謎かっていうと、小説やアニメで異世界とか転生とかトリップとか、そういうジャンルが人気である理由くらい謎なのです。謎ったら謎です。ええ、謎ですとも。


「…いや、逃げてたら埒が空きませんよね」


薄く、本当に微かにですが、心の奥底にとっさに仕舞い込んでしまっていたもう一つの憶測。実は、目を覚ました瞬間にすっと頭の中で理解出来てしまっていたのですが、やっぱり納得出来ないではありませんか。今まで日常と言う名の温水にゆったりと浸かっていた一般ピーポーである私には、そのまますっと理解しろと言われて出来る訳が無かったのです。


そう、この世界。目を覚まして、森を視界に捉えて、そして次の一瞬で理解したんです。


この世界は、『異世界』何だってことを。


…神様。私、一体貴方に何をしたっていうんですか?








誤字脱字のご指摘、ご感想、泣いて喜びます。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ