繰り返される伝承に
そして…もうすぐ100年がたとうとしている
「これがおばあさまだったのですね!!!」
嬉しそうに、そして誇らしげに、幼い少女は祖母の枕元ではしゃいでみせる。
そんな孫の愛らしさに、祖母は微笑むも、その目元は悲しみの色に満ちていた。
「どうして、そんな悲しいお顔をなされるのです?」
純粋な瞳が、さも不思議だというように、くるくるとゆれる。
「だっておばあさまは、神様を呼んで、願い事を聞き入れてもらったのでしょう?すごいことじゃないですかっ」
「でもね、」
「?」
「理不尽な想いを、きっと100年後に生きる貴女に…させてしまう気がするのよ…遙」
よう、という祖母と同じ名前の響きに、少女は嬉しそうに笑っている。
109歳となる祖母は、もうその嬉しそうな孫に、十分言葉を遺せないことをしっていた。
だからこそ、最期に、彼女は孫に…遙と言う少女に言った。
「私には見えるのよ、
未来が…あなたが、苦しむ姿が見えるの…
貴女と彼が、惹かれ合うことも、わかっているの…
どうか、少しでも幸せになれますように…」
祖母は涙の残る瞼をゆっくりと閉じていった。
「おばあ…さま?おばあさま!しっかりして…!!」
『惹かれ合うことも、わかっている』
少女は今でも、その言葉を覚えている。
そして、時はまた、過ぎる。