変わりゆく刻、伝えられし伝説
100年前、とある神社の巫女が、神を光臨させ。
当時戦争中で被害をこうむっていたその地域の保護を頼み、それは聞き入れられた。
その後を継ぎ、100年の契約が切れたその年。
巫女の孫である少女は神と恋に落ち、神は天へと帰ることをやめた。
人間となった神と、神に近づいた巫女は身体の不調を訴える。
そして、純潔でいなければならない巫女が契りを交わしたとして、ただの男となったかつての神を人々は罪人として裁いてしまった。
二人で静かに罪を償っていた彼らに、突如訪れた別れ。
悲しみは、巫女を阿修羅神へと変える。
阿修羅のような険しい表情を浮かべた巫女は、その後、その地にのろいをかけ。
――そしてもうすぐ、その日から200年がたとうとしている、
神社は古ぼけ、烏がいつも宙を見守っている。
その町には、今も恋をする少年少女が日々葛藤を続けている。
烏に転生し続けるかつての巫女は、少しでも皆が幸せになれるよう、祈り続けている。
そして、悔いの残る死に人の魂を、無念を晴らさせ、浄化させるその神社の名前は、烏摩神社。
巫女「烏摩遙」と降臨した神「烏摩緋倉」の、悲しい物語。
――
幼馴染に、巫女が預けた、彼女と神との子。
その彼女が、自分の両親の存在を聞かされたときには、もう村はなくなっていた。
神の子はただ、悲しい運命をたどった母が、少しでも、その苦しみが負わずにすむよう、死ぬまで祈り続けたという。