よくある八話 王族の意地と『黒き光』
クライマックスです。
ユーラインside
ついに今朝ニュール兄さんが殺された。
これで王族はお父様と私だけとなってしまった……。
そしてお父様に呼ばれて今、私は王の間にいる。
「さて、聞いているなユーライン。」
「はい………。」
「ふむ、悲しみに暮れるのは悪いことではない。」
「ありがたきお言葉……。」
「そんな大層なことは言ってはおらぬ。ユーライン、お前に話がある。」
「何でしょうか。」
「犯人はまだ捕まらないようだ……。だから私はお前を守るために学園を辞めてほしいのだ。」
え?
「どう言うことでしょうか……。」
「ふむ、お前が学園に居るときに犯人がお前を殺しに来るかもしれんからな。安全策の一つなんだ……。大丈夫だ、魔法の勉強は先生を城まで越させるから安心しなさい。」
「そうなんですか……。わかりました。」
あの男を越えることが出来なかったが……。仕方ない。
「ふむ、では下がってもい「ちょっと待てよ、王様。」…………む?」
その言葉に振り向くとあの男がなぜか王の間に立っていた。なぜか右腕に怪我をしていた。
「その話は俺の話を聞いてから決めろ。ユーライン。」
sideout
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間に合ったかな……。
あの男が王様か……。
「ふむ、何者だお前。何用にこの王の間に来た。どうやってここに来た。」
いっぺんに質問すんなよ王様……。
「答えましょう。俺の名前はシン・ジャックルス。王様とユーラインに話があるから来た。あとどうやって来たのかは騎士の方にとうらしてもらいました。」
「なんだと?」
王様驚いてるな………。ユーラインも呆然としてるな。
「して話とは?」
「今回の王族殺害事件の犯人の話です。」
「なにっ!」
「ええっ!?」
うわっかなり驚いてるな二人とも。
「はい、そうです。王様……、いや、今回の王族殺害事件の主犯ベルセーズ・リアスさん。」
「「…………………………………。」」
うわっ、空気が凍るってこのことを言うんだな……。
「…………なぜそう思った。」
さすが王様、ポーカーフェイスだな……。
「少し長くなりますけどいいですか?」
「ふむ、よかろう、話すがいい。」
「では話しますね。まずは今回の事件の実行犯についてです。」
「うむ。」
「実行犯は軍総督のカレイ・パリスンです。」
「ええっ!?カレイ叔父様が犯人!?」
ユーライン驚きすぎ……。
「そうか、あの男が……。」
王様すごい平常心だな……。ほんとに親子か?
「では続けますね、しかもカレイ・パリスンは十一年前の『王族大量殺害事件』の主犯でもあります。」
「「!!!!!!!!!」」
これにはかなり驚いてるな二人とも。当たり前か……。王様はこのこと知らなかったもんな。
「つ、続けろ。」
「はい。」
そして俺はカレイがいままでしてきたことをすべて話した。
「そうだったのか……。」
「じゃあお母様は無実だったんですか!?」
ユーラインが突っ掛かってきたな。
「ああ、カレイに貶められたんだよ。」
「そう、よかった……。」
号泣してるな。当たり前かな。
「まて、それが私が今回の事件の主犯ということにどう繋がる?」
「はい、説明しましょう。まずは十一年前の事件で一番犯人である『最悪の魔女』を恨んでいたのは王様です。動機は復讐ですね。『最悪の魔女』の子どもを殺して復讐しようとしたんでしょうね。まあ、無駄でしたけとね。実行犯をカレイに選んだのには彼の魔法が一番暗殺にふさわしかったからでしょう。その魔法で自分の子どもと妃を殺してたんだけどね。どうです、間違いはありませんか?」
「ふふふふ……、ハッハッハッハッハッ!!!!!!!!!」
「何がおかしいんですか?」
「ハッハッハッハッハッ、そのとおりだ、私が今回の事件の主犯だよ。」
「え……。」
ユーラインまた呆然としてるな。表情の激しいやつだな。
「そうですか。」
「そうだ。素晴らしいな君は、どうしてわかった?」
「あなたしかこんなことができそうな人間がいないからですよ。」
「ふむ、素晴らしい、本当に素晴らしいな君は。」
「お父様……、どうして……。どうして私を殺さなかったのですが!?」
ユーライン……。
「簡単だ、女だからだよ。」
「え……。」
やっぱりな……。
「お前は女、兄弟全員を殺された悲劇のヒロイン、そして女王となりその話題性で国を担っていくためにだ。私も年だしな。子どもはもう作れんからな。」
「………………………。」
あ~あ、ショックだろうな。
「では、そろそろ貴様を消そうか。」
やっぱりね、でも俺が一枚上手だったな。
「王様これな~んだ?」
俺は一枚の紙を出した。
「それは………『念話紙』か。はっ!!」
「そのとーり!!ここの会話は最初からす・べ・て国中で生放送されてま~す!!」
まあ、実際には、『して、話とは?』のところからなんだけどね♪さて、もう必要ないな。そう思い『念話紙』を握り潰した。
「くそ!!くそ!!くそ!!」
王様お怒りだな……。
「殺す!!『炎爆』!!」
そして王様が魔法を唱えると王の間が爆発した。俺が防御魔法を唱えようとしてるとユーラインが動かないのが見えた。
「っ!!ユーライン!!『雷装』!!」
『雷装』でギリギリ助けられた。
「どうして……、どうして助けたんですか!?」
「当たり前だ!!死にたかったのか!!」
「死にたいに決まっているでしょう!!私は……、私は……。」
馬鹿だなコイツ……。
「馬鹿だなお前。」
「!!!?何ですって!!」
「お、よーやくいつもの感じになったな。」
「あ……。」
「お前さぁ、別に兄達を殺され、自分も道具みたいにされそうなって落ち込むのはわかる。けどなあ、死にたいなんて絶対思うんじゃねぇ!!」
一回死んだからな俺……。
「生きてりゃこんなこと忘れるほどの楽しいことが沢山あるかもしれないんだぞ!!」
「ですが……。」
「ですがじゃねぇ!!とりあえず今は俺のために生きろ!!」
「ええ!?///」
何でコイツ顔真っ赤にしてるんだろう…。ま、いっか…。
「とにかく生きろ。そしてそのあとに死にたかったなら俺の知らないところで死ね。とりあえず今は生きろ。」
「……………はい。///」
「よし、お前は逃げろ。」
「え……。一緒に逃げないんですか!?」
「逃げねぇよ。逃げてもあの男に絶対追い付かれる。お前は別だ、あいつに殺されないからな。」
「ですが…。」
「大丈夫だ、さあ、早く逃「逃がすと思っているのか!!『雷炎槍』!!」マジか!?」
ユーラインがこの前唱えた火の槍より数倍デカイ雷を纏った炎の槍が出現した。
「死ねええええええええ!!!!!!」
くそ、仕方ない!!
「『開放』!!『堕天使』!!」
そう俺が唱えると、俺の姿が黒髪黒眼になり、黒いぼやけた翼が生えてその翼が雷を纏った炎の槍を打ち消した。
「え……?」
「なんだ……それは……。」
ユーラインはまたまた呆然して、王様は愕然としていた。
「これか?これはな……『黒き光』。俺の本当の魔法属性であり、この俺が絶対に殺したい奴に見せる魔法だ。」
「な……。そんな魔法見たことないぞ!!」
「当たり前だ。俺しか使えないからな。」
「くそ!!『炎爆』!!」
そしてまた爆発が起きたが、
「無駄無駄。」
俺が黒いぼやけた翼を振るとすべてが打ち消された。
「な……。くそおおおおおおお!!!!」
叫ぶ王様、すごいな……。つか弱くね?
「………………。」
ユーラインは俺の腕の中でまだ呆然としてるな…。
「くそ、くらえ!!我が最強の魔法!!『雷炎嵐』!!!!!!!!!」
そう王様が唱えると、雷と炎の混ざった嵐が迫って来た。
「デカイな……。使うしかないか…。『魂の奔流』!!」
そう俺が唱えると黒く禍々しい渦状の光線が『雷炎嵐』を吹き飛ばした。そのまま王様のところに向かっていった。
「な…なんだと!!う、うぐあああああ!!!!」
『魂の奔流』が走ったあとはなにも残ってなかった。王様は跡形もなく消えていた。
「『封印』。」
俺は『黒き光』を封印した。そしてユーラインを下ろした。
「………大丈夫ですか?」
「ああ、お前こそ、これでよかったのか?」
「ええ……。」
よかった。これなら大丈夫だな…。
「なあユー。」
「はい。ってユー!?///」
何でまた顔真っ赤になってるんだコイツ?
「いや、そこはいいだろ、呼び名くらいは。そんなことより頼みがあるんだ。」
「いや、そんなことって!!///で…頼みとはなんでございましょうか?」
「ああ、頼みは………………
……………………………………ということだ。大丈夫か?」
「助けてくれたんですから!!そのくらいのことなら朝飯前ですよ!!」
うん、これで大丈夫だな。
「それと…後でいいですからあの魔法のことを教えてくれませんでしょうか?」
「いいよ、そのくらいなら。」
勘違いの復讐は終わった。
それは国最悪の事件の終わりでもあった。
次はエピローグです。
『黒き光』、そして王様の魔法はエピローグのあとがきで紹介します。




