よくある百三十五話 視線と唐変木
劇の主要キャラが分かります。そして新しいキャラの名前も出てきますがほとんど出てこないと思います。多分。
居心地が悪い……。
俺がエリスとちょっとしたゴタゴタがあった次の日、クラスメイトの視線が凄かった。
絶対この視線で人を殺せるよな……。
ちなみにリンのバカはちゃんと粛清した。
今は校庭の木に吊るされていると思う。
「改めて紹介しますわ。首都から来られました設計士のエリスさんです。」
「よ、よろしく……。」
ユー、出来るだけ殺気は無くせ。
エリスが戸惑ってるぞ……。
「それではエリスさんはあちらで皆さんとジェットコースターの設計の打ち合わせをしていてください。シンさんはこちらで劇の練習です。」
「は、はい……。」
これが王族の威圧感ってやつなのか……。俺と同じ転生者のエリスが怖がっているぜ……。
と言うわけで俺もユーの言う通り劇の練習をすることにした。
劇『思い』の主要キャラは主人公のミョウ、俺の演じるジル、ミョウの父親のダン、ミョウの許嫁のトルー、そしてジルに異常なまでに惚れているナキの五人だ。
ミョウはユー、ダンはタイソン、トルーはネビュー、ナキはリンみたいだ。ナレーション役はクラスの女子のコンがやることになった。
リンはいつの間にか戻ってきた。しかしその顔に反省の色はない。
後でまた粛清しとくか……。
ちなみに劇で裏方に回る奴、そして劇に参加しない奴はエリスと一緒に設計の打ち合わせをきちんとしている。
そして今は始めの部分を合わせてる。
「むかしむかしある村でとても優しい木こりの青年ジルが住んでいました。ジルは今日も木を切り薪を作っていた。」
コンのナレーション完璧だな……。
「ふぅ……、今日はこれくらいでいいかな?」
ちなみに俺も昨日、部屋に戻ってから嫌々ながら練習をした。だから始めの部分は完璧に出来る。
「ジルは作った薪を家に運ぼうと薪を抱えて家に戻ろうとしました。
そんなジルを大きな木に隠れて見つめてる一人の女の子が居ました。」
ミョウ「ジルさん……。」
ここではミョウが寂しくジルを見守るのだがユーは殺気をバンバン出しながら俺を見ていた。怖えよおい……。
「ダメですよユーラインさん!!もっとリラックスして、少し悲しそうな目をして、見守るような風にしないと!!」
リン、ユーはお前の誤報のせいでそんなこと出来ない心境になってるんだよ……。
あいつは俺がクラスの打ち合わせをサボってエリスとイチャイチャしてたことに怒ってるんだろうな……。
イチャイチャした事実なんて無いんだがな……。
ったく、少し打ち合わせをサボったくらいで怒るなよ……。
「……………ふぅ、この唐変木め。」
タイソンが俺に何かを呟いたみたいだが音量が小さかったから聞き取れなかった。
つーかお前は俺の心を読めるのか?
「よりにもよって『思い』か~、これって偶然なのかな?それとも必然なのかな?」
今度は教室の壁に目がついていた。
その呟きは虚空へと消えていった。
次は女たちの戦いです。




