よくある百二十一話 悪夢からの目覚めとお兄ちゃん子
新章は文化祭の話になるんですが、最初の辺りはシンの入院生活でいきます。
「覚めろおおおおお!!……って夢か~、よかった~。」
辺りを見渡してもセリルはどこにも居なかった。
どうやら俺はあの悪夢から目が覚めたようだ。
確かにセリルが義妹ってのは嬉しいが王族が急に家族になるって……。
あのキャラの濃い二人にセリルが追加された家なんて……あれ?なんか居心地が良くなるような気がしてきた。
でもなんであんな夢を……、
「あっ、起きてたんですねお兄様♪」
セリルが病室の扉を開けて笑顔でそう言った。
夢じゃねぇんだな……。
夢と思いたかったよちくしょー!!
「ど、どうしたんですかお兄様!?急に踞って……、もしや傷口が!?」
「い、いや、俺は大丈夫だから……。」
セリルがかなり慌てふためいたので俺は立ち直ったふりをしてセリルを落ち着かせた。
「そ、そうですか……。」
セリルはほっと胸を撫で下ろした。
「つーかお前って本当に俺の義妹になったんだよな……。」
「はい♪」
「ドッキリじゃないんだよな。」
「はい♪」
セリルは俺の質問に後ろめたいことが全く無いような輝かしい笑顔で頷いた。
マジかよ……。
でも改めて考えてみるとそこまで悪い話ではないんだよな……。
つーか早くなぜこうなったのか経緯を聞きたい。
セリルに聞くのもなんだし父さんに聞くか……。
母さんは……、多分聞いても無駄だろう。
「おーいシンとセリル、父さんが帰ってきたぞー。」
「父さん、これはどうゆうことだ。」
タイミングよく父さんが病室に入ってきた。
「いや、何が?」
「しらばっくれんなバカ親。なんでセリルが俺の義妹になってんだよ!!」
「ああ、その事か。」
このバカ親は……。
「実はな、セリルの亡命は秘密裏に行われるんだよ。亡命の正当な理由がちょっとまずいからな。」
まぁ、あっちの王様が秘密にしていることが亡命の理由じゃダメだよな。
「そんでセリルは13歳だし来年学校に行かないといけないから戸籍だったり保護者だったりが必要だったんだよ。」
「そんなのユーとかボイルさんに任せとけば良かったじゃん。」
「王族が動いてしまったら後々ブィント軍国との外交がうまくいかなくなる可能性があるから一旦セリルを書類上孤児にして私達『奇跡の六人衆』の誰かの養子にするって話になったんだ。」
まぁ、確かにそっちの方がいいかもな。
「それで誰の養子になるか選ぶときに、私がウルさんとミラさんの養子に、シンさんの義妹になると言ったんです。」
「セリル、もうウルさんだなんてやめなさい。お父さんでいいぞ。」
「はいお父さん。」
理由が正当だから文句が言えねぇ……。
まぁ文句はないんだけどな……。
あれ?
「母さんは反対しなかったのか?あの人なら物凄く反対しそうなんだけど……。」
「そう思ってたけど拍子抜けするくらいに賛成してくれたんだよ……。」
なんか裏がありそうだな……。
「フフフ、義妹にすることでセリルちゃんがシン君と恋人関係になることは無くなるし、それにセリルちゃんをお兄ちゃん子にしとけば来年からの学校でセリルちゃんがシン君に寄り付く害虫を退治してくれる!!そしたら……フフフ、笑いが止まらないわ!!」
「あのー、大丈夫ですか?」
ミラさんは禁断の恋を知らないようです。




