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熊さん食堂

作者: 山谷麻也

挿絵(By みてみん)



 その1


 どうも一筋縄ではいかないようである。

 相次ぐ熊による人的被害に国も腰を上げ、緊急銃猟の制度を創設した。捕獲は進んでいるのだろうか。聞こえてくるのは、冬眠期に入ってもなお熊に襲われたというニュースばかりである。


「マト外れなことをやっているのでは」

 というのが正直な感想だ。もちろん猟師や警察官など狙撃手の腕のことを言っているのではない。



 その2


 一〇月末、文科省が全国の教育委員会などに、学校の熊対策を促す通知を出した。その中で、ペットボトルが紹介されていた。熊はあの「パコパコ」という音を嫌がるらしいのである。

 ならば、なぜ、本格的に研究しないのか。移動時にいつもパコパコやっているわけにはいかない。音のどの部分が嫌がられているのかが分かれば、その音だけを出す機器が開発できるのではないか。

 この種のアイディアは鹿対策として、山間部の鉄道などで実用化されているとも聞いたことがある。


「素人が勝手なことを言いくさって」

 お怒りはごもっともである。プロによる熊対策が行き詰っているのだから、ここはひとつ、ド素人の意見に耳を傾けてはどうか。何が出てくるか知れない。案外「ペットボトルからコマ」ということだってあり得る。



 その3


 四国でも熊が人里に出没する事態になっている。

 これまでイノシシやシカ、サルなどの被害はよく耳にしてきた。対策を考え、これは!と思うものは小説の中でも採用してみた。試行錯誤してきたのである。筆者の場合、過疎化、さらには終着点としての廃村にも心を痛めてきた。生まれ育った村が消滅寸前であるからだ。


 全国ですでに多くの村が廃村になっている。

 筆者の考えは、廃村に動物たちを呼び寄せては、つまり動物たちの楽園をつくっては、というものである。候補地を選定し、事前に柿やミカン、栗などの果樹を植えておく。おそらくは杉、ヒノキなどの針葉樹が生い茂っているだろうから、伐採してドングリなどの実がなる広葉樹を植林あるいは移植しておくのは、わずかながら花粉症対策にもなる。また、草木の花が咲き、環境汚染が改善された日には、ミツバチも戻ってくる。熊は大喜びだろう。


 さらに一歩進めて、鶏のためのゾーンを設けてはどうか。広い場所を確保して、放し飼いにすれば、おいしい卵をたくさん産む。それに、免疫力がついて、鳥インフルにも有効だ。何百万羽という鶏が処分されることもなくなるだろう。



 その4


 何事にも時間はかかる。目前の「敵」に、懸命に防戦しながらも、決定的な解決法を模索することを忘れてはいけない。


 筆者は周囲の山々の広葉樹が伐採され尽くし、杉・ヒノキが植林されるのを見て育った。日本中で「緑化」が進められ、森林面積は七割弱。森林の四割が人工林で、うち九割以上が杉・ヒノキだ。


 国土緑化は野生動物の住み家を奪ってきた。自然界の構成員として、人間はその責任を果たしていくことが求められている。


併せて読みたい

https://ncode.syosetu.com/n6572ka/

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