ひとりぼっちのオンリーワン
同じ方向でも、他の追随をゆるさなければ。
それだけで、唯一無二ですけどね。
だれがいちばん のっぽかなんて
せいくらべにつきあいたくないから
あたしは ぺたんこだけど
お気に入りのスニーカーを履いて歩いた
だれがいちばん マッチョかだなんて
左右のヒトコブラクダにも興味ないから
あたしは 腕立て伏せをやめて
ねころんでマンガを読んだ
だれがいちばん きらきらかなんて
目がちかちかして 見てらんないってば
あたしは イルミネーションもスパンコールもはずして
パンツいっちょで ストリップしてみせた
みんなが欲しがってた「1」って数字が
にょきってするチンアナゴみたいで
あたしもむかしは キュートなきがしてたんだけど
でしゃばれば がんがん打たれちゃう釘みたいで
あぶなっかしく みえるようにもなってきたんだ
いちばん可愛いっていうより
あたしだけの 可愛いとこをみつけてよ
いちばん愛してくれるより
あのコを とはちがう 愛しかたをしてよ
そのためだったら みんなとはちがういきものに
あたしはならなきゃっておもった
ちがう可愛さをひらひらさせて
ちがう愛されかたをしてねって
ちがう角度から うわめづかいをおくるんだ
そんなふうに生きてたら
あたしは いつのまにか ほんとうに
みんなとちがういきものに なっていた
ちがうかたちのつのを
ちがうはやしかたで はやして
ちがうB♭m の
ちがうなきごえで なくいきもの
ねえ いびつで 素敵でしょ
これなら あたしだけのとこを
可愛いって ほめてもらえるよね
これなら あのコを とはちがう
愛しかたを してくれるんだよね
こんな みんなとちがういきものは
かえる群れなんてもうないんだよ
だから せめて
可愛いってほめて 愛してるっていって
あたしだけのとこを
あのコを とはちがう あたしだけへのやりかたで
だめ？
そっか じゃあ しょうがない
そりゃ あたしだって あなたに
あたしだけのとこを
可愛いって ほめてもらいたかったし
あのコを とはちがう
愛しかたを してほしかったけど
それだけのために こんなふうに
みんなとはちがういきものになったわけじゃない
これが あたしのあるべきすがたなのだ
みんなとはちがういきものが あたしなのだ
やった！ ばんざい！
あたしは みんなとはちがういきものだ
かえる群れは もうないし
たとえ あったとしても チンアナゴごっこや
モグラ叩きごっこになんて つきあってやるもんか！
あたしはあたしのまま
みんなとちがういきものとして 生きていく
あたしはこんなあたしのことが
いがいと きらいじゃないよ
なんなら 好きだってほおずりしてやってもいい
あたしだけのとこを
可愛いって ほめてくれるひとは ひとりもいなくて
あのコを とはちがう
愛しかたを してくれるひとも どこにもいない
みんなとちがういきものだったとしても
あたしだけは こんな みんなとはちがういきものを
あたしだけのとこで 可愛いっておもえるし
あたしだけへの 愛しかたをしてやれるんだ
なんなら 好きだってほおずりしてやってもいい
「ちがう」ことで、競争あいてをなくし、孤独な「唯一無二」を得る。
幸せかは、そのひとしだい。
——「唯一無二」になるほど「ちがう」って、すごいことですけど！
