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見た目は可憐なヤンデレストーカー〜ストーカーちゃんのとある日常〜


私の彼氏はちょっと恥ずかしがり屋なの。絶対に私の隣を歩きたがらない。

だから私は、いつも後ろからこっそりついて行くの。だって、私の姿に気づくと怒るんだもん。

ま、照れ隠しだってわかってるから私は気にしてないけどね!

彼ってば古風な人だから!


そんなので見失わないかって?

大丈夫大丈夫!スマホの位置アプリでチェックしてるから。

念のため、彼のバッグとか靴にもGPSをつけてあるから、彼がスマホを忘れたって平気だよ!


え?許可?なんで?

必要ないよね?

だって私たち恋人だもん!



そういう訳で、今日も彼とおでかけなのです!

昨日ラーインで買い物に行くって話してたから、待ち合わせの駅前に早めに行って待機してないと。

だって私、できる彼女ですから!


ん?よく彼とラーインするのかって?

ああ、違う違う。

えっとね、スマホに入れてるアプリのおかげで、彼のスマホの画面ならいつでも見れるの!だから、彼のことなら何でも知ってるよ!友達や家族とのやりとりも、彼が最近興味があることも、それから…ちょっと恥ずかしいけど彼のエッチな嗜好も!


好きな人が今何をしてるのか、常に気になっちゃうのは仕方ないよね?だって恋する乙女だもん!

その為に彼専用のスマホを買ったんだ!もちろん彼とお揃いで。えへへ。


あ、ちょっと待って。ラーインきた。

えーっと、ちょっと遅れるみたい。寝坊したんだって。

もー、しょうがないなー。

あ、このスタンプ可愛い。私も自分のスマホに入れよーっと。

ふふふっ。



あ、田中くんが来た。

まったく、友達のデートについてくるなんて無粋だぞ!でもしょうがないよね。彼はちょっとシャイなところがあるから、私と二人きりになるのは恥ずかしいみたいだし。

私はとっても心の広い彼女だから、許してあげる。感謝してよね!


因みに私と田中くんは話したことがない。

だって嫌じゃない?自分の彼女が友達と仲よくしてたら。嫉妬しちゃうでしょ?

それに、田中くんが私のこと好きになったら困るもん。だって私は、彼にしか興味ないから。

ヤキモチ焼く彼を見てみたい気もするけどね?そこはグッと我慢。そんな意地悪をしたりはしないの!


待ち合わせに10分くらい遅れて彼が来た。今日も可愛いなあ。

あ、私の彼氏はちゃんと男らしいよ?

でもね、なんかこうキュンってくるの!女の子ならわかってもらえると思うな!好きな人を可愛いって思う気持ち。


………田中、なに寝ぐせ直されたりしてんの?私の彼氏と会うんだから、身だしなみくらい整えてきなよ。


チッ………


すーーーっ、はーーーっ、すーーーっ、はーーーっ、すーーーっ、はーーーっ。


これくらいで怒ったりしない怒ったりしない怒ったり田中死ね…………。




………もう、ただの友達に優しくしすぎだぞ!そういうところも嫌いじゃないけどね!



さて、彼も来たのでデート開始!今日も後ろから奥ゆかしく付いていくぞー!


今日の予定は、お気に入りの服屋の新作をチェックして、後は適当にぶらぶらするみたい。こんなふうに目的のないデートも楽しいよね!えへ。



え………なにナンパとかしてるのそこの雌ブタども。アタシっていう可愛くて完璧な彼女がいるんだから、彼がオッケーする訳………あ、振られたざまあみろ。


うんうん。こんなに可愛い彼女がいるんだから、彼は浮気なんてしません!



あ、服屋に入った。

やだそのTシャツ可愛い。彼に凄く似合ってる。

買うの?ねえ買うの?

あ、買った。

よし、今度同じの買おうっと。ふふっ。



え?外では着ないよ?お家で着るの。だって彼には、とびきり可愛くオシャレした私を見て欲しいもん。だから家でこっそり着るの。

ふふっ。やったー。彼とお揃いが増える!



ん?もうお昼にするの?

早いなー。

ま、男の子だもんね!お腹空くよね!


モリモリ食べる彼を窓越しに見守る。


え?私?私はいいの!美味しそうに食べてる彼を見てるだけでお腹いっぱいだから!


彼と同じお店に入ると、照れた彼が怒っちゃうし、別のお店に入っている間に彼が食べ終わってどこかへ行っちゃったら嫌だし。

…GPSがあるから見失いはしないけど、置いてかれるのってやっぱりちょっとショックだもん…。

立ったまま食べるなんて、そんな品のないこと彼とのデート中にできる訳ないから。

うん、だから私はいいの。



あ、食べ終わったみたい。

綺麗に完食。

うんうん。男の子はこうでなくっちゃね!



レストランを出た彼の後を追う。

あ、またナンパされてる。

「一緒にごはんでも」とか。

残念でしたー。彼は今食べたばかりなんですー。


ほら断られた。身の程知らずが。

…彼がちょっと残念そうな顔をしてたのは、気のせいだよね?そりゃちょっと…ちょっとは可愛い子だったけど…。



あ、今度はインテリア雑貨のお店に入った。

そのランプいいね。彼の部屋に凄く合いそう。うん、この前買った小物の隣に置いたらいい感じだと思う。

あれ?買わないの?そっかあ、値段がちょっと高いかあ。そうだよね。フェスのチケットとかも買うもんね。

どうしよう。後でこっそりプレゼントしようかな?




そんな感じで色々回って駅へ到着。

今日のデートはこれにておしまい。



あー、今日もとっても楽しかった!

また明日ね!











彼が無事家へ向かっているのを、GPSで確認しながら帰宅する。

順調に動いているマーカーを見ていたら、ふと思い出した。



そう言えば、たまに私のことを「ヤンデレストーカー」なんて言う人がいるの。


変なこと言うよね。

きっと、ストーカーって言葉は、愛し合う二人には適用されないってことを知らないんだね。

私たちはこんなにこんなに愛しあってるんだから、ストーカーな訳がないのにね?

ふふふっ…


それにデレはわかるけどヤンは何だろう?


………ああ!やんごとないのヤンか!なるほどね!

私っていかにも『深窓の令嬢』って感じだもんね!わかるわかる。

そっかあ。


ヤンごとない、彼にデレデレの彼女。


うん、異存はありません!


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