キミのピースは3本ピース
「ねえ、次どこ行きたい?」
「映える写真が撮れるところ」
「写真撮られるの、好きだよね」
「まあね。私、可愛いから」
お店の壁の前に、やって来た。
側面の壁には、空と虹の絵が描かれていた。
「サン・ニイ・イチ・ハイ」
パシャリ。
「可愛く取れた?」
「うん」
スマホには、可愛いキミが写っていた。
今日も、ずっとそうだ。
ずっと、ピースが3本指だ。
ずっと、気になっていた。
なぜ、3本指なのか。
でも、聞く勇気がなかった。
出会ってから、一週間。
ずっと、ピースはそれだった。
「ねえ、今日はどこ行きたい?」
「いい写真が撮れるところ」
「ずっと、それだね」
「うん。可愛い自分の写真を、できるだけ残したいの」
「そっか」
ピンクのレンガの壁に来た。
本物ではなく、ペイントだ。
「サン・ニイ・イチ・ハイ」
パシャリ。
「可愛く取れた?」
「うん」
スマホには、控えめに微笑むキミがいた。
今日は、違った。
今日は、3本指ではなかった。
ノーマルの、2本指ピースだった。
今日は出会って、ちょうど一週間を、越えたところだ。
二週目に入った。
それが、関係しているのだろうか。
一週間で1減る。
カウントダウンか何かか。
カウントダウンだとして、何のカウントダウンなのだろう。




